京都のお店として、CPがとても良いです。ただし、非常に惜しいお店だとは思います。 : いはら田

マイレビ様が穴場とおっしゃっていらっしゃたので、長らく訪問したいと思っていました。
ようやく訪問できました。おっしゃる通り、穴場と感じました。
研究心に溢れた、合作系のお料理(造語です!)を提供なされています。
ただ、提供するスピードがあまりにも早すぎます。
会席料理では生涯最高のスピードだと思います。
80分かからなかったと思いいます。私の感覚だと120分以上が適当かと
感じました。その点のため、CPの良さと早すぎるスピードで、全体的な印象が
プラスマイナス相殺してしまう感じです。そんなに早く提供する必要があるのだろうか？
と疑問には思いました。食後に他のお客様が入店してくるわけでは
なかった模様ですので。その点が改善されれば、
印象はもっと良くなるとは思います。

(0) 紫蘇ジュース

このジュースは非常に美味しかったです。食が進みました。
美味しくて、おかわりもしました。お話によると、
赤紫蘇を通常の2倍使っているとのこと。
砂糖は上白糖(多分)とのことでしたが、紫蘇をたくさん使っている分、
自然な甘みに感じ、家で赤紫蘇を大量栽培して真似したくなりました。
今まで自宅庭では青紫蘇ばかり育てて、というよりも自然に自生しているので、
来年以降このジュースを自宅でと思うほどのものでした。


(1) 先付

具材が多いですが、毛蟹(北海道)、うるい、松の実、アスパラ、アスパラのムース、
毛蟹の甲羅で出汁を取ったジュレです。どれもまずまずでした。紫蘇の花も飾りとして
あります。具材が多いので、バラバラになりやすいお料理ですが、
そんなにバラバラ感はなかったです。サービス精神旺盛なお店と感じました。
個人的には松の実はないほうが良いとは感じました。
人それぞれ感じ方は違いますが、アクセントというよりは、
却って、煩わしく感じてしまいました。アスパラ自体も消去しても
良いかもとは感じました。


(2) 椀物

真鯛(明石)が中にあります。葛豆腐のお汁です。
緑のものは地植えの三つ葉のお浸し、白いものは大根でした。
お店の方の説明によると、三つ葉は通常水耕栽培だそうで、
地植えのものは出回らず、農家さんからいただいているとのことです。
ちょっと〜、私は。。。何も食材を作っていないのではないんだけどなあ。
お店の方の勢いがすごかったので、黙っていました。
下に自宅の狭い裏手に山のように生えている三つ葉の写真を添付しておきました。
全然大したことありませんが。ついでに生花も。
家では食べきれません。自宅で頻繁に赤出しのお味噌汁に
入れるようになったのはよかったです。これもまずまずでした。

(3) お凌ぎ

自家製唐墨、バフンうに(根室)、はもで上にあられが載っています。
海産物はどれも上質のものでした。はもの生命感が印象に残りました。
同じですけれど、あられは個人的に不要でした。
どうもアクセントみたいのものが好みのようですね。


(4) 向付

ケンケン鰹(ぴょんぴょん鰹という意味なのですね。)でした。
藁の香りも何故か品よく感じ、鰹自体も非常にものがよいものでした。
この日一番の品でした。写真を見返してみても、色が綺麗ですね。
上には海ぶどう、ハッサクが乗っていますが。これだけ、鰹のものがよければ、
単体で勝負した方が良いかとは感じました。らっきょ、ふきもあります。
たくさんありますね。フレンチだと縦に盛り付けるというのはあるかと思いますが、
お刺身の上にどんどん盛り付けるのは違和感を私は感じます。

(4.5) 鯖鮨

本日締めた鯖鮨だそうです。これは出町柳近くの鯖寿司専門店の鯖寿司よりは
全然美味しいですが、レビューした、味ふくしま様や祇園にし様のそれよりは
かなり落ちると感じました。後者二つは新鮮で華やかな感じがしたのですが、
当店のものは合格点に達したという感じのものでした。

