2回
2017/06 訪問
日曜日の二番手さん
2022/04/08 更新
2011/07 訪問
居心地の良いお寿司屋さん
【平成24年8月・既に10回目近くの訪問】
前年夏に初めて伺って以来、1ヶ月半〜2ヶ月の間隔で通っている太一さん。高い江戸前の技巧と良質なネタ、季節に応じた創意工夫が楽しめる貴重なお店です。
たまたま本屋さんで見かけたdancyu9月号の表紙が太一さんで、夏のお寿司の魅力を伝える特集ということで取り上げられていました。記事を読み、そろそろ新子の季節だなあと金曜日夜の早い時間帯に訪問。
いつも通りおつまみから頂き、お酒はビール小瓶→日高見の冷やで。
真子鰈のお造り、煮蛸、牡丹海老(青く輝く塩漬けの卵を添えて)、筋子、鰯と生姜・大葉を海苔で巻いたもの、のどくろの塩焼き、鮟肝、尾鷲のウニ。どれも美味しいのですが、煮蛸はさすが。「行きつけ」といっては大げさですが、職人さんに顔と名前、好みを覚えられてしまうくらい通っているお店が太一さん含め4店ほどありますが、その中で蛸に関しては太一さんが一番だと思ってます。あまり濃い味を付けず、塩と山葵で頂く煮蛸は噛めば噛むほど旨味が滲み出てきて素晴らしいです。
また、鮟肝には驚きました。はじめは、「夏に鮟肝?」と合点がいかなかったのですが、これが濃厚で旨い! 御主人曰く、夏場でも産地によっては形も味もいいものが採れるそうです。
尾鷲のウニも良かったです。私は夏場ですと唐津あたりの赤ウニが大好きで、赤ウニを頂くために九州まで出かけることもあるのですが、この日のウニもなかなか。甘味があって、思わず「うめぇ~」と呟いてしまいました。
前日に散々飲んで二日酔い状態であったため、お酒をここでストップし、お寿司にして頂きました。さらに飲んでいれば煮鮑やイカの粕漬け、場合によっては牡蠣の塩辛等が頂けるはずです。太一さんの煮鮑はやはり美味しいのですが、特に別途味噌漬けにした肝の風味が堪らなく美味しく、日本酒にピッタリです。前日に飲んでさえいなければ、もう一本お酒を追加したところでしたが残念。
さてお寿司ですが、すでに有名になっています通り、こちらの最大の特徴は鎌ヶ谷の赤酢を使っていることで、良い意味でクセが強いです。また砂糖を使わないため、酢飯は酸味が強く、非常にキリッとしたものになります。人によって好みが分かれると思いますが、私はこれが大好きで、そういえば他に通っているお店もやはり赤酢の効いた酸味の強い酢飯のところばかり。
この日のお任せは、赤身、新子(3枚づけ)、中トロ、新烏賊(可愛らしいゲソはお寿司とは別に甘めのツメで)、小柱軍艦、ウニ(非軍艦)、鱚、鯵、トキシラズ、車海老、煮鮑、穴子、玉子、そして浅蜊のお吸い物。
特に満足だったのが、赤身、新烏賊、小柱、鱚。
赤身は夏場特有のマグロの酸味と赤酢の酸味の対比が面白いです。新烏賊は赤ちゃん特有の柔らかな歯触りが素晴らしい。時期的にはかなり早めだと思いますが、一足早く秋の気配なんて感じです。小柱は香りがよく、食感も良いです。鱚は太一さんの定番物ですが、淡い味わいの鱚に昆布の旨味が加勢し、美味しいです。
この後、追加で鉄火巻、干瓢巻をお願いしました。最後を巻物で締めるのは私のクセのようなもので、御主人にも、よく「何か巻物いきますか?」と聞かれます。大体、赤身又は中トロ、干瓢、胡瓜などオーソドックスながら美味しいものを頂いてます。
今や人気店となっていますが、お客さんのリピート率がかなり高いのではないでしょうか。この日も、他のお客さんは皆さん馴染みの方々のようですし、前にもご一緒させて頂いたなあと記憶に残っているお客さんもいらしゃいました。
リーズナブルに美味しいお寿司を頂けることに加え、絶妙の間でお客さんを上手にあしらう御主人の魅力も相俟って、非常に居心地のいいお店です。
【平成23年7月・初訪問】
社会人4年目となり、少しずつお寿司という趣味を覚え始めた私(まだまだ入門レベルです)。勿論若輩者ですので、高級店なんて行けませんが、たまには贅沢もしてみたい・・・ということで、①おまかせ+2、3貫追加、日本酒1合で1万5千円以内、②カウンター中心で一見でもあまり緊張しないでよさそうな雰囲気のお店、③何よりも美味しい、を条件に太一さんを調べて、当日朝予約で日曜昼に伺いました。
