肉の旨さとソースの旨さ＠動物園前 : 南自由軒

地下鉄御堂筋線、堺筋線・動物園前駅の2号出入口から地上に出て南方向。飛田本通商店街（動物園前一番街商店街）にある洋食店です。店内はカウンター席とテーブル席からなる全17席です。

ビーフカツセット（1,400円）はサーロインのビーフカツが100gでライス・サラダ付きです。サラダはシャキシャキしていていい感じ。驚くことに、ミニトマトは丁寧に湯むきされていました。実に細やかな仕事をされています。

ビーフカツは小ぶりなサイズが2枚。ビーフカツはさすがのサーロイン。肉質は柔らかく肉汁が溢れてそうなぐらいで、赤身肉の味わいを堪能できます。デミグラスソースは淡い褐色で野菜の甘みを感じさせる軽い風合いです。

お店の「のれん」たるここのデミグラスソース、ワタシの中ではいちばん好みの味です。また、年季を経た分、風味やコクが増してるようにも思えます。

市営地下鉄御堂筋線、堺筋線・動物園前駅の2号出入口から地上に出て南方向。ここを北の動物園方向に進むと今や外国人観光客も大勢訪れる「ジャンジャン横町」だが、こちらは飛田本通商店街（動物園前一番街商店街）の入口となります。

観光地化された「ジャンジャン横町」とは対照的に、こちら側は現在でも労働者の町で大阪の最深部。足元の覚束ないオヤジたちが彷徨っている中、ときおり眼光の鋭いその手の方々が闊歩したりしています。

道ばたに横たわっているおっさんを見ながらこの商店街をしばらく進んだところに、軒先にオムライスを模した看板を掲出した、この地ではやや違和感のある洋食店が現れま す。ここにワタシの大好きだった洋食店、南自由軒があります。

この南自由軒、ぐちゃぐちゃのカレーで有名なあの自由軒とは無関係だが、創業が昭和初期という、この地でしっかり根付いた老舗です。一時期、昭和町へ移転され、店名も変わっていたが、再びこの地へ、昔の屋号とともに戻ってこられました。

緑色に塗られて若々しくなったエントランス（その代わり年季を経た暖簾は無くなったが…）から中へ。店内は大きめの厨房とそれを囲うカウンター席、背後と奥にテーブル席のある全20数席。お客の年齢層は高めで、地元の常連さんが大多数です。

厨房でフライパンをふるうのはここの三代目の店主。にこやかな女性スタッフがホールに立ち、かいがいしくサービスされています 。お店自体は多少リニューアルされてるようだが、年季と風格は一部残っています。

メニューを見ると様々なセットが用意され、一瞥では解かりづらいが、要はオムライスを核に、ハンバーグやとんかつ、エビフライなど洋食の定番とのコンビネーションが主体のようです。もちろん、オムライスやカレーなどの単品も用意されています。

散々迷った末に、「牛肉のオムライス」・「黒毛和牛の煮込みハンバーグ」・「海老フライ」のセット（1,200円）をお願いしました。各セットにはお味噌汁も付いているようです。

順番に調理されているのでやや待つことになるのだが、手際良い厨房の店主の動きを見ていると退屈することはありません。期待が絶頂に高まってきたころ、お料理のプレー トとお味噌汁が運ばれてきました。

四角いプレートの手前にオムライスと海老フライが、奥がハンバーグとサラダになってて、オムライスとハンバーグには共通のデミグラスソースが回し掛けられています。オムライスに乗ってるグリーンピースが昭和感を醸しています。

以前ならステンレスのお皿で出てきてたところ、今風なプレートになっているのは時代の流れかな？紙ナプキンでパッツンパッツンと巻かれたナイフ・フォークが無くなっているのもやや寂しい。

オムライスにスプーンを入れてみる。昔ながらの薄焼き玉子に柔らかめのケチャップライスがしっかり包まれています。薄焼きながら、内側は少し半熟でとろっとしている。今や主流のふんわりオムライスとは一線を画す、コンサバな仕上がりです。

ライスは牛肉の煮込みがたっぷり混ぜ込まれていて濃厚なコクを持ちます。デミグラスソースは淡い褐色で野菜の甘みを感じさせる軽い風合い。このソースこそお店の「のれん」。曲折を経た分、風味やコクが以前より増してるようにも思えます。

ハンバーグは小ぶりなサイズで、牛肉を主体にしているのか、肉汁が溢れてくることはないが、赤身肉の味わいを堪能できます。このハンバーグと件のデミグラスソースとの相性は抜群です。

海老フライは有頭で、ニューカレドニア産の「天使の海老」とのこと。尻尾から頭までカリッと揚げられていて、目の部分だけ残して全部いただきました。添えられてるマヨネーズは自家製かな？すっきりとした味わいが好ましい。

サラダもシャキシャキしていていい感じ。驚くことに、ミニトマトは丁寧に湯むきされていました。実に細やかな仕事をされています。

オムライスにハンバーグに海老フライ…これにプリンがついて、国旗を立てたら、まんまお子さまランチやん！小さい頃に一度だけ食べたお子さまランチを思い出してしみじみしてしまいました。

余談だが、亡き父は若いころ、進駐軍相手のコックをしていたため、こだわりがあったのか、小さい私にもレストランでは大人の食べるもの与えてくれました。なのでこのワタシ、お子さまランチ体験がほとんどないのです。

話は戻ります。お会計の際はお釣りとともに飴ちゃんひとつをくれました。お店を出ると、女性スタッフが出てきて「また来てねー」っと手を振ってくれる。こんなフランクなお見送りに出会ったの初めてです。気分良くお店を後にすることができました。