京都らしい空間と優しく繊細な料理 : モトイ

築100年という呉服屋さんの建物を使った京都のフレンチ。
京都らしい雰囲気が抜群で、料理も繊細で好み。
ということで、久し振りに2回目の訪問。
なおシェフは、中華から料理の世界に入り、しばらく修行した後フレンチに転向してます。

前回はディナーでしたが、今回はランチ。
ライトアップされた夜の中庭の雰囲気も素敵ですが、明るい昼も良い。
ランチのコースは8500円（税・サ別）。
当日の内容は、以下になります。

＊付出し　ヘーゼルナッツのキャラメリゼ　
＊アミューズ　生ハムと白玉　胡麻豆腐とイクラの入りパニプリ
＊前菜1　栗のスープ　トリュフの泡　うずらとキノコのラビオリ
＊前菜2　フォアグラ　林檎のコンポート　キヌア　フロマージュブランのソース
＊前菜3　北寄貝のミキュイ　貝出汁の泡　色々な大根　里芋のポム・ド・フィーヌ　バジル
＊魚料理　マハタのポワレ　玄琢葱と柚子の香りのブールノワゼット　ジャガイモのピュレ
＊肉料理　イベリコ豚の炭火焼き　トリュフソース　様々な調理を施した41種類の野菜とともに　
＊デザート1　黒豆のグラス　木苺のコンフィチュール
＊デザート2　アマゾンカカオのプチィ・ポ
＊デザート3　新興梨のクレープ　焦がしバターのソース　梨のソース　バニラアイス
＊小菓子　カフェ

繊細さは変わらず。
全体的に柔らかな風味で塩も強くなく好み。
前回よりも王道的というか地に足の付いた料理であり、一方で前述のように繊細さもあるので、完成度も高くなってる感。
アミューズの胡麻豆腐にイクラを合わせたものは？でしたが、それ以外はどれも美味しかった。
優しい癒し系の料理。

前述のように雰囲気は抜群だし、サービスは控えめながら折り目正しく目配りも完璧な高級フレンチのそれだし、ワインも充実してます。
料理だけではなくフレンチレストランとしての完成度が高い。
会食などには最適なお店と言えます。
大満足。

ご馳走様でしたー。

以下、料理の詳細です。

＊付出し　ヘーゼルナッツのキャラメリゼ　

こちらの定番。
無くなるまでテーブルに置いといてくれ、料理の合間に少しつまむのも楽しい。
クミンを使っているのですが控えめで、料理の合間でも風味が邪魔しないのが良い。

＊アミューズ　生ハムと蓮の実餡入り白玉　胡麻豆腐とイクラのパニプリ

蓮の実の餡が入った白玉に生ハムを乗せたものは、もっちりとして甘みのある白玉に生ハムの塩気が合っていて美味しかった。
胡麻豆腐とイクラのパニプリは、イクラの臭みみたいなものが何故か強く感じてしまい、もうひとつ。前述のようにイマイチだったのは、これのみ。

＊前菜1　栗のスープ　トリュフの泡　うずらとキノコのラビオリ

トリュフの香りが結構します。
栗の風味に溢れながらも、優しい味のスープが嬉しい。
ラビオリは雲吞みたいな包み方で、中華の修行時代を忍ばせる。
この包み方も柔らかい食感でいいな。
栗だけだと単調ですが、キノコとウズラの旨みも栗に合ってた。

＊前菜2　フォアグラ　林檎のコンポート　キヌア　フロマージュブランのソース

キヌアがサクサクで（そういうものだっけ？）、フォアグラのねっとり感と良い対比で面白い。
フォアグラのテリーヌはフレッシュ感があり、美味しい。
リンゴやフロマージュブランの優しい酸味でフォアグラの脂感を和らげており、手堅く美味しい品。

＊前菜3　北寄貝のミキュイ　貝出汁の泡　色々な大根　里芋のポム・ド・フィーヌ　バジル

北寄貝はキュッとした食感を残しており、貝出汁の泡と相まって美味しい。
大根の優しい甘みと爽やかさも、主材の風味を持ち上げる感。
これも美味しい。

＊魚料理　マハタのポワレ　玄琢葱と柚子の香りのブールノワゼット　ジャガイモのピュレ

皮をパリッと身をふっくらな模範的とも言える火入れ。
魚料理に鉄板な焦がしバターのソースを合わせており、美味しくないわけがないという・・。
とはいえ、玄琢葱（細い青ネギで辛みはそんなに無い）と柚子の爽やかさで重くならないようにしてる。
ジャガイモのピュレは、その甘みがバターの甘みと連続性がありつつ脂ではないのでバターの脂感を和らげて、良い箸休め。

