喰って呑むことが楽しいや。 : 秋鹿酒造

秋鹿 純米大吟醸 レトロラベル

秋鹿党としては求めざるを得ない。
まだ、飲んでいません。

なぜなら、アテがないからです。
一級のアテと試してみたい。

翌日。
アテを買って帰りたい。
と、思っていましたが、仕事から直帰したので
アテを探す暇がありませんでした。

そんなわけで家に着いて速攻で
一口。

「ん〜、まろやかだなぁ」。
熟成酒らしい深い味。
アルコールらしい味わいの中に、実に複雑な味が
混ざり合う。舌先にしびれ。喉奥に強めの苦味の残味。

嫁が煮た花山椒に合わせてみる。
意外や、花山椒の鮮烈な辛味にも勝る苦味。
不思議と山椒と酒とを交互に続けたくなる。

「これはアテを喰わせる酒かもねぇ」。
いやはや、喰って呑むことが楽しいや。

秋鹿は本当に八面六臂を現す酒だな。
こんなにも顔の多い蔵も珍しい。

秋鹿一本。

今年度もお世話になりますね。

では。

「秋鹿 純米にごり生原酒 山廃 霙もよう」

開栓注意ですよ。
王冠を開けるよりも、その周りの蓋を剥がしている最中に
一発目がやってきます。
これを凌いでも、第２波、第３波が襲い掛かります。

開ける前に瓶の底に澱として淀んでいたものは、
激しい吹きこぼれにより、全体に混ぜ合わさって、いい感じに白濁します。
グラスに注ぐや、三ツ矢サイダーばりに発泡しています。
「活性しているね」。

一口。
「ぬおぅ」。
炭酸飲料のような発泡の刺激。
そこに澱の成分の口触りと味わいが流れ、喉奥から鼻へと、
ガスが抜けて、苦味を残す。
舌先にしびれあり、喉奥に苦味あり。

