初めて味わう本場の冷や汁は、説得力のある味！　宮崎の郷土料理を、幅広く味わえる店。 : ふるさと料理 杉の子

［宮崎市］
2015/7/28（火）
橘通二丁目・宮崎県庁近くにある、郷土料理のお店。
1970年創業。冷や汁目当てで伺った。

場所は、宮崎県庁前の通りを西へ進み、橘通を越えてすぐ。
橘通三丁目交差点（中心街）から南へ徒歩10分、JR宮崎駅から徒歩20分弱。

私にとって初の宮崎ランチ、それも郷土料理店とあって期待が高まる。
JR九州の豪華列車「ななつ星」に、こちらの料理が採用されたことでも注目されているようだ。

灼熱の日向国、日差しにじりじりと肌を焦がしながら、なんとかお店にたどり着く。
あ…その前に、東国原さんで有名な県庁で記念写真を撮るのも忘れずに。立派な建物なので。

風流な和風の入口。
上がり框（玄関の段差）があるが、靴のまま上がり、そこで席の案内を受けるシステム。
建物は古いが、とても落ち着いた雰囲気。

油圧式小型エレベーターで、3階へご案内。
3階右手はカウンター 5席、3～5人掛けテーブル×4卓、小上がり掘りごたつ 8人席。
ゆったりとした座席配置。

ざっと見た感じでは禁煙、BGMは（なぜか）沖縄音楽。
掘りごたつ席には、宮崎の歴史を伝えるかのように埴輪が飾られる。

このエリア以外に個室多数。
焼酎文化の宮崎だけあって、焼酎の瓶はもちろん、酒器もたくさん取り揃えている。
木製テーブル・椅子も小綺麗で、ビジネスにも使える雰囲気だ。

店員さんは和服でのご奉仕。
ただ、お冷やが運ばれてくるまでには、時間が掛かったり、
他のお客さんからの呼び掛けに返答が無いなど、ランチタイムの現場は少し追いついていない様子だ。

平日昼時であるが、やや高価格帯であるためか、満席という感じではなかった。
それゆえ、ゆったりと食事を楽しめる環境だ。
運ばれてきた玄米茶の香り良し。

お品書きは…
　・［昼のみ］たまゆら定食（地頭鶏＋冷や汁）　・［昼のみ］チキン南蛮定食
　・宮崎牛ロース生姜焼定食　・地頭鶏炭火焼定食　・冷や汁定食
　・かつおカレー（モルディブ風）　・杉の子定食（懐石）
　・黒潮定食（さつま揚げ）　・黒豚角煮定食　・お子様弁当

店主がインド洋の島国・モルディブで学んできたという「かつおカレー」も、非常に気になる一品。

夜は定食のほか、￥4000～￥10000のコース料理が用意されている。
「春は白魚、夏は鮎、秋は松茸、冬は猪」四季折々の味を楽しむことが出来るようだ。

------------------------------------------------
■冷や汁定食（￥1080）
冷や汁・めざし・麦めし・お新香・デザートのセット。

◎冷や汁
　チキン南蛮と並び、宮崎を代表する郷土料理。
　もとは家庭料理であるが、製法はやや複雑で、作り手や店によって違いが出る。

　基本的には…
　・煎り胡麻、炙った麦味噌をすり潰し、（ときに氷とともに）冷たい出汁を注ぎ入れる。
　　 この店では氷無し。
　・砕いた豆腐、輪切りのきゅうり、千切りの大葉、みょうがを入れる。
　・アジの干物など、何らかの魚をほぐして入れる。この店では「めざし」。
　・ご飯を、汁に投入して食べる。この店では温かい麦めしを使用。

　まずは、汁を単体で味わう。
　出汁というか、麦味噌の旨味がすごい！
　汁の温度は少しひんやりする程度であり、冷たさよりも味重視の冷や汁なのだと理解した。
（かつて、氷は簡単に手に入るものではなかった。キンキンに冷えた冷や汁というのは近年のアレンジであろう）

　めざしをほぐし、汁の中に投入する。
　そして、ごはんの上から汁をぶっかける！
　この一手間が、料理をしているようでちょっと楽しい。
（折角なので、店員さんから食べ方の説明があれば良いと思った）

　温かい麦めしに、ひんやりした程度の汁を掛けるのだから、
　この時点で生ぬるい仕上がりになるのは確か。

　それでも、麦味噌＋めざしの旨味、きゅうりの涼やかな食感、みょうがの香りに興をそそられ、
　ザザザッと勢いで食べられてしまう点が、いかにも夏にふさわしい。
　宮崎風の熱くないご馳走お茶漬け、といったところか。

◎デザート
　食後に供される黒豆シャーベット。
　風味が良くて、なかなかいける。
------------------------------------------------

本場・宮崎ではじめていただく、冷や汁の味には説得力が感じられた。
ビジネス・接待にも利用できそうな店だから、地元の方にも重宝がられているように思う。