＊肉料理　イベリコ豚の炭火焼き　トリュフソース　様々な調理を施した41種類の野菜とともに

イベリコ豚は脂が美味しいのですが、あえて脂身は無し。
それでも火入れは良いし、肉の旨みは十分ある。
美味しい。
白眉は、それぞれ調理法を変えた41種類もの野菜達で、ミッシェルブラスのガルグイユを彷彿とさせる出来。
素材の味が濃くて美味しいし、色合いも綺麗。
美味しい野菜をたっぷりと食べられるのは嬉しい。
　
＊デザート1　黒豆のグラス　木苺のコンフィチュール

一口サイズ。枝豆の風味。木苺の風味と意外に合ってた。

＊デザート2　アマゾンカカオのプチィ・ポ

これも小さいサイズで。ふわっとしたカカオムースがとても美味しい。

＊デザート3　新興梨のクレープ　焦がしバターのソース　梨のソース　バニラアイス

新興梨は甘みはそんなになく、シャリッとした食感。
なので、焦がしバターのソースが意外に合う。
デザート2品の後だけどさっぱり目なので、重くならず、個人的には嬉しいかも。
手堅く美味しいです。

＊小菓子　カフェ

小菓子の種類が多いのは嬉しい。

以上です。

京の町屋で頂くフレンチ。
食べ友さんからおススメされたので、行ってまいりました。

築100年という元は呉服屋さんの自宅を改装した建物は、広々としていて中庭もあり、すごく素敵。
天井も吹き抜けで、ここまで素晴らしい空間は、京都ならではかも。
この空間に身を置くだけで、来る甲斐があります。
シェフは中華から料理の世界に入り、10年も中華の修行をしていたという少し異色の経歴です。

こちらのディナーは、14580円・9720円（税込・サ10％別）。
違いは皿数で、9720円は14580円のコースから料理を抜粋した形。
せっかくなので、14580円のコースにしました。

当日の料理は、以下になります。

＊キャラメリゼしたヘーゼルナッツ
＊白玉団子
＊蛍烏賊と豆、新馬鈴薯のクープ
＊豚バラ肉の広東風焼き物
＊塚原の白子筍を若布のスープ
＊ホワイトアスパラのサラダ
＊オマール海老と野草のサラダ
＊ぐじのポワレ　大原わらび　バターのソースで
＊ロゼに焼き上げた尾崎牛
＊完熟トマトとソーテルヌ
＊木苺とココナッツをバナナの皮に包んで
＊宮崎マンゴーと味噌　-196℃のグラニテ
＊ミニャルディーズ

京都らしいと言うのか、とても繊細な料理。
味付は濃くなく抑制が効いていて、徒に素材の味を超えた調味をしていないのが、とても好み。
その繊細ゆえに一口食べて驚くような派手な美味しさは無いものの、どれも非常にバランスが取れていて、まとまっている。
またそのため、素材の顔が見えるのもとても良い。
何をしたいのか、意図が明確な料理。
素材を色々合わせても、ごちゃごちゃした感じがないのがさすがだなーと。
比較的オーソドックスな、作り方によっては重くなるソースを結構使っているのに、そうならないのも何気に感心。
火入れも、上手です。
インパクトある味付けが好きな人には印象が薄い料理に感じられるかもですが、繊細な薄味好みの方にはかなりツボな料理かと。
個人的には、前述のようにかなり好み。
フレンチ以外の経験をされているのが、こういうセンスに繋がっているのかな。

またサービスもとても良い。
一人で来た私に、色々と話しかけてくれる。
説明も丁寧。
グランメゾンのようなサービスです。

ワインはグラス一杯だけ頂きましたが、メニューに無いルイ・ラトゥールのバタールモンラッシェ2001年を出してくれましたっ！
偶々だそうですが、さすがの美味しさ。
ミネラルと酸・蜂蜜香のバランスが非常に秀逸。
しかも、お値段安い。

とても良いお店です。
教えてくれた食べ友さんに感謝。

ご馳走様でしたー。

以下、料理の詳細です。

＊キャラメリゼしたヘーゼルナッツ

微かにカレーの風味。
そのスパイス感が、食欲を刺激してとても良いスターター。
その香りが強いと後の料理を味わうのに支障をきたすのですが、抑制をちゃんと利かせているのが素晴らしい。

