2回
2019/02 訪問
追加 美しい家はあくまでも秘めやかに、ひっそりと
2021/03/16 更新
2013/05 訪問
この空間は私に清らかな調べとカクテルの凄みを味わせてくれます（再訪）
初回は「愛の日々」というやや妖しげなカクテルに魅せられた。その後何度か通ううちに居心地の良さに惹きつけられる。地下鉄の矢場町駅から結構歩く距離。それほど便利な場所ではないが、頑張って歩いてしまう。もともとバーとダイニングの店。だから料理は普通のバーを超える本格的なもの。
今回は初夏らしいスイカのカクテルでスタート。ウオッカをダブルにしてもらい強めに。それでも爽快なのど越し。次に綺麗なミドリのカクテル。白ワインにミドリリキュールで。こちらは大人の女性向きか。こんなカクテルはぜひ素敵な女性と飲みたいものだ。（註：私は何時も1人で飲んでいる）
つまみはスプーン一杯のタルタルと大盛りに近いサラダ。どちらも満足出来る水準の料理。
○スイカのカクテル
ウォッカ
○ミドリノカクテル(白ワインベース)
ミドリリキュール
○ホタテ、鯛、ウニのタルタル
○ほうれん草とベーコンのサラダ
マッシュルーム、ニンジン
＊今回の写真ｈ最初の5枚
2011.11.25
事情により今回は日付順を逆にしております。
2011.2.25
「愛の日々」というカクテル。ブランディーとカシス。何か高級感にあふれつつ熟成の奥に甘い誘惑が潜むような大人のカクテル。夢を辿る至福の思い、忘れ得ぬ愛を語る情念でも表現しているのでしょうか。愛の日々を忘れられぬ大人の恋の果てには何が待っているのか。
名古屋のまだ街が静まらぬ一角、何か密やかな入口から中へ入ると高く浮き上がる天井が夢を広げる余裕の空間、横に伸びたカウンターの先には美しい花々が幻想的で艶やかな世界を匂わせます。
耳を澄ませば、先ほどより記憶の中に決して忘れることなく残る清らかな調べが流れて来ます。その気高く美しい旋律はソプラノのアリアの最高傑作であるCasta Diva（清らかな女神）です。あの世界の歌姫であるマリア・カラスの最高の持ち歌でありその後カラスを超えてこの曲を歌えるプリマドンナは登場しないほどの最高度の声楽的技巧が要求される名曲。 しばし聞き入ってしまいます。
そのオペラの「ノルマ」は悲しい女性に描かれています。ひたすら愛した男を若い女に奪われる。愛に苦しみ、信仰に悩み、でも何一つ救うことのできない苦しみ。甘く心地よい愛がやがて苦く胸を灼くのです。そのせつなさが歌に現れており実に胸をうつ歌です。
ひとしきりバーテンダー（ソムリエ）氏と音楽やオペラ、カクテルなどに花を咲かせた後で口直しにシャンディガフを勧められました。辛口ジンジャーと生ビールで、誰かを恋して飲めば甘口に、しかし苦しい想いを抱けば辛口の味になる意味あり気なドリンクです。彼はなぜ私にこのカクテルを勧めたのでしょうか。
オードブルをお願いしました。ジャガイモのガレット、蝦夷鹿、フォアグラなどで小綺麗に作ってあります。カクテルを邪魔しない、しかし色とりどりの味わいを楽しめます。ダイニングバーとしても使えそうです。
曲は移ります。ラ・ボエームの「冷たい手を」、リゴレットの「慕わしい人の名は」、トスカの「歌に生き恋に生き」、さらに「ホフマンの舟歌」などなど なぜオペラの名曲は美しくも哀しく切ないのでしょうか。
〆のマティーニを。この怜悧な頭脳をも溶岩流のごとく弄ぶカクテルは決められた作法と技術があれば一定の水準のマティーニを作れますが、それ以上はバーテンダーの心 です。
彼は私に極上のマティーニを飲んでもらおうと真心込めて作ってくれました。一口めより攻めてきます。まるで厳しい寒さに耐える北国に魂を揺さぶる燃える流星を見たように私の胸は熱く高まるのでした
大いなる満足感に包まれて店を後にしました。小雨まじりの帰り道、マリア・カラスがまぶたに浮かびます。