(5) 八寸　

たくさんあるので、記憶に残ったものだけ感想を書きます。
右手に自家製バチコがありますが、バチコとしては柔い味でした。
しっとりもしていました。本もろこはうっすら甘く、
赤坂詠月様で何年か前にいただいたものよりは美味しくは感じました。
もろこ自体は私はあまり美味しいお魚とは私は感じませんが。


(5.5) 車海老

海老の下がご飯ではなく、潰した里芋であることにびっくり。
組合せとしてはありだとは思いましたが、ただし、
人様に提供する組み合わせかなとは疑問に感じました。


(6) 揚げ物1　

甘鯛の松笠焼ですが、松笠焼にしては鱗がパリパリしていませんでした。
私はこれは成功した一品とは全然感じませんでした。
皮目も「なよっ」としていた印象でした。

(7) 揚げ物2　

竹の子チップスでした。どこかでいただいた、市販品だったかどうかも記憶にありませんがが、
ゴボウチップスに瓜二つです。素人の私でも揚げる温度が高温(200度?)
のものではないかと感じました。これはとても美味しかったです。

(8) 強肴　

スッポン鍋でした。丸いオレンジ色っぽいものはすっぽんの卵の漬けだそうです。
京都の会席料理でスッポンをいただいたのは初めてかもしれません。
すっぽんの味はアンコウっぽいというよりは、鱈っぽい感じでした。
後ろに表面が香ばしい丸ナスがあり、スッポンよりもそちらの方が
美味しかったです。湯葉も入っております。

(8) 食事　

ご飯はブレンド米でしたが、銘柄もおっしゃっていましたが、聞き取れませんでした。
甘いものでしたが、驚くほどの味のものではありませんでした。


(9) 水菓子

ルビーレッドという赤いキウイがあります。一昨年、知り合いからいただいたものよりは
相当落ちます(頂き物がすごかったです。)が、どこかのお店でレビューし
たものよりは良いです。味は、中心が赤い色の味の雰囲気が漂う味です。
ちなみにZespri様のルビーレッドはもっと、外側まで赤い色素があります。
イチゴは淡雪だったと思いますが、典型的な淡雪よりは味わいがより平坦なもので
あったかと思います。

最中は中身がクレムブリュレで表面の砂糖はカソナードです。
和食のデザートにクレムブリュレというと違和感を感じるかもしれませんが、
確か温度帯が低く(食事終盤になると、どうしても会話が多くなり、味わうのが疎かになり、
また、訪問からレビューを書く日まで日にちが経っています。)、
アイスクリームの最中という感じでしたの、
違和感はなかったです。中身を開けてみると、
色々と感じるものが私にはあります。


味自体は全体的によく、再訪もする予定ではありますが、
ハイレベルの日本料理にも慣れてしまったのかもしれませんが、
天ぷら拓様の太刀魚や空豆のように
「お〜、感動的」
と心の底から感じ、唸ってしまうような品はありませんでした。
唸る2、3歩手前で止まっていて、突き抜けるまでには至らなかったです。
しかし、大きな疑問符がつく品はありませんでした。
ただ、具材の足算が私には多すぎる品が複数あるとは感じはしました。
華道でもどんどん花材を足して、華やかにする方と必要最低限の花材で
生花として成立させる方と色々ですのせ、あくまで、個人的意見です。
また、徹底的に極め、完璧無比というスタイルといよりは多少のことは気にせず、
どんどん前へ前へと進んでいくような料理の印象を感じました。
(大将様の生年月日をお聞きしてみたいものです。)

以前にレビューした杦様よりは勢いがあるので印象自体は良く(評点は順位は逆です)、
大渡様よりははるかによく、レビューしていませんが、
京都の他のお店、木山様、祇園坂川様、お料理はやし様
(印象の良い順番)などよりも良いです。
大将様の明るいお人柄のよさ、サービス精神も感じます。

京都のお店は私にはお値段がお高く、また予約が難しいです。
当店は予約が取りやすく、また、CPが良いので、再訪はありと感じました。
訪問して、良かったとは感じました。自分ではとても見つけられないお店ですので、
マイレビ様、貴重な情報大変ありがとうございます。

一回訪問すると、落ち着きますので、足し算の多いお料理でも、
次回はもっと隅々まで味がわかるようになると思っておりますので、
どうぞよろしくお願いいたします。