「美味い酒だな」。
これはアテなしでいくらでも飲める。
甘ったらしくないから、ごくごく飲めて、喉の渇きを潤す。

酒の旨みをいただくのもさることながら、
「飲むことの口福を楽しむお酒だね」。

こんな最高のお酒が、一本3千円と少しで買うことができるのだから驚きだ。
断然リーズナブル。

これは海外でもウケそうだが、運ぶのが難しいだろうな。
でも、海外のあらゆる人々に飲ませてあげたい最高のお酒だと思います。

とは言え、海外に回って、私の飲む分が高くなったりしたら嫌なので、
「やっぱり、日本だけで良いね。どうぞ日本に飲みに来て！」。

秋鹿一本！

では。

大阪・能勢

久しぶりに「秋鹿」が飲みたくなりました。
いつもの酒屋で物色。

「ん？」。
なんだか怪しげな絵がラベルの真ん中に陣取っている。
「雄町」と「山（絵）田NISHIKI」。
「なんじゃこらー」。

秋鹿　生酛純米　無濾過生原酒　自営田　雄町・山田錦

麹米に雄町を、掛米に山田錦を用いた酒。
その名も「ゴールデンコンビ」。

早速開栓。

香りはそれほどフルーティではないが、生っぽいようなくさみを纏っている。
匂いの奥に、雄町独特のクセを孕む。

味は、酸が立っていて、喉奥にわずかに苦味を残し、舌先に心地よい刺激あり。
喉奥の苦味は時間が経つにつれ酸味に変わり、如何にも味わい深い。

口に含んで飲み干した直後は水っぽいようにも感じるが、
じんわりじんわりと旨味が広がっていく。

「肴はいらねぇ。酒がすすむ」。

成程、ゴールデンコンビが渾然一体とはならないで、
それぞれを主張しながら同居している。
「まずは俺（雄町）が、次はわたし（山田錦）」。

「面白い酒をつくるものだ」。

雄町の不作でこのような造りになったようですが、
その時々に応じて、こんな面白い酒ができるのだから
不作もまた珍妙。

平成二十九年のこの酒は、この年にだけ生まれた銘酒。

「この秋、しか（鹿）と記憶に刻まれた」。

秋鹿一本。

では。

平成28年8月

大阪狭山市の選りすぐりの酒を置く酒屋に行く。
高知の雄町仕込みの酒を買おうと思っていましたが、
やはり、目に入るのは「秋鹿」。

「生酛 秋鹿 純米無濾過・生原酒 自営田 雄町」。

先般、山廃を求めたが、今回は生酛。

帰るなり開栓。
香りは…。
「とても上品。棘がなく、やんわりとしている」。
香ると同時に味わいが想像される。

一口含む。

「なんてまろやかな味わいだ」。

速醸とも、山廃とも違う。
「雄町を飲むならこれだねぇ」。
とっても個性的な雄町でも、生酛で仕込むと、
クセの芯は残しつつ、頗る上品。

開栓後間も無く、酸は立たずに、旨口の味わいが喉奥に響いてくる。
とても甘い。
そのくせ、舌の上には確かに飲み口の刺激をかすかに残していくのだ。

「旨い酒があるものだな」。

予て納得の秋鹿ではあるが、
「ここまで旨いと、他に手を出せなくなる」。

困ったことだ。

では。

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平成28年8月

京都の行きつけの酒屋で秋鹿を求める。
「山廃 秋鹿 純米無濾過・生原酒 自営田 雄町」。

山田錦ではない、速醸でもない。
酵母は7号酵母。
「真澄」によって分離されたきょうかい系酵母。

私は、この酵母のお酒が大好きだ。
6号酵母にはない、野趣が存分に存在し、
且つ、とてもフルーティ。
香り良し、含んだ時の舌触り良し、飲み込んだ時の残味良し。

「こんなの飲ますかぁ」。

このところ期待を持たせておいて、そんなでもないお酒が多かった。
ここに来て、真打の登場です。

待ちに待った、「これですよ、これ」感。

「寄り道も、浮気もするもんじゃないな」。

「秋鹿」一本！　本当に飲みたいのはこの酒なんだな。

では。

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平成28年5月

久しぶりに日本酒を購入。
「秋鹿」の無濾過生原酒。

買ってきたままの冷酒に近い温度で開栓。

一口。

酸が立つなぁ。
極めてピリピリと舌先に刺激を与える。

そして旨口。
じんわりと喉奥と舌の根の両脇に苦味にも近い甘味を残す。
実に摩訶不思議な体験。

味の五味をふんだんに味わわせる酒。

これが大阪の酒。

とてつもなくフレッシュで、活き活きとしている。

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平成26年11月

大阪、能勢。

ここに稀有至極な酒蔵あり。

誰がここ大阪の地に、これほど旨い酒が出現すると思うだろうか。
私もそうだった。

でも、一度飲んだその日から、この酒が普段飲みの定番となった。

噫、老いも若きも男も女も、この酒を飲むならば、
日本酒嫌いにならなくてよいものを…。

この酒は、家の外で飲むことは少ない。
あまり出回っていない。

皆、この酒の旨さに気づいていないのか。
悲しいことだ。

しかし、また、嬉しいこともある。

人に飲んでいただくときに、この酒を供すれば、
皆、一言、こう言うのだ。
「日本酒っておいしいんですね」。

「秋鹿」は大阪だけでなく、日本を代表するほどの実力蔵。
池田からさほど遠くない田舎の通り際に酒蔵はある。

自営田で栽培された酒米を用いて、酒を醸す。一貫造り。
いわば日本酒の「シングルモルト」。

ふくよかでどっしり。
芳香が口の中から鼻に抜け、
舌にわずかにしびれを残す。
そして、また、ふんわりと芳香が薫る。

吟醸酒にはない、純米無濾過原酒の味わい。
ある種、雑味とも言えるこのクセが、日本酒の持ち味。

協会系酵母をもちいてはいるが、
この蔵には何か得体の知れぬごっついものが潜んでいる。

大阪には旨いものがまだまだありそうだ。

しかし、皆様。この酒に最も合う料理は、
我が出身地千葉の郷土料理、「なめろう」だということは、
皆様、知る由もないでありましょうから、
ここに記しておきます。
一度お試しあれ。

では。