＊白玉団子

白玉の中に蓮の餡を射込みんで揚げ、上に生ハム。
蓮の餡の甘さと生ハムの塩気がバランス良くて、美味。

＊蛍烏賊と豆、新馬鈴薯のクープ

下に新じゃがのピュレを敷き、蛍烏賊のタルタルとグリーンピースを挟んで、牛のコンソメを乗せたクープ仕立て。
馬鈴薯が、とても滑らか。
蛍烏賊は味が強い食材ですが、タルタルにして味を整え抑えることで、全体のバランスが取れてる。
コンソメも旨みが強すぎず、馬鈴薯の風味を損なわない。
一口食べた瞬間から唸るような美味ではなく、その繊細さで、食べ進むうちに美味しさに心が和んでくる計算された料理。

＊豚バラ肉の広東風焼き物

シェフの経歴を生かした料理。
皮に塩を擦り込むことで、焼いた際に皮目を爆発させ、クリスピーに仕上げるのだとか。
実際、皮目がとてもサクサク。
いちごやバジルを添えているのも、面白い。
その酸味や甘み・香りが、豚の脂感を和らげ、皮目のクリスピー感をさらに昇華する。

＊塚原の白子筍を若布のスープで

筍はサクサク♪
スープは、魚料理で出る甘鯛（ぐじ）で出汁を取っており、そこへ若布で香りづけ。
アンチョビの風味も少し。
とはいえ、これも若布の風味が抑えられており、主材の風味を超えない。
繊細な白子筍だけに、このバランス感覚にやはり感服。
椎茸も添えられ、筍の旨みと対を成すのも良かった。
椎茸の旨みは、主にグアニル酸。筍は、グルタミン酸やチロシン。
違う旨み成分を重ねることで、旨みに奥行きが出ます。

＊ホワイトアスパラのサラダ

ロワール産のホワイトアスパラを細く切り、ビーフン（米粉のパスタ）と和え、ソースもアスパラガスから。
上にキャビア。
これも繊細な風味。
塩気が強くないキャビアを使ってることがポイントで、繊細につながってる。

＊オマール海老と野草のサラダ

オマール海老をレアにポワレし、ソースはオーソドックスにアメリケーヌソース。
色々な野草とともに頂きます。
オマール海老が、レアでプリプリ♪
野草の香りも鮮烈で、一方アメリケーヌソースはそれらの風味を邪魔しない穏やかさ。
これもバランスが良いな。

＊ぐじのポワレ　大原わらび　バターのソースで

甘鯛（ぐじ）を鱗を残した松笠仕立てにし、トマトやディルでアクセントを付けたバターソースで頂きます。
ほんと鱗がパリパリっ！
ぐじは、一汐してるのか、旨みが濃いっ！
ソースは普通な感じですが、とはいえこのオーソドックスなソースも抑制が効いてる。
大葉やふき、ねぎぼうすも添えられ、その香味もバターソースにくどさを感じさせない役割。
つまり、比較的淡白ながら下ごしらえで旨みが凝縮した甘鯛に、素材を超えないように上手くコクを与えている格好。
素直に美味しい。

＊ロゼに焼き上げた尾崎牛

宮崎の貴重な尾崎牛。
腰からソトモモの部位と言ってましたが、結構脂が乗ってます。
火入れはなかなか。
ソースは赤ワインソース。
これも素直に美味しい感じかな。

＊完熟トマトとソーテルヌ

完熟トマトのグラニテとソーテルヌ（貴腐ワイン）のソルベ。
トマトが甘い。
そのため、トマトとソーテルヌの甘み・酸味ともにバランスが取れており、これも良くまとまってる。

＊木苺とココナッツをバナナの皮に包んで

組み合わせは良いのですが、バナナの皮が固いかな・・。
噛むのに少し苦労だし、味的にも皮は不要かも。
これは唯一イマイチ。

＊宮崎マンゴーと味噌　-196℃のグラニテ

甘み際立つ宮崎産のマンゴーに、味噌を合わせるという暴挙。w
でも、ちゃんとまとまってます。
コリアンダー（パクチー）の葉が、味噌と意外に合うので、良いつなぎになってる。
また、フロマージュブランのアイスが、全体を優しく包み込み、全体をまとめてる感。
グラニテはオレンジとカンパリのエスプーマを液体窒素で固めたもので、その苦みと爽やかさがマンゴーの甘みを際立たせる。

＊ミニャルディーズ

結構沢山で嬉しい。
トリュフチョコにトリュフを入れたものがツボ！

以上です。