握りおまかせ1万500円、青森の田酒をオーダー。日本酒は5種類ほど揃えているようです。面白い趣向で、何種類もあるお猪口の中から好きなものを選ばさせて頂けるのですが、私は素朴なぐいのみタイプのものを選びました。他にきれいなガラス製のものや、オーソドックスなものなど様々です。
さて、肝心のお寿司の方ですが、まず席に着いた時から醤油さしが置かれていないことに気付きました。巻物以外の全てにツメや塩などで仕事がされており、一番美味しい完成された状態でお客さんに供するというご主人の自信を感じさせます。また、舎利はかなり固めで、米一粒一粒が立っています。赤酢もやや強めで、慣れていないためか始めはやや違和感を感じたのですが、段々とこれもありだなあと舌に馴染むようになってきます。
以下おまかせの内容です。一貫一貫は小さめに握られているのですが、相当のネタ数が出てきますので、ボリューム的には大満足(あまりに沢山出てきたので順番を正確に覚えておらず、いい加減です)。
真子鰈、アオリイカ、赤身、血合い岸(ご主人が好みの部位だそうです)、小柱軍艦、赤貝、キス昆布締、真タイ(八幡浜産)、ムラサキウニ(大間)、蝦蛄(陸奥湾)、車エビ、蒸しアワビ、穴子、鮪の背鰭付け根の筋肉(貴重な部位とのこと)、中トロ、煮タコ、鰺、春子、ミル貝、巻物(鉄火巻×3切れ、干瓢×2切れ)、玉。
どれも美味しいのですが、特に秀逸だと感じたのが、アワビと煮タコ。
アワビは生では味わえないモチモチの食感と、噛めば噛むほど染み出す濃厚なうまみがたまりません。間抜けな空想ですが、こんなガムがあればずっと噛みしめていたいです。煮タコは煮汁を継ぎ足して使っているそうです。タコ自体の旨味に加え、プルンプルンの皮、肉厚の実に染み渡った煮汁の旨さがたまりません。今まで食べたあらゆるタコ料理の中で一番でした。
アワビ・タコを追加して計1万3千ちょっと。これだけの中身を考えれば最高のコストパフォーマンスかと思います。
当日の他のお客さんは常連さんがメインだったようですが、美味しいお寿司・安心価格・人当たりのよいご主人に礼儀正しいお弟子さんと揃えば、支持が集まるのも当然かと。
もうしばらくすると新子が旬を迎えるとのことですので、近く再訪してみたいと思います。
2013/05/21 更新
自腹で単価1万円以上のお店に伺う際は大抵「おひとりさま」の私ですが、例外もあり、女性と一緒か、久しぶりに会った後輩に奢って威厳を見せるときは別になります。今回は前者でした。
日曜日夜の予約を取ろうと電話をすると、お弟子さんから、
・定休日が月曜日から日曜日になった。
・日曜日は大将不在で、二番手が握る。
とのご説明がありました。
「二番手さん」と聞いて、すぐにいつも付け台で大将のアシスタント的な役割をされている職人さんの顔が浮かびました。大将に信頼されている職人さんなら心配ないと、2席お願いすることに。
さて、冷たい雨の降る日曜日夜。大将不在とのことで少し雰囲気が違いますが、こちらのお店の和やかさは変わらず。
田酒をいただき、おつまみから。
まこがれい・赤貝の刺身、芝海老の酒盗、煮だこ、蒸しアワビ(肝の味噌漬つき)、鯵・大葉・生姜の海苔巻、
あん肝、メヌケの塩焼き・岩海苔、蛍烏賊の沖漬、毛蟹、バフンウニ、牡蠣の塩辛・・・
太一さんのレギュラーおつまみや季節を感じるもの、珍しいものと様々に楽しめます。
なお、「二番手さん」のオリジナルの鰊の粕漬も頂きました。「二番手さん」の出身・北海道の味を何か提供したいと、自作の粕漬を出されたようです。酒の肴にも、ご飯のおかずにもピッタリの一品です。
実は「二番手さん」、近々独立し、ご夫婦でお店を営まれる予定ということで、現在物件探し中だとか。そういうこともあり、大将から日曜日を任されるようになったようです。
さて、握りに。太一さんの赤酢のキリッと利いた、固めの酢飯。
ヒラメ、赤身、中トロ、鯵、こはだ、スミイカ、クルマエビ、煮蛤、金目鯛・・・
本当はもっと食べたかったのですが、ここでお腹がきつくなってきました。どうやら、酒に弱いくせに、お酌をしてくれる人が横に居たがために普段より酒が進み、酔ってきてしまったようです。
しかたなく、あと穴子と玉子で〆。本来ならまだ、春子、しめ鯖あたりを頂けるはずなのに、残念。
私も同行者も、美味しく楽しい休日夜を過ごせました。太一さんにもちょくちょく、また二番手さんが開店された暁には新店にも伺ってみたいと思います。ごちそうさまでした。