4店舗混在の商店ビルに入居する、厨房丸見えの近鉄奈良駅すぐの天一でした。 : 天下一品 東向店

　「こってり」という語感から「豚骨スープ」と誤解されがちですが、鶏と十数種類の野菜を使って煮込まれた「ベジタブル・ポタージュ」が天下一品ラーメンの秘密です。全国に220店舗 (2010/10/28 現在)を展開していますが、直営店【本店・今出川店・九条店・唐崎店・木津川店・佛大前店・高円寺店・神楽坂店・1号線下鳥羽店・御殿浜店・祇園店・知恩院前店・堅田店・三郷店・豊郷店】を除いたお店は、マクドナルドのような画一的なチェーン展開ではなく、天下一品出身の人たち、天下一品好きな人たち、天下一品で商売をしようとしている人たちなど、いろんな人や会社によって全国に広められていっておりまして、その関係で店や系列によって味やサービスやメニューが全く違う、という困ったことが起きております。
　なんで困るのかというと、いろんな天下一品があるなら全部食べたくなってしまうじゃないですか……。
　と、そんな天下一品食べ歩きをしている人はかなりいらっしゃるわけですが、僕もそのうちの一人です。
　■これまで食べた天下一品の記録はこちら。→→→　http://u.tabelog.com/katoh/diarydtl/19317/
　なので、通常のレビューよりもこってりしてしまっておりますので、ご容赦くださいませ。

　さて、今、大阪に滞在しております。
　大阪滞在中のお楽しみは、まだ見ぬ天下一品に遠征すること。
　今回の目標は、修学旅行以来の奈良。鶴橋から近鉄急行で30分。大阪の人は奈良は遠いって言うけど、東京で言えば電車で普通に移動する距離なので、新宿から立川に行くぐらいな感じでひょいと行ってきました。
　近鉄奈良駅に着く手前で、なんと実はこの日のもう一つの目的地である平城京跡で再現された朱雀門が電車の窓から見えてしまい、大感動っ!!実は僕は日本史が大好きで高校の社会科の教員になろうとしていた時期もあったくらいなので、未知の天下一品に行かれる高揚感を朱雀門がより一層盛り上げてくれました。
　
　近鉄奈良駅で降りて、いきなり方角がわからなくなる超方向音痴の僕。iPhoneのマップで、なんとか挽回して、駅のすぐ脇の「東向(ひがしむき)商店街」を進めばいいことを理解しました。
　お土産物屋さんが建ち並ぶアーケードを下ると、左の方にかなり小さい天下一品の看板が見えて来ました。
　お店の前まで行くと、天下一品の看板が出ているにも関わらず、軒先にはたこ焼き屋さん。なんじゃこりゃ？と思ってもう一度外観を見ると、天下一品と、たこ焼き屋さんと、串カツ屋さんと、耳つぼダイエット屋さんと、不動産屋さんが同居している模様……。珍しいなぁ、こういう出店。先日東京の高円寺で行ってきた「ひら石」と似たような雰囲気です。
　で、そんな雑居フロアの中を覗くと、あ、一番手前に見えました、天下一品。
　自動のガラス戸を開けて中に入ると……ありゃ？右側にカウンターの天下一品、左側にテーブル席3卓、そして正面には串カツ屋さん、右奥のお店たちは閉まっておりました。
　ちなみに、その通路を挟んだ反対側のテーブル席も天下一品のスペースでしたが、なぜなのか、手前側と奥側のテーブルは全く違うもの。……店の存在そのものもカオスだけど、店内までカオスだ……。

　カウンターに座ってメニューを見ると、チャーシューメンとは別に50円アップの「豚バラチャーシューメン」というのが。とろとろ好きの僕としては当然ソレを注文。
　
　カウンターは11席、カオスなテーブル席は手前に4人掛けの洋食屋さん風の白いテーブル、壁を隔てて奥が木目のコの字型の椅子席のところに木目のテーブルと木目の椅子、おそらく合計で8人くらいは入れそう。
　卓上には、辛し味噌、辛しニンニク、そして東京天一では滅多に出会わないニラ薬味。お冷やは麦茶でした。
　厨房内のスタッフは男性一人。
　
　……って、うわぉぅっ、厨房の奥側が調理コーナー。今まで食べてきた天下一品のうち、京都の知恩院前店を除く100店舗以上が、厨房を壁で高く覆っていて絶対に見せないような作りになっていたのに、ここは完全に全てが見えてしまっておりますっ!!
　盗み見したわけでもなんでもなく、普通にカウンターのどこの席に座っても見えることなので、これは見ていいものだ、と判断しました。
　一番右側に、寸胴と、直径50センチ、深さが20センチほどの両手の「中鍋」が。その中鍋はいろんな天下一品で見かけるので標準仕様なのだと思われますが、この中鍋に、茶色い文字で「天下一品」と書かれた大きなレトルトパックからこってりスープを注ぎ足してかきまわしています。
　一番左側に、麺箱が重ねられ、ステンレスの敷居の右隣が麺茹での四角い什器。その中には、テポ(麺1玉分を茹でるザル)が4つ。右奥のテポには「あっさりスープ」の一人前のレトルトが入れられています。
　そしてその右隣が「秘密」だと思うのですけど、丼が6つくらい並べられそうな、丼が半分くらいまで浸かる湯煎台。この湯煎台には、麺茹で什器から溢れてくる熱湯が流れ込んでおります。
　……いやー、すげぇもんを見てしまった……。
　スタッフは、何度もこってりスープをかき混ぜて粘度を見ている模様。そしてちょっとうなずいて、僕の丼へ。
　そこでジャストのタイミングでタイマーが鳴って、僕の分の麺を上げて投入、綺麗に箸で揃えてチャーシューを鉢一面に並べて九条ネギを乗せ、「お待たせしました−」と赤い下皿に載せられて到着。
　
　見た目からして、かなりの粘度。
　スープからいただいてみますと、なんと、それほどでもない感じ。僕独自の天下一品粘度評価では3.5くらい。
　でも、味はなかなかジャストで美味しいです。
　麺は、総本店ほどではないけれど、軟らか茹で。これは一般の方が「茹ですぎ」と感じるかどうかのギリギリのレベルだと思いますが、食べ慣れている僕でも「絶妙っ!!」と思うほどのちゅるちゅる具合でした。コレ、有りっ!!
　豚バラチャーシューも、このこってりスープにぴったり。
　大阪の難波ウィンズ前店、奈良県で言えばかしば店で出している「豚トロチャーシュー」は芸術的にこってりスープとマッチしていますが、こちらのも相当素晴らしいです。
　
　貴重なものを見せていただいてしまった上に美味しいラーメンをいただけたので、大満足。
　関西天下一品ファンの皆さん、東向店へ、Goっ!!
　
　……あっ、ちなみにこの後、平城京跡に向かいました。歩いて行こうとしたのですが、夕方17時だというのに暗くなってきていたのでタクシーに乗せていただきましたら、なんと平城京跡は16時で「営業」は終わりとのこと。でも、ライトアップされた門だけを見ることはできる、とのことで乗せていってもらいました。
　なんだか、1300年前の夕闇、って感じで、空気が引き締まっているように感じてとっても感動しました……。