ハード系特化の雄 : ブランジュリ P&B

北堀江の一角に位置するハード系特化の強豪です。

このお店を語る上で最初に出てくる言葉が一様に「店の狭さ」があります。正直、狭いなんてもんじゃないです。2～3人くらい？とかそんな問題じゃありません。1人入ったらもう外で待つしかないくらい特殊な世界です。販売方式が対面形式なのでその人が終わるまで後の人は何も出来ないという意味ではもはや面接。

オーナーシェフはお客と語り合いながらのパン屋を目指してるとの事で気難しそうでありながら実は気さくでお喋り好きなオーナーならではですが、会話よりもパンを選ぶ事だけに集中したい人には不満も出そう。ただ店内を切り盛りされているお二方は話しやすい雰囲気を持っていて特に見た目クールガイでありながら人懐こい笑顔を見せるオーナーシェフさんは女性客に人気あるだろうなと男ながらに軽く嫉妬ですw

さて、パンの方は前述通りハード系特化ですが売り場が異常に狭いのであまり多くは置けません。バリエーションは豊富ながらも1種類につき1～3個くらいしかストックを置けないので想像しているよりも遥かに小ぢんまりした印象を受けるでしょうが、パン自体の見た目はさすがに興味をそそる色合いと形状のものばかりです。


【バゲットトラディショナル黒】（280円）
大阪でも5本の指に入ると謳われるP&Bさんのバゲットで開店（11:30）から1時間以内に売り切れる人気商品です。

外はパリパリで中身はもっちりなのはバゲットではよくある特徴ですが、ここのバゲットは他店のもっちりを遥かに超えたもちもち感。切り分けてみるとクラム内は気泡だらけ。丁寧に長時間の低温発酵を行い、この気泡を崩さないままもちもち感を維持できる限界までの加水量、計算された余熱と焼成温度、まさにこれを食べずしてP&Bに来る意味はないと言えるほど。

リベイクして切り開いてみると大量の湯気が出てくる事からもギリギリの加水量で攻めに攻めてる感があり、ハードなクラストの噛み応えを癒すクラム部分のしっとりもちもちさと香気こそ私がここのバゲットに心酔する理由でもあります。

勿論、今回もこのバゲットを贅沢に使ってカスクートを作りました。野菜とパストラミだけのお粗末なカスクートでも自作だと美味しく感じるから不思議(^^;


【食パン】（480円/1.5斤）
P&Bの焼印が入った食パンです。

ブロック時の表面はカチカチ、バターナイフで叩いてみるとかなりの硬質感のあるクラスト。実際、耳は固めながらその実、味は濃厚。昨今流行りの油脂に頼ったもちふわではなく、かと言ってハードトーストでもなくパンドミ寄りの純粋に小麦の香りと甘さだけで勝負する品質本意の食パンで、トーストすると香りは更に強調されるまさにP&Bらしさ（噛み締める悦び）が注入された食パンです。

【ディアブロ】（240円）
異様なまでに真っ黒に染め上げた暗黒物質の正体はカカオ70%のセーグル生地にクランベリー、ピーカンナッツ、パインを閉じ込めたパンで、最初にグワッとどっしりした苦味が口内を駆け巡りますが、ドライフルーツなどによりすぐに緩和されそこからはチョコの甘味へとシフトしていく味覚変化系のパンと言えるでしょう。かなり特異な外見ですがチョコ好きにはたまらない風味と言えるでしょう。

【ボルカノ】（560円/280円）
大粒のいちじく、レーズン、くるみがぎっしり入ったフリュイセックで大と小があります。このパンはいちじく大噴火と言わんばかりにいちじくがどっさり入っており、最初から最後までフルーティーな甘さとプチプチ感が楽しいパンです。

【ヘーゼルナッツとチョコのツイスト】（190円）
おとなしげで穏やかな外見に反して中身は真っ黒という小悪魔系。チョコ自体がかなり柔らかく引きの強い生地を噛み締めるとトロリとしたチョコが流れてきます。この小さなボディに反してナッツのこってり感とシナモンの香りが贅沢感を醸し出していますがややビター感が強いのでそういうチョコが苦手な人は手を出さないほうが無難。

【フィグボム】（210円）
イチジクを練り込んだ生地に更にセミドライイチジクを巻き込み、そこにクリームチーズのキューブを埋め込んだP&Bさんの人気商品で、甘さ一辺倒になりがちな全体をクリームチーズの濃厚な風味とクリーミーさが巧く緩和させて一つの作品として完成。個人的にはマストバイなパンです。

【マロングラッセと胡桃と蜂蜜】（280円）
マロングラッセが主役かと思いきや蜂蜜で漬け込まれた胡桃とマカダミアがなかなかの自己主張。それでいてマロングラッセのホコホコ感は維持したままで噛み締めるたびに笑顔が零れる。何より一つ一つの具材がゴロゴロしてるので贅沢感がハンパない。

【レザン】（200円）
シンプルなネーミングと形状ながらもビックリするほどレーズンがギッシリ詰まってて、お手軽に食べる事ができて即座に満足感を持てるある意味でP&Bのファストフード的な、1本満足的な存在。

【オレンジのパン】（200円）
全体的に攻めの姿勢の強いハード系にあって、このパンは癒し系と言うかリュスティックタイプの高加水の生地で全体的にもちもち感が強く、噛み締めていくたびにオレンジピールの風味が全身に染み渡ります。余裕がある時にはこれも買っておきたいパンの一つです。

【ベーグルドッグ】（300円）
オムライスやカツ丼の如く「美味い物と美味い物を合わせたらもっと美味くなるんじゃね？www」的な魔改造ジャパンの本領発揮とも言える惣菜パン。ムチムチのベーグル生地とパリッとジューシーなソーセージの組み合わせの前に言葉はもう必要ないでしょう。

【あんこフランス】（180円）
丹波大納言の餡子をハード生地に包んだパン。餡子が少なく見えるかも知れないがかなり引きの強い生地を使ってるのでこれくらいの量で丁度いいと思うが、人によっては物足りなく感じるかも？


以上です。ごちそうさまでした。


【価格帯】120～560円
【サービス等】特になし
【定休日】日曜
【付近のパン屋】ホットクロス、ペサ、ケイットレイパ、キルシュブリーテ