ミシュランガイド2019・星獲得掲載店① : 天ぷら 京星

４～５月の１０連休は８日間仕事！あまりのクソ忙しさで魂抜けた様になった・・・。

落ち着いた頃を見計らって、リフレッシュ！で京都へＧＯ！

やって来たのは2010年より連続１０年１つ★獲得（２つ★の時期もあり）の「京星」さん。

こちらの特徴は、
・カウンターのみ９席だが予約の段階でお客同士の両隣はパーソナルスペースとして空けてある。
　（これは・・スゴイ！他にコレやっている所あるだろうか？僕、初めて！ご主人、思い切った事したな～）。
　完全予約制でこの日は１人の外国人、２人組の日本人と僕だけ。
　途中、飛び込み訪問の外国人がやって来たが奥さんがちゃんと英語でお断りしていた。
・祖父～父～現在の三代目のご主人、榊原氏へと伝承された秘伝の「油」と「塩」、
　そして卵を使わない薄衣。
・「おまかせ」の１コースのみ、全て「天ぷら」でお造りや煮物など、他の料理は無し。
・見た目の“美しさ”にも、かなりこだわって工夫がされています。

１３０００円（税込み）の中身は、

①海老のすり身サンドイッチ②鮎の三つ編み③茗荷（みょうが）④才巻海老1本目⑤さやえんどう豆
⑥河豚の大葉巻き⑦鱧（はも）⑧才巻海老２本目⑨獅子唐⑩鱚（きす）⑪三度豆（いんげん豆）
⑫ぐじ（甘鯛）のウロコ立て⑬アスパラガス⑭稚鮎姿揚げ⑮そら豆と新生姜⑯ヤングコーン
⑰才巻海老３本目⑱丸十（さつま芋）⑲海老かき揚げ天茶⑳水物（オレンジ・メロン・ブルーベリー・
チェリー・ストロベリートマト）。

最初に出てきた揚げパン、小学校の給食以来だな・・・・・・・・、
・・・・と言ってもコッペパンの揚げパンじゃないよー、
食パンに海老のすり身をサンドした、唯一、衣をまとっていない一品。
かなり油を吸ってサクサクしているが、さすがは秘伝の油、とても軽く油分を全く感じさせない。
（昔、母親がよく作ってくれたパンの耳フライ砂糖がけの様な、口の中、油だらけにはならない）
どうですか？うちの秘伝の油は？・・・と、自信のあいさつ代わりか・・・。
欲を言えばもう少し海老のすり身が入っているモノが食べたい。

味付けの天つゆは無く、レモン汁、秘伝の塩、大根おろしの３つ。
大根おろしは次の天ぷらをいただく前に口の中をクリアーにする時に使ったが
レモン汁は全く必要なかった。
この秘伝の塩、これが美味いのだ。
物凄く粒子が細かく、粉雪、小麦粉、ベビーパウダー・・・・みたいに、サラサラ！
しょっぱい・・・・と言うより、塩の旨味成分だけ、のような感じ。
塩だけだと単調になるどころか、全てこの独自配合の塩だけで全然ＯＫ！
（⑭稚鮎姿揚げ、の様な「苦味」も味わうようなモノには必要なかったが・・）。

⑤さやえんどう豆は独特の青臭さが有り、⑬アスパラガスはジュワッとジューシー、
⑮そら豆と新生姜はホクホクと・・・、噛んだ瞬間、どの野菜も生き生きしてる～！
京星流天ぷらの「素材の持ち味を一番に伝える」・・・・は、ちゃんと表現されていたのがよかったな。

僕の大好きな「穴子の一本揚げ」の様なモノは出したりしないのか？
には、油が合わないのでやらない、そうだ。
この秘伝の油、素材によって相性があるらしい。

ご主人は良い素材なら産地に特にこだわりは無い様で。
野菜は京野菜オンリーではなく、⑲海老かき揚げ天茶のお米は有名プランド米ではなく京都のお米を使用。

一番美味しかったのが⑥河豚の大葉巻き。
口に入れて噛んだ瞬間、大葉と衣に閉じ込められていたフグの旨味がジュワッとあふれ出す。
フグってこんなにジューシーだったっけ・・・？
これがご主人のおっしゃる「油が引き出す食材の旨味」の醍醐味か！

⑱丸十（さつま芋の天ぷら）、京星のスペシャリテ、三代目である現在のご主人が考案された。
いも天をコニャックに浸し砂糖をたっぷりまぶしていただく！
これは楽しくていいなぁ～。　　
丸いさつま芋に十字型に包丁を入れてあるので丸十。
〇の中に十の字が入った家紋は島津家、島津家といえば薩摩藩、さつま芋と薩摩藩にも、かけてある。

⑲海老かき揚げ天茶の味付けはほぼ「塩」のみだがこれで十分。
ご飯はかなり硬めに炊かれているが、ちょっと硬すぎ。
これは好みの問題だが、僕は食べ進めているうちに、ご飯が水分を吸って徐々にふやけていくのが好き。
これだけ硬いと最後まで同じ食感だった。

シ～ン・・と静かな中にピチピチと油の音だけが聞こえてくる・・この雰囲気好きだなぁ～、たまんない！
時折、火力の調整をしながら、もう片方の手は菜箸で油の中のネタを転がす。
目、耳、手先、感覚、見極め・・・物凄く集中しています。

あるネタは揚がると、手をおおきく上げて勢いよく降ろす・・・そう、
ラーメン店の店主が麺の湯切りをする、あの「天空落とし」を同じ動作！！
で、余分な油を振るい落す！
僕、天ぷら屋さんで「天空落とし」は初めて見ました・・・・。

とにかく天ぷらを揚げている時のご主人は真剣そのもの。
でも、手が空いているときは明るく普通にしゃべってくれますし、何でも丁寧に説明してくれます。

コースを完食しても天ぷらと感じさせないくらいアッサリ・サッパリ、食べ疲れも全くない。
が、一品一品の重さが軽いこともあってか、完食後、やや物足りない気がした。
食べる側の年齢、年代によって、又は、アルコール類を飲んだか？摂取量の多さによって
物足りなく感じたりするのでは？

僕はこののちに「鮨まつもと」さんで、奇しくもこちらと同じ価格（13000円）の鮨を食べるのだが・・、
ＣＰ，満足度はやや「鮨まつもと」さんに軍配が上がるかな？

が、しかし・・・もし仮に、
ご主人がお弟子さんをとって数年間修行させて、技術・テクニックを伝授し無事、巣立ったとする。
そのお弟子さんのお店はテーブル席があり、カウンター席にはお客さんがビッチリ、
ランチ営業は“天ぷら御膳”を提供する・・・としたら、
嫌だな～・・なんか違うゾ！・・・という感じ。

ず～っといつまでもこのスタイル、雰囲気を守って下さい。
僕は大好きです。