お宿は歳を取らないのに･･･ : 亀の井別荘

２０年以上前、このお宿を薦めてくれた方がいて行ってみました。
そのときは夫と一緒だったので「離れ」に泊まりました。
楽しいひとときを過ごせたので、帰りに夫が「また来たい！」とお部屋係の女性に言いました。
その方は大変親切で、「お掃除中のところもあるかもしれませんが、お客様がお発ちになっているお部屋はご覧いただけますよ。他のお部屋もご覧になって、今度は別のお部屋もお泊まりになってはいかがですか？」と言って下さり、ほぼ全室を見学しました。中に夫が非常に気に入ったお部屋がありまして、「今度は絶対にこのお部屋！」と決めました。当時はネット予約ができず、２ヶ月前だったか３ヶ月前だったかの同日の午前１０時から予約をする方式でした。休暇を取れる日の２ヶ月前だったか３ヶ月前だったかの午前１０時、夫は大張り切りで予約電話をしました。ですが、タッチの差で回線がふさがり、夫が何度も何度も電話して、やっと午前１０時半頃につながりました。すると、その日の「理想のお部屋」は予約済みだと言うではありませんか。諦めの悪い夫が「そのお客さんは、そのお部屋を知っていて指定されたんですか？」と訊くと、「いいえ。私どもがそのお部屋をお勧めしたんですが。」とのこと。重ねて「私はそのお部屋に泊まりたくて、ずっと電話をしてやっとつながったのに、そのお部屋でなくても構わないお客さんがその日そのお部屋に泊まるんですね。」と食い下がったら、「どなたをどのお部屋に泊めようと、私どもの勝手です！」とウンザリしたような返答がされたようでした。
お宿の対応に怒り狂った夫は、「わい、もう由布院なんかに一生行かへん！大分なんかに行くもんか！！」と申し、以後夫婦で由布院には行けなくなりました。
和風の豪邸で育った夫はこだわりが強く、そのお部屋（ヴィラ仕立ての「離れ」ですが）に泊まるのを当時一番の楽しみにしていたのですから、可哀想ではありました。東京の３ＤＫの社宅で育った私など、亀の井別荘の最低のお部屋でも大喜びできるのですが、同じようにはいきません。
しかし、私は亀の井別荘が大好きになりました。当時のもう少しひなびていた由布院も「また行ってみたい」場所になりました。そこで心中密かに「還暦を迎える頃に、１人で行こう！」と決意しました。
さて、晴れて今年還暦を迎える私。比較的早めに予定の埋まる夫の日程表を眺め、１泊２日の出張の日に湯布院旅行を計画しました。飛行機はＡＮＡの早割７５を利用して、かなりお得にチケットを取りました。さらにＡＮＡのＨＰからお得プランのレンタカーを予約して、いざ由布院へ(^_-)-☆

大分空港から小一時間で亀の井別荘に到着。
噂には聞いていましたが、雨の平日なのに由布院はインバウンドのお客様で一杯(゜-゜)
大きな道路から、亀の井別荘宿泊者駐車場に続く狭ぁい道に入ると、人、人、人！
クラクションを鳴らすのも大人げないし、もめ事になっては困るので歩くよりも遅い速度でじっくり進み、なんとか駐車しました。本当にあちらの方々は車なんか全然避けてくれませんね～。もちろんこちらに気づいているのですが、断固として横並びで談笑しつつ、ジグザグに歩かれまする･･･。一瞬でも横並びをやめると友情が壊れるのかもしれません(・・;)

先月号の『家庭画報』に色々な箇所をリノベーションされたと紹介されていましたが、趣ある門は変わらず、梅雨どきの美しい青葉たちも、あれこれの風情も相変わらずで、いつもは「梅雨って鬱陶しい」派の私もうっとり。。
チェックインは午後３時以降なのに、午後１時に着いてしまったので、宿泊客以外も利用できるお宿併設のレストラン「湯の岳庵」で遅めのランチを楽しみました。
なぜか食べ物屋さんから軽んじられる私。友人と３人連れで伺った宮島口のＴさん、夫と行った徳島のＫさん等の名店に伺っても、いつも穴子だの鰻だのは端っこの尻尾ばかりあてがわれてちょっと残念な気持ちでしたが、１人旅だと鰻も良いところをいただけて、嬉しかったです(^_^)
その後は「西国土産　鍵屋」でお買い物をしたり、「天井桟敷」でコーヒーをいただいたりして、チェックインタイムを迎えてお宿のロビーへ。
１人客なので本館の洋室に泊めていただきました。世界一ではないかと思うほど、ド下手な女医さんにされた乳がん手術のせいで大浴場に行く勇気がなくなっているので、贅沢でも個室露天風呂のあるお部屋にこだわるのですが、運良くそういうタイプのお部屋に泊めていただけました。
夕食も朝食も本館のレストラン「蛍火園」でいただきました。
心身共に大満足の１泊２日でした。
懐かしの談話室も相変わらずの素晴らしさ。
その日は談話室で蓄音機でのコンサートが開かれると教わりましたが、１人時間を堪能したくてお部屋でゆっくりしました。