随分前の話だが、トールキンの指輪物語にはまっている友人に
“絶対に面白いし、読むべき価値があるから”と薦められたのだが
ファンタジーというイメージがあり、とても読む気にならなかった。
映画化された時も、ハリーポッターの同類項だと思っていた。
家族がDVDを借りて来たので、暇潰し的に初めてロード・オブ・ザ・リングの第一話を見た時
映画としての面白さはさておき、何かひっかかるものを感じた。
二元的な善と悪。
指輪物語の作者の経歴を考えれば、善とされる中つ国はヨーロッパで、
友邦を裏切り悪に加担する魔法使いサルマンが治めるアイゼンガルドは当然ドイツだ。
当初はヒトラーとナチスドイツと思ったが、サルマンの威厳ある容姿と立ち居振る舞いは
とてもヒトラーとは思えず、鉄血宰相ビスマルクかもしれないと考えた。
後で聞き知ったのだが、合衆国ではサルマンはオサマ・ビンラディンと考える人が
多かったようだ・・・浅薄過ぎる・・・というよりも当時の合衆国のヒステリックなまでの
状況を考えると空恐ろしくもあるのだが。
で、気になったのはサルマンが造り出したというオークと呼ばれる醜い生き物だ。
小柄で、猫背、鼻はひしゃげ、生まれながらに凶暴で悪辣な忌むべき生き物。
中つ国の東方に位置するという悪の権化 冥王サウロンが治める国・・・
オークは東洋人を揶揄しているのだろう。
具体的なイメージはチンギス・ハーンの子孫達によるタタールの軛によって蹂躙された
ヨーロッパ諸国から見た憎悪の対象を具現化していると見た。
考えてみれば、金枝篇の著者ジェイムズ・フレイザーとトールキンは同時代人だ。
ヨーロッパ人以外は格下の野蛮な人間と考えていた当時の風潮が窺われる。
娯楽映画の第一話を見た感想は“映画としては面白いし良くできているが、上記の事が脳裏に浮かび、ちと不愉快”
to be continued