2011.4.22
店の名前はドイツ語で「美しい家」。落ち着いて寛げる居心地の良さは群を抜いております。バーにしては開放感をより感じ、ダイニングバーにしてはカクテルが並みの水準ではありません。
今回は「春らしいカクテル」をというリクエストをしました。苺とウォッカを使用して甘酸っぱくもきりりと何か気品を感じる味わいです。勝手に「春の貴婦人」と命名しました。
貴族の麗しい婦人が春の宴で微笑みかけるように口に含む妖艶にして気高いカクテル。まるでルノアールの絵画のような情景が眼に浮かびます。ゆっくりと味わいながらこの艶やかなカクテルは口の中を幸せに優雅、甘美、な世界に導きます。
この日は時間がなくてすぐに〆のカクテルをお願いしました。ウォッカマティーニです。マティーニはジンが王道ですがウォッカを使うとジンほど香りが強くない分のみやすくなります。今宵は春の貴婦人に酔いましたのでこのくらいが相応しいでしょう。
いつの間にか夜の帳が降りて来ました。ざわめきの矢場町から離れて孤高のごとくこの美しい家は静かに今宵の 幕を開けようとしています。これからどのような出会いが生まれ、別れが訪れ、喜怒哀楽を見かけるのでしょうか。
＊今回の写真は最初の4枚です。
2011.11.25
今回はバーテンダー氏に特別にこちらから先に命名したカクテルを作ってもらいました。以下オムニバス風に。
○秋の有閑マダム
ジン、ラフランスで。
これを飲んだ若い青年がうなった。「マダムが耳元に息を吹きかけたように妖しい！」
○都会の夜の危険な香り
ジン、バーボン、スイートベルモットで。
私がそのカクテルを飲んでいると隣に若い女性が座った。彼女はバーテンダーが薦めたウイスキーが気に入らなかったようだ。私に「もっと刺激的な飲み物はないのでしょうか」。私はバーテンダーに一言。「あれを」。彼女はおそるおそる飲み始めた。しばらく静寂が。
やがて彼女は「私をこんなにして！」眼は虚ろだった。
若い女性にはお薦めできません。（私）
○大人の男のための渾身のマティーニ
強い！力強い！クール！、熱い！、私をこんなにして…（汗）
＊今回の写真は最初の3枚です。
スイカのカクテル（ウオッカベース）
ミドリノカクテル（ミドリリキュールと白ワイン）
ホタテ、鯛、ウニのタルタル
ホウレンソウとベーコンのサラダ
秋の有閑マダム
都会の夜の危険な香り
魂のマティーニ
春の貴婦人
ウオッカマティーニ
魔性の愛の日々
シャンディガフ
マティーニ
オードブル
2013/09/04 更新
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決して交通の便利な場所ではない。おそらく多くの方々はタクシーか。しかも看板もない外観は。良く言えばオシャレでスタイリッシュ。他方、コンクリートの打ちっぱなしで。殺風景にも見える。バーはいったいどこに。
店の名前はドイツ語で「美しい家」。しかも名古屋では歴史の長い老舗、有名バー。初訪時は携帯で入口を確認したくらい。ただ一歩店内に入れば。まるで別世界。バーカウンターの頭上は吹き抜けの天井。なかなかムーディーだ。
店全体が美しい花々に覆われ。幻想的で艶やかな世界を匂わせる。まるで大人の雰囲気以上に。愛し合うカップルが夢を語るにふさわしい。そしてここからどこに飛び立つのだろうか。夢の先は楽園か、現実か。
初訪時の印象が良かった。あの好きな「清らかな女神」が聴こえてきた。その美しい調べは心を落着かせ。カクテルとともに酔わせてしまう。さすがオペラの名曲でマリア・カラスの最高傑作。惚れ惚れとして聴き入った。
そしてメニューの中から。甘い誘惑のカクテルを。ブランディーとカシス。何か高級感にあふれつつ熟成の奥に甘い誘惑が潜むような大人のカクテル。夢を辿る至福の思いと。愛を語る情念でも表現しているような。