毎日でも食べたい！！鶏専門店に負けない親子丼 : 権兵衛

「親子丼が食べたいなぁ」と言っていたら、皮肉にもその機会はすぐに訪れた。

◎じ正に日曜日の1:15に予約を入れておいたのに、向こうで認識されていたのが一週間後という何ともお粗末な内容。
何度も確認したのに酷すぎるわ。
ここの玉子焼きを楽しみにして京都に来たのに最大の裏切りだ。
近場ならまた来るわで済むけど東京からだからおいそれとは行けないし、もうこんなケチの付いた店には二度と行かないわ！

時間の無駄なので早々に切り上げ、遅い昼をどこで食べるか考えていたところ、、、
そうだ！権兵衛の親子丼食べよ！
あのお出汁から作られた親子は美味しいはずと予見させてもらった。

13時過ぎなのに店内は満席であったが外待ちは無しだったので迷わず入店。
会計場のおばあちゃんから、相席になりますけどよろしいですかと申されたので、もちろんとお答え。
入口奥のグループ連れの席であったが、トイレに行っている間に帳場のおばあちゃんの横の席が空いたのでこちらでゆっくり食べてくださいと席を移動させてくれた。
またまた嬉しい心遣い。
すぐ板場と入口に一番近い席だ。

これだけ客が入っていても、あまり待たされずに料理が運ばれるのも素晴らしい。
当方の親子丼も10分足らずで着丼。

さて、イライラした気持ちを抑えつつ早速一口。


ええぇ？！


こんなに美味い親子丼食べたのは生まれて初めてだ。。。


う、ま、い、ずぉおおおおおおーーーーー！！！！！


正直自分から親子丼を頼もう、食べようと思ったことなどこの人生で殆どといっていい位無かったよなぁ。
それでも９０年代グルメブームの時にはお江戸は都内有名店を片っ端から食べ歩きはしたが、、、、。
まぁ、それはさておき、

もうこれが香りからしてもう美味い！とわかってしまうレベル。
玉子と鶏肉からの濃厚な香り、お出汁の香り、そして山椒の香りのトリプルアクセルだ(笑)
まず鶏肉から食べてみる。
ムチっプリッと歯を跳ね返してくる弾力のある歯応え、噛むと鶏の旨味溢れる肉汁と出汁のジュース。

これはイケる！イケるでぇ！！(誰だよ一体ッw)

あまり玉子を掻き回していないとじ方は、黄身の濃厚な旨味と白身のシンプルだが其々の素材をまとめている鎹(かすがい)となっている。
ふんわりとした玉子の美味さたるや超高級な出汁合わせ玉子かけごはんではないか？
これは美味い、う、ま、い、ずぉおおおーー！

当方の好む汁ダクに、米はグダグダにならないような炊き上がりも良い。
カッカッカッとキン肉マンの阿修羅マンが笑っているのではなく、当方の親子丼を食べる箸が止まらなくなってしまった音なのだ。
かっ込んでいると米粒が僅かに気管支に入ってしまい、苦しい思いで咳をしていたら、板場からすっとお冷を持って来てくれた。
これはとても嬉しいサービス、心配りであった。
水を飲んで咳を沈めて、改めて美味い親子丼をかっ込んでいく超力であった。
成る程！
これは市川海老蔵もハマるわなぁ。
南座からわざわざ出前を頼むほど大好きなわけだ。
当方が海老蔵でも同じ事してるでー。

次回は親子丼とキツネうどんを一緒に食べたい欲望が発生してきた(笑)

権兵衛は決して高級店では無く、市井の、平ったく言えば街場のそば屋だ。
しかし、その歴史はなかなかのもので、昭和２年に四条小橋にて創業した後、戦争のために移転。
昭和20年よりここ祇園の切り通しで営業されている。

今回は京都へ来たら必ず参拝と御朱印を拝受している寺院に伺った後、少し小腹が減ってきたので６時前に１０数年振りの再訪してみた。

以前のライディン時代の権兵衛のきつねうどんの感想は散々たるモノであったが、さて今回は？

◎きつね（うどん 930円）

着丼した丼から立ち昇る香りや良し！
これは期待させてくれるお出汁かも。
早く出汁を味わいたいと脳と胃が騒ぎ出す。
一口啜ってみる。

おぉう。
こんな美味しかったっけ？
20年前は全く印象の欠片も残らなかったツユだったのに、かなりのインパクトを当方の舌と鼻腔に与えて来た。
何でこんなに低評価だったんだろう。
この汁は、かえしよりも出汁が決め手だ！
鰹節を始めとした様々な魚節の抽出具合と昆布出汁とのマリアージュ、かえしと合わせて濃そうな色だが決して塩分濃度が高い訳ではなく、旨味が強く出ているのだ。
一口ではおさまらず、二口、三口と止まらなくなってきた。
これは魅惑的な出汁だ！

うどんは柔目で京都の地方色としてはこの感じがスタンダードなのだろうか。
うどんはコシよりも滑らかさが光り、美味しいお出汁を適度に持ち上げてくれる。
口の中の塩梅はジャストで申し分無い。
これでネギの鮮度がもっと良かったら超力的には4.0超えは硬いのだが、仄かに青葱部分から灰汁と臭いが気になった。
でも酷いというレベルでは無く、当方の鼻と舌的な感想なので、気付かない人には問題無いレベルだ。

ライディン時代は2.0という評価であったが、当方も歳をとり、その分飲食の良きも悪しきも様々な土地で色々なモノを味わって来て今がある。
その間食べ手としての成長というのか、集大成といおうか、自分の味覚が研ぎ澄まされて来ているのかを計測するには良い機会となった。

また、帰り際に靴置きから自分の靴を出そうと思っていたら、もう既に当方の靴が綺麗に揃えて床に置かれていたのだ。
店員が当方がどの靴を履いていたのかをキチンと記憶して把握されていたから出来るサービスだ。
こんな嫌味の無いスマートなサービスをこの権兵衛で受けるとは、全く以て想定外であった。
これは街場を超えた洗練された嬉しいサービス、というか心使いに感動した。

このお出汁で炊いた親子丼は美味しいだろうなぁとすぐ思い、また近いうちに親子丼を味わいたい。