のどかな場所に本格的なお店 : パンヤ ジュンヤ

GWで春木春陽堂さんに向かう途中で乗り継ぎの為に近鉄二上駅で降りて周囲を適当に散策してみたらパン屋さんがあったので「あんぱんかクロワッサンでも食いながら駅を目指すかな～」と軽い気持ちで入ったら私の目を覚まさせるほどの香りを持ったお店発見！

その名もPanya Junyaさん。
ジュンヤさんでいいのかな？

全くチェックしてなかったお店ですが並んでるパンはどれも魅力的な物ばかりで、しかもロデブを取り扱うほどのお店。私の中ではロデブを扱えるパン屋は腕に自信のあるお店という認識なのであんぱんやクロワッサンどころかついつい3000円くらい買い込んでしまいました。

尚、その後4回ほど遠征しましたが、気付いたのはこのお店の営業形態は開店と同時にヨーイドンのスタートダッシュ型で、常連さんもそれが分かってるのか週末だと朝の10時だともうスカスカでした。


【パン・ド・ロデブ】（800円/フル）
【4種のフルーツ入りロデブ】（1200円/フル）
1個丸ごと買いましたが相当デカいです。

アンダーミキシングによって織り成すそれは加水量の高さを示すが如く艶のあるクラムと化し、触れてみれば指に張り付くほどのしっとり感。スライスして縦に伸ばしてみるとバネのようにかなり伸びるので柔軟性も抜群。粉の香りを逃す事なく捉え、食べてみれば意外に強めの酸味が口内に清涼感を提供。朴訥な見た目でありながら五感に訴えかけるセクシーな味わいにヘビーローテを予感させる。

4種のフルーツ入りロデブはレーズンをメインにドライフルーツをギッシリ詰め込んでおり、ロデブ自身の高加水量とフルーツの水分で超ジューシー。どこから噛み締めてもフルーティーな味わいを楽しめますが、ロデブ単体で既に完成されてるのでここまで来るともはややり過ぎとすら言える美味しさで言い方は悪いが邪道。パン自体の美味しさだけを求めるならコスパ的にも普通のロデブで十分でしょう。

【国産小麦バゲット】（250円）
全粒粉を使いやや暗紫色の色合いを持つように適度に酸味を持つクラムとパリッとしつつ引きの強いクラストを持ったバゲットで香りもしっかり伝わる。このお店では地味な存在ですがロデブと並んでこのお店の実力を雄弁に語ってくれる存在です。

【ゴルゴンフランス】（190円）
ミニバゲットタイプのフランスパンにゴルゴンゾーラチーズを練り込んだハード系。むちっとした生地を噛み締めるとじゅわ～とゴルゴンゾーラ特有の香りと塩気が口内いっぱいに広がる。美味しいが非常に癖のある味わいなのでゴルゴンゾーラが苦手な人は避けるべし。

【クルミとハチミツとゴルゴンゾーラのパン】（180円）
こちらは上記のゴルゴンフランスよりも万人向き。ゴルゴンゾーラの風味はガッツリと効いてますがクルミのコリコリ感とハチミツの甘さがその癖の強さを緩和します。特にゴルゴンゾーラは塩気が強いのでクルミの脂肪分とハチミツの甘さとは非常に相性がいいです。

【ドライトマトとクリームチーズ】（210円）
天然酵母のもっちりタイプのハード系で、中にはクリームチーズとドライトマトが詰まっており、ドライトマトの一方的な酸味をクリームチーズがしっかり受け止め新しい味わいを食べ手にプレゼンしていきます。

【いちじくとオレンジ】（200円）
リュスティックベースのハード系で非常にもっちりしたクラムにいちじくとオレンジピールを閉じ込めている。生地を噛み締めるごとにいちじくの甘さとプチプチ感、オレンジピールの爽やかさが力強く主張する。

【ノワカレンズ】（210円）
チョコチップの入ったパンのように見えますがリュスティックベースの生地にクルミとカレンズを練り込んだパンです。カレンズを大量に使ってますが甘さを控え目にし潤いがありながらも全体的にさっぱりとした仕上がりになっている。レーズン本来の深い甘さを期待するのは×

【りんごとホワイトチョコ】（210円）
どこにホワイトチョコを忍ばせてるのか分からないけど確かに感じるチョコの味わいを感じながらりんごの甘酸っぱさで口内をリフレッシュさせていくいぶし銀のパン。チョコは風味付け程度なのでチョコ感を求めすぎると肩透かしも。

【ベーコンエピ】（190円）
こちらも天然酵母で仕上げており、クラストはむっちりとしててエピ特有のパリパリ感は希薄。引きが強いので噛み締めの必要なムチッとした生地とベーコンのスモーキーさと脂が意外にマッチする。

【自家製あんぱん】（140円）
【なめらかクリームぱん】（140円）
もちもちでもふかふかでもない独特の口当たりの生地で、ブリオッシュ生地とドーナツ生地の中間くらいの抵抗感のある食感。さっくりとした歯応えはソフトなフィリングと相性が良く、一口目の不安感を超えて渾然一体感が高まる。

ふわふわでやわらかタイプの生地を望む層とは相性が悪そうではあるが、生地が自身を強く主張しないのでフィリングを丸ごと楽しみたい人に向く。

【だしまきサンド】（200円）
丁度焼き立てだったので欲張って4個買ってしまいました。冷める前に1つ食べましたが熱々ホロホロの出汁巻きは余計な甘さはなく卵のソフトな風味が鼻腔に抜けていく。しかもさっくりタイプの多いこのお店の生地に反してもっちりとした生地で出汁巻きの柔らかさと親和性が高く食が進みます。


総評です。店先にツバメが巣を作るのどかな場所に名店発見。扱うパンの種類も豊富で選ぶ楽しみもある。ハード系を中心とした食事パンに強みのあるラインナップですが、中でも菓子パンや惣菜パンに使われてる生地が特徴的で、甘くてふかふかの生地ではなくさっくりとした歯切れの良いタイプ。あまりリッチに傾けないのも好感が持てるお店です。二上に行く機会があれば是非立ち寄ってみてください。ごちそうさまでした。