コンパクトな店ならではの楽しさ : すし処 つま美

2016/7/3 ディナータイム


何回もこの店の前を通ってはいたが、なかなか入れなかったのは、かなりの人気店らしく、中がちらっと見える窓からさりげなく覗くと、いつも満席だったからです。なので、今回は電話で予約してみようと思いました。

「今夜、ひとり予約したいんですが」

『何時からでしょうか？』

「何時でも空いている時間で」

『少々お待ちください。。。前のお客さんが帰り次第ですが、9時ぐらいには空くと思います』

「じゃあ、空いたら電話下さい」

『分かりました』

やっぱりかなりの人気店だと分かりました。まあ、当日の昼過ぎにかけたので、しょうがないのですが。しばらくして、『キャンセルが出たので8時でお願いします』と電話があったので、7時ぐらいに行きつけの(？)ラーメン屋に行って軽く"食前酒"を飲んで、そのままこの店に行くことにしました。この店は、いつも行くラーメン屋の斜め向いだったのです。

ラーメン屋で日本酒を1杯飲みながら時間調整し(ラーメンは食べず)、8時ちょうどに店に入りました。

店舗はかなりコンパクトな作りで、2階もあるようですが、1階はL字型のカウンターのみで、ギリギリ後ろが人ひとり通れるほどの狭さです。9人が定員で、これ以上詰めると隣の客に触れてしまいそうな距離感です。最初、カップルとカップルの間の一席しか空いておらず、自動的にそこが自分の予約席だと分かったのですが、「え？ここに？」と思いました。それほどにコンパクトだったのです。

でも結果的に、その距離感が会話を楽しめることにつながったので、それはそれでいいのかも、と思いました。まあ二人で静かに寿司を楽しむ、という目的で来ている客もいるんでしょうけど、この店はそういう用途には向かないようにも思えます。どちらかと言えば、大将(と言っても若い感じ)との会話を通して、もしかしたら客同士のコミュニケーションに発展するかも知れない、そういうシチュエーションを楽しむ空間のように思えました。まあ、個人的な感想ですが。

カウンター9席というのが微妙で、入った時には、女性同士も含めたカップルが4組いました。カウンターは先客も後客も2人組ばかりで、ピン客はずっと私のみでしたので、奇数の座席は、私がいなかったら常に1つ空く状況だったはずです。まあ、私のような客もたまには来るのかも知れないし、3人組も横並びで何とか会話できるでしょうし、カウンター席が奇数だからと言ってその点をツッコむ必要はないんでしょうけど、オヤジは妙なところが気になるんですわ。

最初、大将は黙々と寿司を握っていましたが、ちょっと話しかけると、ちゃんと会話に乗ってくれます。というか最後はノロケられましたし。

「この店の"つま美"という屋号の由来は？」

『寿司をつまむという意味ですわ』

「まんまですな」

『いや、それ以外にも意味があるんですよ』

「ほほ〜、どんな？」

『妻が美人で、つま美、ということで』

「おっと、そりゃご馳走様。あ、まだ寿司は食べてるけど」

ホール係のオネエサンも笑っていたので、これは通常ネタなんですかね。見事に引っかかりました。大将とは、間欠的に色々と雑談しましたが、それと並行して、左隣のカップル(おそらく同じ予約時間だったようで私より早く着席していたが、私が座った時にはまだ料理は出ていなかった)とも何かのきっかけで会話をすることになり、かなり盛り上がりました。

私の隣は、そのカップルの女性の方だったわけですが、最初横目でチラ見した時には、若い女性なのに派手だなぁ、と思ったのです。しかも、二人分のシャブリを普通に頼んでいるし。でも、お二人と話し始めて、過去のキーワード(ピンクレディとかキャンディーズとか)を共有した段階で、それなりのお歳だと分かり、ちょっと驚きました。確かに、ご主人(と思われる)は私と同年代のようで、その奥さんだったので納得はしました。でも、持っていたスマホを見ても派手な感じで、記念に写させてもらいました。(なんでも撮影する妙な趣味のオヤジ一匹)

食べログの話でも盛り上がったので、このレビューも見られるかも知れませんが(と言うかレビューを楽しみにしているとのこと)、第一印象や感想を正直に書いてしまいました。もし、お気に障ったらごめんなさいです。フォローじゃないですけど、奥さんも「つま美」でしたよ→ご主人。いやマジで。

L字型カウンターは、大将の目が全員にしっかり行き届くサイズなので、料理の提供タイミングは各々の客の食べるスピードにちゃんと合わせており、気持ちよくスムーズに飲食できました。

お酒を3杯飲む予定で、込み込みで1万円を切るようにするには、ということで、7000円のおまかせコースにしました。実際、日本酒を2杯とワイン込みで、9300円でした。約2時間、美味しいお寿司と魚、お酒をいただき、さらには楽しいコミュニケーションが出来たので、満足度は高かったですね。こういうお店の価値って、食べ物以外にスタッフやお客さんも作り出しているはずで、今回はそれが揃ったので、より満足できたのだと思いました。

まあ、酔ったオヤジの自己満足だけなのかも知れませんが。

最後の方で、飲み過ぎで落ちそうになっていた私を自然にケアしてくれ、ドアまで見送ってくれた大将に感謝します。

ごちそうさまでした。季節(旬)が変わったらまた来ます。