料理もレベルの高い温泉宿 : すみや亀峰菴

慰安で妻と久し振りの温泉旅行をする事となり今回はこちらの宿を選びました。
リニューアル直後から過去数回の訪問歴がありますが以前お邪魔させていただいてからかなりの月日が経っており場所は亀岡の湯の花温泉にあたりその中でもかなり奥ばった場所へ宿は位置します。
駐車場へ到着するとタイミング良く仲居さんがお出迎えをしていただけます。

湯の花温泉の中でもそれほど大きくないこちらの宿は子供連れも少なくゆったりとした時間を過ごせます。
今回お邪魔するにあたり『ぼたん鍋』のコースがついたプランを選ばせていただきました。

事前にお願いをしていた19時より少し前に食事担当の仲居さんが部屋へ出向いて来られたテキパキと夕食の準備をして頂けます。

先ずは『食前酒』を頂き『先付』から。
蛸の煮物は歯で噛み切る事の出来る程柔らかく噛むほどに煮汁が溢れ出てきます。
薄くスライスされた筍が季節を感じ風情があります。

次に『八寸』
京都では旧暦で雛祭りにあたるそうでひな壇を模した飾り付けで頂くのが申し訳ないくらいでした。
金色に塗られたハマグリの器には菜の花を添えた穴子の蒸し寿司。
甘めに味付けのされた卵焼きや海老、あられの付いたそら豆に金柑。
ワラビの白和えが盛り付けてありどれも上品で京都らしい薄めの味付けでした。

続いて『造り』になります。
器にはカンパチ、鯛、鮪の3種が盛り付けてありました。
正直、この手の旅館で美味しいお刺身を頂いたことがありませんでしたので期待はしておりませんでしたが
カンパチを頂き良い意味で期待を裏切られました。
カンパチの鮮度はそこらの居酒屋よりも良くコリコリとした触感で鮪も瑞々しく頂いた後の器にはドリップなど一切
残っておらず新鮮そのものでした。

ここでようやくメインの『ぼたん鍋』の準備が始まりました。
こちらも配膳が完了しびっくりです。
いのしし肉だけでも目方で4人前はゆうにあるのではと思わせる量で同じサイズの器には京野菜がてんこ盛りです。
あっけに取られる私達を横目に仲居さんは慣れた手つきで鍋の準備を進めます。

火力の強いカセットコンロで一気に煮立たせてまずは京野菜を投入し半分ほど火が通った頃合を見図り猪肉も投入です。
あっという間に鍋は食べごろになり仲居さんから食べ方の手ほどきを伺います。
『先ずは白味噌仕立てのスープを頂きそのまま頂いて下さい。』とのこと。
郷に入ってはという事で教わったとおり頂くと猪肉は丁寧に処理をされている為か臭みは一切無く脂の甘みを感じます。
続いて自家製のポン酢に紅葉おろしとねぎを薬味に一口頂きます。
柑橘系特有の酸味が強く猪肉の脂っぽさを完全に抑えさっぱりと頂けます。
私の好みはポン酢でしたので以降はほぼそちらで頂く事としました。

猪肉は何とか完食しましたがあいにく野菜に関しては残り3分の１程で箸が進まずギブアップです。
大変申し訳ない気持ちでしたが仲居さんを呼んで片づけをお願いしようとした所さらに『締め』として『うどん』に『雑炊』があるとの事。
さすがに自信がありませんでしたので一膳分のご飯で『雑炊』を頂きました。
するとはちきれそうなお腹でしたがさらさらとした『雑炊』は不思議と箸が進みあっという間に鍋からご飯は無くなりました。

その後に『デザート』として品種は失念しましたが『柑橘のゼリー』を頂き2時間の食事は終了をなりました。

翌日の朝食はボリュームたっぷりのおかずを基に土鍋で炊いて頂いたご飯を頂くことに。
こちらは京料理を意識したおばんざいが各自ビュッフェスタイルで頂く事が出来ますので私は『ほうれん草の炊いたん』、『湯豆腐』、『松茸入りおこわ』や『にんじんのキッシュ』『サラダ』等を欲張って小皿へ移し席へ戻りました。
既にテーブルには惣菜や焼き物など様々な料理が盛り付けてあり小鉢と共に食します。
『朴葉味噌』は七輪で炙ることで香ばしさが増しご飯が止まりません。
『ハタハタの一夜干し』は良い塩梅の塩加減。
その他小鉢も全てが朝にぴったりな上品な味付けであっという間に一杯目のご飯は無くなり二杯目は待ってましたの『卵かけごはん』でかき込みます。

こちらの宿は朝食もウリの一つのようですが正しくその通り至福の朝食となりました。
大満足で朝食を頂き動くことも困難な体を部屋でしばし休め宿をあとに致しました。

私達には敷居が高くなかなか伺うことは出来ませんが必ずまた訪問をしたいと思う宿でした。
また美味しい宿の食事を頂きたくなった際にはお邪魔をさせて頂きます。

ご馳走様でした。