大阪では硬派な江戸前鮨 : 鮨 ほしやま

3月も終わりの金曜の夜に数ヶ月振りに北新地の「ほしやま」さんに行ってきた。

あまり細かくリポートするつもりは無いが、相変わらずここのシャリは旨かった。
先般、師匠である京都祇園の「まつもと」さんに伺ったが、師匠とはまた違うものの旨いシャリだった。

いただいた料理
突き出し:もずく酢
造里:明石真鯛、赤貝、甘鯛
蛍烏賊、青柳
金目鯛炙り
子持ち槍烏賊

以下は握り
真鯛昆布締め
墨烏賊
小肌
大トロ
鰆
煮蛤
天草産天然車海老
春子
鯵(青葱をシャリにかませている)
藁で炙った太刀魚
蝦夷馬糞雲丹小鉢
追加:墨烏賊
煮穴子
玉子

アルコール
サッポロ黒生小瓶×2本
日本酒:墨廼江、甦る、石鎚 各1合

ごちそう様。

2016/7/15

酷暑が続いた7月。
朝から比較的涼しさを感じた金曜日。
北新地で大阪における江戸前鮨の名店として名を馳せている「ほしやま」さんにお邪魔してきた。

一週間ほど前の予約で20時半から入れてもらえた。予約時間ちょうどに入店すると、お連れ待ちの女性が1人。私は星山大将の正面に案内される。

お連れ待ちの女性は静かにビールを飲んで待っておられたので、私から先行して料理が始まる。

先ずはビールを注文す。
サッポロの小瓶のみ。
小さくて薄いグラスと共に冷えたビールが運ばれてくる。私は何と言われようが最初の一杯目はビールだ。ビールの苦味がその後の食事や酒を受け入れる為の道を開いてくれている様な気がしている。

付き出しの岩もずく。
シャキシャキした食感が楽しい。

続いてお造り。
北海道のツブ貝、兵庫県明石産アマテ鰈、同じく明石の蛸。
ツブ貝は歯応え良く、しかも甘みが強く超絶品だった。ここまで美味しいツブ貝は人生で初めてな気がする。
アマテ鰈、いわゆる目板鰈であるが、特に昆布で締めてるワケでもなく、長期間寝かせてるワケでもないのだか、アマテと言うだけあって、甘みが非常に強い。
このお店の仕入れの素晴らしさを感じ、これからの展開への期待が膨らんだ。

ここで冷酒をいただく事にする。
岩手県「阿部勘」純米吟醸。
華やかさは控えめながら、料理の個性を引き立てる名脇役といった趣の酒。ラベルの裏側に優雅に泳ぐ金魚が印刷されている。夏限定らしい。

鰹のたたき。
塩で旨味を閉じ込めた後、藁で皮目を炙っている。身はネットリしていながら皮目のスモーキーな香りが素晴らしい一品。

炙り鯵。
串を打ち直火で炙り、葱、白胡麻、醤油で味付け。

蒸し鮑。
千葉県大原産。
仕上げに煮詰めた蒸し汁を和えている様だった。
程良い硬さを残した蒸し具合で、これまた旨かった。

冷酒 山形県「山形正宗 たむぎの」純米吟醸。

ここから握り。

鱸昆布締め。
昆布の味がかなり強い。

シャリは赤酢中心みたいで、米の甘みはあるだろうけど、砂糖の甘みは無い様に感じられた。塩気がかなり強い。硬さは特に硬いという感じではない。

墨烏賊。
スダチと塩で。
墨烏賊特有のサクッとした歯応えが良い。

新子。
三枚付け。
かなり強い締め方。
従ってシャリとの相性は良い。

本鮪赤身漬け。
北海道の鮪らしい。
事前に刷毛で醤油を塗って置いておく即席型。
ハッキリ言って醤油辛い。シャリの塩分が強いので余計にそう感じる。

大トロ。
こちらはシャリとの相性がバツグン！
冬の大トロに比べたら脂は弱いが爽やかな脂が心地良い。

天然車海老。
かなり大ぶりなので、半分に切って供される。
握る直前にお弟子さんが茹でて殻をむき大将によって握られる。握る際も山葵の他におぼろを挟む。海老特有の甘みが強い。シャリとも合う。

鱚。
塩で締めているらしい。上品な味わいで、シャリの美味さを引き立てている。

金目鯛。
炙って温かいところを握る。
脂が一層甘く感じる。

海松貝(ミル貝)。
歯応え、香り、味わい全て完璧。
早川光ばりに目を閉じて陶酔してしまった…笑

熊本県天草産の赤雲丹。
磯の香りが強い。

煮穴子。
直前に炙って供される。

冷酒お代わり。
福島県「からはし」純米吟醸。

鰯。
シャリに葱を乗せて臭みを消している。
鰯の脂の乗りが尋常でない。

玉子。
これで終了。

追加出来るタネを尋ねると、二種あるそうなので、両方握ってもらう事にする。

天然縞鰺。
超が付くほど上品な味わいで、力が抜けるほと旨い。シャリとのバランスも素晴らしい。

赤甘鯛。
5日ほど寝かせているそうで、考えられない程のネットリ感と旨味に再び気絶しそうになる。

以上で本当に終了。

大将はベラベラと喋るタイプではなく、寡黙に仕事をする方だ。どちらかと言うと「機嫌悪いの？」って尋ねたくなる雰囲気さえ漂わせている。それ故に時折見せる笑顔が非常に魅力的に思えた。

ネタの多くは築地から仕入れるそうだか、最近では瀬戸内海の魚も積極的に取り入れているそうだ。その一例がアマテ鰈だと思う。

少し塩分が勝っているシャリだが、タネもそれぞれ味が強いので総合的にバランスも良いと感じた。

ごちそう様。