ありがたい、冷蔵庫テーブル : 立呑み きむらや

残暑厳しいお盆明け。
夏の前半は休日になるたび天候に恵まれず予定が狂いまくる。
そしてようやく、リスケとなっていた正寿院へ行くことになりました。
家を出たのは昼過ぎ。
思いのほか目的地までは時間がかかり、34度を越える猛暑の宇治に到着したのは14:30過ぎ。
ちょっと休憩と途中で老舗和菓子屋さんに寄りってお茶でもと思いましたがなんと75分待ち。
しかもバスまでは20分ほど。
ダメもとで予約のボードの記名だけして、後にしました。
バスの車窓から、まるで故郷に帰ってきたかのようなのどかな田舎の見ながら
揺られること40分弱。ココでさらにバスに乗り換え。
更に山奥へすすみ到着した目的地には風に揺れ鳴り響く風鈴の音と、
天井絵の素敵な和室のフォトジェニックな空間。
来た甲斐があったと思いながらのんびりと・・・
おっと、もう帰りのバスの時間！！
山間の道を小走りで慌ててバス停に向かい何とかセーフ。
そして再び宇治へもどり、さてようやくお茶をと思ったら、
事前調べに反して、すでに閉店。
なんてこった。
仕方なくお土産だけ購入し、次の目的地下賀茂神社へ向いました。
現地に着くと、イベントを見に来た人でごった返し、
到底入れそうも、ゆっくり出来そうもない。
ここはあきらめて、家路につくことにします。
残念な思いを胸に乗換駅に到着。
このまままっすぐ帰ろうかとも思いましたが、そんなわけには行かない。
一杯やっていくことにし、乗換駅に近いこちらの店に行くことにしました。
京阪・JR駅界隈のディープスポットからはちょっと離れた、
静けさの漂う通りに夜でもちょっと目立つ黄色いファサート。
こじんまりとした店の入り口までは立ち客が飲んでいる姿が見えます。
これは、満席かな。
なかばあきらめぎみに外から店内を覗くと、やはり超満員で入れる隙はなさそう。
重なるときは重なるものだなぁと別なお店に行く覚悟を決めたとき、
中からOKの合図。
扉をあけ店内に入ると、なんと入り口すぐに置かれていた冷蔵庫前がこの日の席。
いや～入れてもらえるだけで、うれしいやら、ありがたいやら、そして面白いやら。
立ちのカウンターのみの店内は、ほぼ常連と思しき人たち。
こんな中、一人飲み20代女子もいたりします。
メニューはカウンター越しの壁にずらり。
パッと見、ドリンクもつまみもリーズナブルな印象です。
とりあえず生ビールをオーダー。
その後はじっくりと壁を見つめる。

とりあえず1品目は、4種盛りで350円なんていう激安メニュー。
ひょっとして、これだけでも満足できるかも。
店員さん、客ととにかく賑やかな雰囲気の中、一人静かに。
途中、どうやらマスターの誕生日だったらしく、余計に皆で盛り上がっています。
冷蔵庫の上に置かれた四角いお皿にのった4種盛りの内容は、
ポテサラ、むし鳥、だしまき、煮豚と好みのラインナップでうれしい。
素朴ないかにも居酒屋味のつまみを食べながら飲んでいると、
隣の女子がなにやら美味しそうなものを食べている。
勇気を絞って何を食べているのかを聞いてみると、
笑顔で一口いかがですか？とすすめてくれる。
なんだか悪いような、うれしいような複雑な気分の中、お言葉に甘え一口。
そして次の瞬間、ベテラン女子店員さんに同じものをとオーダーしてしまう。
どうやら、牛たたきのユッケ風（350円）らしい。
しかしボリュームあり、この金額はかなりリーズナブル。
それがきっかけか、女子が話しかけてきてくれて、しばし話しながら飲む。
この店のおススメを教えてくれたり、京橋界隈のお店のはなしで盛り上がる。
ドリンクは、トマト酎ハイに変更し、つまみは女子おススメのハラミ焼き（400円）を。
出てきたハラミは大きめの白い皿にレタスとポテトサラダが添えられて出てきました。
しかもかなりの大きさで、思わずデカっと口走る。
それをみた女子はにこりと微笑み自慢げな表情。
しかもポテトサラダつきとしては、2倍お得な気分。
そんな感じで、軽くのつもりが4杯目をオーダーしようとしている自分。
ラブワイン、ラブボールなど“ラブ”がついたドリンクメニューがならび気になっていましたが、
その中からラブチューハイをオーダーしてみることに。
ジョッキに入って出てきたのは凍ったラズベリーとブルーベリーの入ったものでした。
紫と濃い目のピンクが色鮮やかな素敵な見栄え。
この渋い立ち飲み屋のメニューであることもまた輪をかけて面白い。
サッパリとしたベリーを噛みながら飲む。
そしてうっかりしていると、いつの間にかお客さんは退散し、
空いたスペースに移動した隣の女子は常連さんと思しき男子と話し始めていました。

ラブどことかほろ苦さだけが残る夜。
アウェーの洗礼を浴び、静かに家路に着いたのでした。

評価詳細:3.47