粛々と営まれる本格京懐石　『万年青』　高CPとアットホームな雰囲気で身も心もお腹も満たしてくれます。 : おもと

「祇園の笑門」です。今回お伺いしたのは、勿論、以前からずぅ～っと気になっていた

万年青本格京懐石が祇園の中にあってお手頃な価格で供せられるお店です。

予約の電話は2日前の午後、大将の威勢の良い応対から始まりました。

10月中頃の平日の夜19時30分、ということで予約はすんなりとＯＫ。

週末は少し早い目に予約を入れておいた方が安心です。

ベテラン大将の電話応対からしてアットホームな雰囲気が伺えました。

万年青の建物は以前は髪結いさんの建物だったそうで築100年が経過しています。

何気にその雰囲気が残っている感じがしました。（髪結いさんの雰囲気は知りませんが･･）

真向かいは「叶屋」というお茶屋で祇園東では数少くなったお茶屋さんの一軒です。

場所は四条花見小路交差点（よーじやさん）から東へ、

3つ目の路ー地（祇園ファーストビル東2軒目）を北へ

祇園石段下交差点からなら西へ4つ目の路地を北へ、20ｍほど行った西側です。

万年青の置き看板が目を惹き、その横にはまさしく古典園芸植物の万年青が置かれていました。

玄関引き戸を開けると、直ぐにカウンターがあり、その右手に小上がりの座敷があります。

カウンターには料理道具などが置かれており、基本的にはカウンターは使われていないようでした。

一階小上がりは掘り炬燵式になっていて、4人席ｘ1、2人席ｘ2の計8席。

ＢＧＭに京都らしい音楽が流れていました。ＢＧＭは賛否両論ありますので、

私的にももう少し音量が小さければ･･と思いました。

さて料理の方ですが、ベテラン大将と女将さんとが丹精込めた本格京懐石を供してくれます。

前菜から始まり、炊き合わせ、造り、焼き物、蒸し物、酢の物、土瓶蒸し、ご飯、水物の全9品、

料理の味は全てが逸品、ベテラン大将が自信を持って供してくれる5000円の高CPの9品でした。]

【前菜】　サーモン、鯛、蟹入りたまご、イカ、鱧、イクラ、粽、鮎、栗

　　　　　　　　どの一品も丁寧に作られた品々、中でも蟹入りたまごは唸らせてくれました。

　　　　　　　　季節の品々を散りばめた前菜は見た目もお味も逸品の数々でした。

【炊き合わせ】　蛸の卵、人参、オクラ、湯葉、南瓜、里芋

　　　　　　　　蛸の卵は希少な一品、こりこり感が食欲を増進させてくれます。　

【造り】　鱧、中トロ、鯛

　　　　　　　　中トロの新鮮さはgood 器も綺麗でございました。

【焼き物】　琵琶湖の子持ち鮎、鮪の角煮、もずく

　　　　　　　　琵琶湖の子持ち鮎は頭から尻尾まで全て供せられます。

　　　　　　　　塩焼きにされた鮎は美味でございました。

【蒸し物】　蕪蒸し（木耳、白身魚、椎茸、胡麻麩、蟹の身、ゆりね、イクラ、）

　　　　　　　　大将お勧めの懇親の逸品。蕪の中には何と7種の具材がたっぷり。

　　　　　　　　胡麻麩のもちもち感、惜しげもなく使われた蟹の身、これでもかぁーっ

　　　　　　　　って言わんばかりのボリュームが五感を満たしてくれました。

【酢の物】　蟹の身、ブロッコリー、トマト、長芋、菊の花添え

　　　　　　　　酢に合う蟹の身をたっぷりと中心に季節の菊の花が添えられて

【土瓶蒸し】　松茸、鱧、海老、湯葉、水菜、銀杏、柚子

　　　　　　　　特筆すべき「万年青」京懐石料理のメイン料理

　　　　　　　　土瓶の蓋は出汁も飲めるように徳利になっていました。

　　　　　　　　たっぷりの季節の松茸に銀杏、柚子が秋の風味を加速させてくれます。

　　　　　　　　出汁の全てまで美味しくいただける逸品でした。

　　　　　　　　日本に生まれて、ほんと良かったぁーって思える素晴らしい一品でした。

【ご飯】　鱧押鮨山椒入り、胡瓜の漬物

　　　　　　　　初めて経験した鱧押鮨、ぴりっと山椒の味が利いて、ほっこりします。

【水物】　メロン、ピオーネ。水羊羹、林檎

　　　　　　　　大きく切られたメロン、瑞々しさが食の最後に満腹のお腹を優しく包んでくれます。

　　　　　　　　水羊羹の一切れは満足した五感をほんのりとした甘さで落ち着かせてくれました。

全ての一品一品が丹精込められて素晴らしい懐石料理に仕上がり供せられました。

中でも琵琶湖の子持ち鮎は頭から尻尾まで全て供せられて感動ものです。

それと松茸の土瓶蒸し、季節を感じさせてくれて出汁まで全て供させていただきました。

祇園東の路ー地で粛々と、でも確実にお客をもてなすその姿勢は大将のポリシーでしょうか。

威勢の良い大将ではありますが、お客とは一線を引き料理に集中するそのお姿は

真のプロ料理人としてのオーラさえ感じさせてくれました。

友人と2名で5000円の京懐石と中ビール一杯ずつ、計11200円の会計は

身も心もお腹までをも満たしてくれた素晴らしい京懐石でございました。