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精進料理、こんなにうまいものとは思わなかった
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タカノ
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店名 |
篩月(しげつ)
|
---|---|
ジャンル | 日本料理 |
予約・ お問い合わせ |
050-5593-3504 |
予約可否 |
予約可 5,000円以上のコースは2名様より 前日の午前中までに予約のこと |
住所 | |
交通手段 |
京福電鉄 嵐山線 嵐山駅下車 徒歩 3分 トロッコ嵐山駅から324m |
営業時間 |
|
予算 |
¥3,000~¥3,999 |
予算(口コミ集計) |
¥3,000~¥3,999
|
支払い方法 |
カード可 (VISA、Master、JCB、AMEX) 電子マネー不可 QRコード決済可 (PayPay、d払い、au PAY) |
サービス料・ チャージ |
別途拝観料500円 サービス料・チャージ料なし |
席数 |
250席 (座敷) |
---|---|
個室 |
有 (10~20人可、20~30人可、30人以上可) |
貸切 |
可 |
禁煙・喫煙 |
全席禁煙 喫煙所有 |
駐車場 |
有 乗用車:100台 バス:10台 (バスのみ2時間まで無料) |
空間・設備 | 落ち着いた空間、座敷あり |
ドリンク | 日本酒あり、ワインあり |
---|---|
料理 | 野菜料理にこだわる、ベジタリアンメニューあり |
利用シーン |
こんな時によく使われます。 |
---|---|
ロケーション | 景色がきれい |
ホームページ | |
電話番号 |
075-882-9725 |
初投稿者 |
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考えてみたら京都で食べておかないといけないもののうち、精進料理というのは筆頭にあげられると言ってもおかしくないのに、まだ食べていなかったのだ。だいたい僕は人生において精進料理というものを、これまで食べたことがなかった。これはいけないだろうということで調べてみると、安いのだ、意外に、精進料理。
今回行った、天龍寺の庭園の中にある「篩月」では、一番安い「雪」というのが、一汁五菜で3,000円。他に一汁六菜の「月」が5,000円、一汁七菜の「花」が7,000円というのもあるが、3,000円なら、近くで湯豆腐を食べるより安いことになる。ただし庭園への入場料500円は、別にかかる。
昨日は平日だったから、予約しなくても大丈夫だろうと思ったら、12時半ごろ行ったら団体が入って満席。さすがに紅葉のシーズンは、平日も休日も関係ないのだ。でも1時過ぎに出直して行ったら、問題なく入れた。
精進料理に酒は付かないのだろうと思っていたら、きちんと酒のメニューも一緒に出てきた。お坊さんも酒を飲むのかと聞いたら、「もちろん飲まはります」とのこと。そりゃそうだ。精進料理というのは、その字面から、なんとなく修行のための、質素な料理かと思っていたら、そうではなく、お坊さんの食べるご馳走料理なのだな。
そして運ばれてきたお膳。いやいやいや。どれもあまりにもうまそうで、どれから箸を付けるか悩んでしまった。
まずは温かいものからということで、正式には何と言うのかわからないが、湯葉とお麩の含め煮。椎茸のだしが利いていて、ゆずが散らしてある。
こぼうやらこんにゃくやら、赤かぶやら山芋やら。それぞれ素材の味を活かしながらも、しっかりと味が付いている。手前のオレンジ色の三角のものは、柚子の皮かな。甘く煮てある。笹に包まれているのは草餅。器に入っているのは何だっけかな。よくわからなかったが、ゴマの風味がした。
青菜ときのこのおしたし。ポン酢仕立て。
ごま豆腐。わさびと醤油。
卯の花の味噌汁。
ご飯。
時間を置いて出てきたあんかけ。何かの芋をすりおろしたものを固めたのだと思う。
デザート。ぶどうと、熟し切ってとろけるようにやわらかな柿。
最後は番茶。
これどうですか。精進料理というと、今まで聞いていたのは、肉や魚が使えないから、わざわざそれに似せてがんもどきみたいなものを作ったりして、ほんとは食べたいのに、食べられないという人達のいじましい努力の成果、というニュアンスばかりだったのだが、まったく違うのだ。
厳しい制約があるからこそ、それを乗り越えようとするときに初めて見えてくる、広大な世界というものがあると思うのだが、これはまさにそれなのだな。スポーツにしても、ボールを手で触っちゃいけないとか、前にパスしちゃいけないとか、ほんとは一番したいことを、しないと決めるときに、そこから様々な工夫が生まれ、人々に広く支持されるようなものになる。ラーメンも同じだ。日本人にとって黄金の味であった、日本そばやうどんと同じであってはいけないということが、現在これだけの種類のラーメンを生み出し、もはや日本人の国民食と言えるものにまで至っている。
肉や魚がうまいというのは、それは決まっているのだ。新鮮な魚を生のまま、醤油とわさびだけ付けて食べれば、これ以上のものはない。でも逆に言えば、それで十分うまいのなら、それ以上料理する必要がないのだな。精進料理とは、その一番うまいものがルールとして禁じられているからこそ発達した、様々な工夫の集積なのだ。
僕はそういう世界、ほんとに好きなのだ。今回3,000円という激安価格で食べたこの精進料理、僕がこれまで食べたどんなご馳走よりおいしい、というくらいおいしかった。季節の材料を使い、それに柚子やらゴマやら、椎茸やらといったもので、様々に味を付け、彩り鮮やかで見た目にも楽しくし、しかもそれが、前に出過ぎることなく、自分の立場をわきまえて、しっかりと品よく脇に控えている。ほんと大したものだわ。感動のあまり、ちょっと涙が出そうになった。
嵐山に観光で来るとなると、名物としては湯豆腐だったりするわけだ。もちろんそれも悪くはないが、それより安い値段で食べられる、この天龍寺篩月の精進料理、お酒も飲めるし、量もちゃんとあって、朝めしを食わずに行った、男の僕でもお腹いっぱいになるし、強力におすすめ。
建物は日本建築で、畳に座って食べるようになっていて、そういう風情もとてもいい。広い座敷の両端に並んで座るようになっているから、せせこましいところがなく、他のお客が気にならない。給仕をしてくれるおばちゃんやオネエちゃんは、皆気立てがよく愛嬌がある。外人とか案内したら、絶対にすごく喜ぶのじゃないか。畳に直に座れない人のためには、低い椅子も用意してもらえる。
しかしこういう値段でお寺の精進料理が食べられるとなると、まだ他にも、色々まわってみないといけないな。