華麗で雅な聖夜。 : 未在

ミシュラン三ッ星に輝く京都の「未在」。
2年ぶり2回目の訪問、前回は夏だったので冬の食材にかなり期待して。
八坂神社を抜けていく道、だんだんと暗くなりしんとした寒さもしみる。
ほんのりと提灯の明かり、一斉スタートの集合時間が近くなるとお店の方が外で迎えてくださる。

クリスマスが近づく12月、店内にもクリスマスを感じさせる装飾もあり心和む。
2回目だからか、前回より緊張感もなく茶懐石の作法にも戸惑うことなく穏やかに食事が進む。
茶懐石らしい最初の1品はご飯とお椀が一体になったもので、胡麻豆腐の上に少量のご飯が。
こういうスタイルもあるのだなあ。
未在特製の日本酒を注いでいただくと、気持ちも高まってくる。

どの皿もすごいボリューム、見た目も色鮮やかで美しい。
特にお造りの量すごい、この季節らしく脂の乗ったマグロや鰤がこれでもかというほど出てくる。
辛味大根やゆずなども添えられ、寒天醤油以外にもつけダレも3種あり飽きずに楽しめた。
お椀も牡蠣まるごとごろごろと入ったカニのしんじょ、黒毛和牛は蜂蜜やフルーツの甘いソースで食べさせる。
前回に比べて、分かりやすく華やかで、くっきりとした味付けの料理に感じる。
食材そのものをシンプルに食べさせるのが好きな人には重く感じるかもしれないけど、
私は結構こういう分かりやすいのは好きなんだよね。

こちらの名物(なのか？)焦がしは、
白いご飯にお焦げと塩で味付けしただけの湯をかけていただくのだが、
出汁を全く使っていないというのが本当に不思議な美味しさ。
この独特な料理はここでしか出会ったことがない、とても印象的。

デザートはそば焼きと言われるどら焼きっぽいものの後に、
なんと50種類の果物を使ったひと皿が、とにかく量も美しさも圧倒される。
さらにこの後に希望でシャーベットがあるらしいがみんなギブアップ。

圧倒的な雅感、そして満腹感と満足感に満たされた。
お会計はお酒込みで39000円ほど、価格に見合う内容だと思う。

ここはまあ合う合わないもあると思うけど、私は好きだなあ。
そんなにしょっちゅうは行かない(行けないし)けど、2、3年に1回は行けるといいなって感じ。

・うずみどうふ（胡麻豆腐にご飯を少し乗せたお椀）
・向付　香茸と銀杏と大根もちなど
・お造り　鯛、いか、ぶりとぶり砂ずり、マグロ2種、漬けマグロ
・牡蠣と蟹のしんじょとお餅のお椀、生姜とゆずの風味
・奥出雲黒毛和牛に九条ネギ、はちみつとりんごとベリーのソースで
・酒米（京の輝きというお米）にこのわた
・八寸　ウズラのつくね揚げにぶどうのソース、きぬかつぎ、かぶらずし、鴨、鱈白子、卵焼き、えび、真珠貝わさびの粕漬け、あん肝、なまこ
・すぐきとニシン炊き合わせ
・くえ
・松葉ガニにおくらときみずとジュレ
・焦がし（白いご飯におこげと汁を入れて）
・そば焼き（中にあんこと水晶文旦）
・抹茶
・フルーツ50種類

全国ベスト10に入る京都の懐石「未在」。
”未在”とは、”まだまだ学ぶべきことがある”という意味の禅語。
常に成長し続けるという意思をあらわしているのだろう。

一度は行ってみたいと思っていたこの京都の名店にありがたく御誘い頂いた。
八坂神社を抜けて公園の中を歩いて行くとだんだんと緑が深まってくる。
気分もだんだんと高まったころに、凛とした佇まいの名店「未在」が現れる。

“茶懐石”なんて聞いたことも無い作法を求められるので緊張していたけど、
ふたを同時に開けるとかそんな難しいところまで意識しなくてもいいよう。
お店の方も説明してくださるので身を任せれば大丈夫。

柔らかめのご飯と汁をまずは一口ずつ。
そして日本酒の杯を空けたら全ていただく。
茶懐石の作法の意味はよくわからなかったけど、
まあひととおりそれっぽい作業を終えたらあとはおのおの好きな酒を。

しゃべることも出来ないと聞いていたけどそんなことはない。
もちろん大声はダメだけど普通に楽しく会話できる。

料理はどれも見た目も素晴らしく、素材や食べ方へのこだわりもすごい。
塩釜でとれた140kgを超える鮪のトロは今まで食べたもののどれよりもすごいが、
醤油を煮こごりにすることにより水っぽさを出さずにマグロの旨味を味わうことが出来るという工夫もすごい。
しかもそれをさも当然かのようにやる、素材を活かすためにはこうするのが最善とばかりに。

こういう和食は量が少なくて物足りなくなりがちなのだがこちらは違う。
お造りのあとにはステーキやスッポンもアワビも出るし、それぞれの量もそこそこしっかりしている。
結構お腹が膨らんできたとおもったころに出てくる八寸もすごかった。
鮎やうなぎの印籠蒸しなど品数を思い出せないほどのラインナップ。
さらに炊きあわせと毛ガニが出てきてもうお腹はいっぱい！

しかし最後に出てきた〆のご飯がまたすごい。
お椀に入れた少量のご飯に、おこげの入った湯を注いで頂くのだが、
この湯が出汁ではないかと思わせる風味で程よい塩加減。
香ばしさも心地良く、おかわりしてしまった。

デザートもすごいと聞いていたけど、蕨もちがでてこれくらいか〜と思っていたら
４８種類の果物を使ったデザートが登場。圧巻！
さらには追加でシャーベットもあるという。
お腹ははち切れそうだけどお願いした。

何とか全て完食、これでもかという質と量の高い料理の連続に驚いた。
茶懐石とか難しいことを考えなくとも、素直に美味しいと思える料理をこれだけ楽しむことが出来て大満足だった。

ビール1杯とお酒1杯でお会計は38300円、
この価格に十分見合う内容だったと思う。
季節を変えて是非また行きたいお店。

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◆梅ジュース
◆御飯　　仁多米のおかゆ
◆汁物　　八丁味噌仕立て
◆向附　　蓮の花びらに包んだ揚げた蓮の実
◆造り　　明石の鯛、塩釜産大トロ、中トロ、鮪の皮、明石の真鯖、対馬のケンサキイカ
　　　　　淡路のハモ
◆煮物椀　下関のアワビと京都のキュウリ、くみ上げ湯葉
◆焼き物　ルバーブのソースを掛けた奥出雲の黒毛和牛のステーキ
◆箸休め　三重県のすっぽん
◆八寸　　桃の揚げ物　うなぎの印籠蒸　鯵の南蛮漬け　鯛寿司　燻したまご
　　　　　雲丹とモズク　稚鮎のテリーヌ　福井県の本バイ貝
◆炊合　　賀茂の加茂茄子、ゴマのあんかけ。信太巻き
◆強肴　　毛蟹、幻の琵琶湖のびわマス、下野の金糸瓜
◆御飯　　オコゲ汁つけ
◆香の物　水茄子、かぼちゃ、はりはり着け、鷹峰のキュウリ等
◆茶菓子　本蕨粉作った蕨もちと、秋田のジュンサイ
◆抹茶　　八坂神社の御神水を使ったお抹茶
◆果物　　48種類の果物