武家屋敷でいただく、ピエモンテと奈良のマリアージュ : リストランテ・イ・ルンガ

近鉄奈良駅から、鹿と戯れながら歩くこと１０分ほど。

板塀に土壁の風情のある外観が見えてきます。

渋い栗色の暖簾をくぐると、そこはもう別世界。

お庭には、鎌倉時代のものと言われる立派な灯篭。

そして、春には、ほのかに咲く吉野桜の古木。

母屋は、築１００年を超えるといわれる武家屋敷を改装した建物です。

広々とした店内は、両側がガラス貼りになっていて、お庭の緑を楽しめます。

白のクロスがかかった大きな丸テーブルがゆったり配され、クラシックな雰囲気。

これは、もうテンションがあがるシチュエーションです。

シェフは９年前にこちらをオープン。

ピエモンテとトスカーナで修業をされたとのことで、

お料理には、奈良の素材を駆使したピエモンテのエッセンスが随所に。


さて、この日は、ランチに。

ランチは、５０００円のコースです。

まずは、スルジーバをボトルで。

お料理です。

１、アミューズ　　　　　　　　　庄内牛腿肉の岩塩包み焼きをスライスしたもの
　　　　　　　　　　　　　　　　松茸
　　　　　　　　　　　　　　　　サルサカヴール　　ピエモンテのソースで、
　　　　　　　　　　　　　　　　マヨネーズ状。

　　　　　　　　　　　　　　　　柔らかい肉質で、楽しい幕開け。

２、前菜　　　　　　　　　　　　天然鮮魚のカルパッチョ
　　　　　　　　　　　　　　　　鮮魚は３種類。和歌山県岩佐の
　　　　　　　　　　　　　　　　ほうぼう、まごち、真鯛。
　　　　　　　　　　　　　　　　ソースも３種類。
　　　　　　　　　　　　　　　　シャンピニオン、雲丹、アオサ。
　　　　　　　　　　　　　　　　ホワイトマッシュルームの薄切りが。

　　　　　　　　　　　　　　　　３種の魚の食感の違いと、３種のソースで、
　　　　　　　　　　　　　　　　飽きずに、すすみます。　

３、前菜　　　　　　　　　　　　仔牛のカルピオーネ　　ピエモンテ風

　　　　　　　　　　　　　　　　シェリー、赤ワインビネガーで、
　　　　　　　　　　　　　　　　南蛮漬けのようにしたお料理です。
　　　　　　　　　　　　　　　　レーズン、松の実を加え、　
　　　　　　　　　　　　　　　　ししとう、ささげ、ウズラ卵の目玉焼きで。

４、パスタ　　　　　　　　　　　２種の選択とスペシャリテがあり、
　　　　　　　　　　　　　　　　１種を選択して、スペシャリテをシェアで。

　　　　　　　　　　　　　　　　①　イカ墨のタリオリーニ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　タコとオリーブのラグー
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　タコとオリーブは細かくして煮込みに。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　カラスミと、バジルオイルが。

　　　　　　　　　　　　　　　　②　タヤリン　（+１８００円）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　フレッシュポルチーニとサマートリュフ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　タヤリンは大好物なので、迷わず選択。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　しかも、フレッシュポルチーニとトリュフです。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　香り高く、タヤリンの優しい感触がいいです。

５、メイン　　　　　　　　　　　　　肉か魚、タリアータ（+１８００円）の選択。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　肉に。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　庄内牛すね肉の赤ワイン煮込み
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　スパイスとともに３時間煮込んであります。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ピエブルー（きのこ）とトウモロコシの粉を
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　練ったポレンタ、さやいんげん、あわび茸、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　南瓜。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　しっかり牛の食感を残しつつ、柔らかく煮込まれて
　　　　　　　　　　　　　　　　　　いて、好み。

６、お口直し　　　　　　　　　　　　カットした柿に、エルダーフラワーの香りを
　　　　　　　　　　　　　　　　　　つけたジュレ

７、ドルチェ　　　　　　　　　　　　ヨーグルトのムースとブドウのゼリー

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　八角風味のブドウゼリー
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ライムのシャーベット
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　マスカット
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　クイーンニーナ（ぶどう）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　爽やかなデザートです。

８、小菓子　　　　　　　　　　　　　レモン風味の菓子、ナッツブラウニー、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ビスコッティ

９、かりがね茶


パンは、３種。

オリーブオイルと塩のフォカッチャ
ハッタイ粉とくるみのパン
胡麻のパン


　　コースの中盤戦くらいから、シェフの実力がものすごいことを

　　ひしひしと感じ始めました。

　　細部にまで、きちんと手をかけ、手抜きなし。

　　ピエモンテとトスカーナでの経験を、奈良の地にしっかり根付かせて

　　いらっしゃる様子がわかりました。

　　これで、この価格は、かなりリーズナブルです。

　　食後、シェフとお話ししたら、なんと、以前、六本木の「グラディスカ」に

　　いらしたとのこと。　そのとき、私はシェフのお料理を食べていた、ということが

　　判明しました。　狭い世の中です。　こうして、奈良で再会するとは。

　　古都ならではの空間でいただくイタリアン。　いい時間でした。

　　邸内には、個室もあり、ディナーは、もう少し異なる方向性の料理を供する、とのこと。

　　これは、再訪しなければ・・・・。