本物だけが持つ「香り」の悦楽 : たま木亭

墓参りの流れで富山から来た親戚に頼まれて京都観光。せっかく京都に来たんだからパン屋も巡ろうぜという謎勧誘もバッチリ決まり、京都の絶対王者たま木亭を訪問。

早朝から行列を作ってて遅々として進まない行列に業を煮やした親戚が「パンがなければ小麦粉を舐めればいいじゃない」というパワーワードを呟きだしたのに苦笑しながらやっと店内inです。


【角食】（320円/1斤）
予約しないとまず買えないというたま木亭名物食パン。私は2日前に予約してましたが並んでると何人も4つも5つも予約してた人がいてこれがタマキストのスタンダードなのかと唖然。

キメ細かくフワフワ、かと思えばしっとりもっちり、柔らかいのに引きの強い耳とどこからどういう食べ方をしても美味しさの詰まった角食で、やや塩気が強いながらも満足感は高い。予約必須なのも頷けます。

【パンシュー】（220円）
売り切れが多発するらしいたま木亭の名物パンの一つ。角切りベーコンとジャガイモ、ガーリックバターで味を整えたハード系のパンで一つ一つの素材の主張が強いのに全体では纏まっている。それを支えるガーリックバターの貢献度は相当大きいがそれだけに塩分は強め。生地とフィリングのバランスが絶妙でかなりの人気商品なのが実感できるほどの美味しさです。

【栗と黒豆とオレンジピールのパン】（180円）
新作のようです。割と大きめの生地に栗と黒豆とやや厚切りのオレンジピールを巻き込んだパンで、ホコホコの栗と黒豆の食感が小気味良くオレンジピールの力もあってか思ったよりも甘めですがこの値段でこの内容はかなりお買い得ではないでしょうか。

【宮崎】（240円）
宮崎県の名産をモチーフにしてるのか炭火焼き鳥とネギ、柚子故障を包み、外にはぶぶあられをちりばめたパンで意外とサイズは大きめ。かなり刺激の強い辛さで引きの強い生地と相まって食べ応えは抜群。ただチキンがメインと言ってもかなり濃い目の味付けなのであっさり感を求める人には厳しいかも

【カレーパン】（220円）
個数制限もなく牛肉協賛店の表示もなかったのでたま木亭名物のプレミアムタイプのカレーパンじゃないっぽいのかな？正直、期待外れ。大阪の人間からすればこのレベルのカレーパンは200アンダーで割とあるので個人的には感動はあまりなかったです。勿論、美味しい事に異論は挟みません。

【黒豆のクリームパン】（200円）
もちもちの生地に小豆とクリームが入ったパンで冷やしても美味しいパン。とにかくクリームが濃厚でミルク感が強く、小豆のあっさりした甘さとクリームの濃厚な甘さのギャップが楽しく生地自体が非常に美味しいのでかなり満足感のあるパンです。

【ほうじ茶黒豆クリームパン】（200円）
ほうじ茶を練り込んだ生地で黒豆とクリームを包んだパン。ほんのり香るほうじ茶の爽やかな香ばしさとうっすら漂う苦味は確かなほうじ茶の存在を感じ取れますが、ただクリームの主張が強すぎてほうじ茶の風味が相殺されがちで、個人的には上記の黒豆クリームパンの亜種みたいな感じでしか見れませんでしたが「なんか違うよなぁ」と思いつつも問答無用で食べ切ってしまえる生地の美味しさ、これがたま木亭の本質でもあります。

【オレンジーナ】（210円）
【丹丹フランス】（210円）
【和栗のパン】（230円）
3つとも小ぶりのクッペサイズのハード生地にフィリングを詰め込んだパンで、非常に引きの強いハード系生地により噛み締める事による滋味深さを堪能できます。特に丹波の黒豆にミルクを忍ばせた丹丹フランスはシンプルな組み合わせなのに中毒性が高い。問題なのは3つとも生地の引きが強すぎて食べてる最中にボロボロこぼれてしまう点でしょうか。


総評です。3000円以上の買い物をして使いすぎたかな～と思ったら5000～1万くらい買うマダムばかりで私の雑魚っぷりが際立ってましたがとにかく行列ができるだけの内容でした。餡子・クリーム系のどっしりした甘み、惣菜系の塩気と油脂、全体的にフィリングの味付けが非常に濃厚ながらそれを受け止める生地の強さこそがこのお店の強みで、美味しいとはどういう物なのかを熟知したパン屋、一度来たらまた来たくなる、そんなパン屋です。ごちそうさまでした。

余談ですが親戚は「クニャーネ」と「硬焼きバター」を絶賛、次回行った時は是非食べてみたいと思います。