空間、接客、お料理、全てからもてなしの心が溢れる。これが飯田さん。 : 飯田

今回は2022年5月のレビューです。

個室のしっとりした空間、そこからのぞむ庭の様々な緑が柔らかく、そして女将さんの気取らず気持ちのよい接客、居るだけで心を和ませてくれます。

そして一つ一つのお料理に角がなくてバランス感が素晴らしく、味わいが自然というか、違和感なく体に染みるように美味しさを感じさせてくれます。
温度感、食感、味の緩急・濃淡、コース全体で見ても口を飽きさせないような気遣いがあり、美味しさはもちろん、食べ手へのもてなしの心が伝わってきます。

お料理、接客、お店の空気感・格、これぞ飯田さん。

ご馳走さまでした。

▪️料金▪️
約48000円※税込
コース＋日本酒2合

▪️頂いたもの▪️
【先付け】★★
【お椀】★★★★★
【お造り①あぶらめ】★★★
【お造り②伊勢海老】★★★★
【粽】★★★★★
【稚鮎】★★★
【鰻の八幡巻き】★★★★★
【すっぽんの煮凝り】★★★
【和牛サーロインと天然蕨と花山椒】★★
【お食事】★★
【甘味① キャラメルのアイス美生柑ゼリー】★
【甘味② 焼き柏餅】★


▪️以下詳細です▪️
【先付け】★★
碓氷豆の豆腐と鞘の出汁・蒸し鮑

たっぷりの碓氷豆を使った豆腐は、香りに満ち、鞘の出汁を纏って味わいが柔らかく深く広がる。
そして鮑も上品ながらしっかりとした香りで、ベクトルは違えど碓氷豆の風味の強さと同等で、お皿全体としてのバランスが取れ、違和感なくそれぞれを味わうことが出来ました。
飯田さんらしさが詰まった先付け。


【お椀】★★★★★
鯉・茗荷と芽ネギ・蓬麺

揚げた鯉は臭みなく、良い意味で鯉であることを忘れさせるような綺麗な味わいに仕上がり、そしてその衣の油が出汁の透き通るような香りと旨味に深みとコクを出す極上の仕上がり。
一口頂いただけで全身が弛緩するような美味しさ。
そして蓬麺は柔らかな食感と香りで味に広がりを持たせつつ、口を落ち着かせてくれる。


【お造り①あぶらめ】★★★
もう、噛んだ瞬間にわかる極上のあぶらめ。
その名の通り脂の乗った身は、滑らかで艶かしい質感よく、噛むと程よく生かった身から、雑味ない味わいが力強く溢れる。
そのままで食べても素晴らしく、添えられたクレソンと一緒に頂くと、円やかな青さがアクセントになり味を引き立て、これまたうまい。


【お造り②伊勢海老】★★★★
伊勢海老を生揚げにして行者ニンニク等で和えて、茗荷と青紫蘇を乗せて。

レア目に火入れされた伊勢海老は弾力感ある食感で甘味にコクを持ち、しっかりした味付けながら、香りと酸味が絶妙で、海老の味を崩さず膨らます。
伊勢海老の身はこんなにも美味しいんだと、見せつけてくれる一品！


【粽】★★★★★
細い井草で幾重にも丁寧に綺麗に巻かれた粽。一寸豆のはじか煮を添えて。

その凛とした美しさに見てるだけで心を奪われる。
笹の香りを纏った鯛寿司は、濃い旨味を餅米の甘味が受け止め、噛むたびにしみじみと旨さが広がっていく。
もうこれは、粽の王様、ちまきんぐと呼んでも過言ではないと思います！


【稚鮎】★★★
小さいながらもふっくらと仕上がった琵琶湖の稚鮎。
噛むと肝のパーンとした苦味から身の甘味が追いかけるように広がり、口の中で苦甘が完成。
柔らかな酸味と香りの蓼酢はジャストの強さで、稚鮎のその味わいをじんわり味を広げてくれる。


【鰻の八幡巻き】★★★★★

噛むと皮はカリッ、身はふんわりの鰻。
牛蒡は柔らかな繊維の中に水分を蓄え、溶けるように鰻とシームレスに一体化。
もちろん食感だけでなく、鰻とタレの香りと旨味、牛蒡の優しくもはっきりした香りと甘味とが同化し、飯田さんの八幡巻きの美味しさを完成！

いやー、八幡巻きで感動する日が来るなんて夢にも思いませんでした！


【すっぽんの煮凝り】★★★
赤雲丹と新もずく

柔らかな旨味と香りの煮凝り。
雲丹の風味が綺麗にパイルダーオンして、香りと味わいの幅を広げてくれます。
シンプルながら、やはり素晴らしいバランス感。
そして、八幡巻きのしっかりした味わいからのすっきり感ある流れも絶妙。


【和牛サーロインと天然蕨と花山椒】★★
甘めのお出汁で頂く、サーロイン×花山椒の間違いない美味しさ。
そしてその美味しさだけで終わらないのが、飯田さん。
影の主役、いや自分的にはこちらが主役だったのが、天然蕨！
滑りある口当たりから香りと甘味が広がり、肉が霞んじゃうくらいに美味い！
いやー、肉に花山椒に蕨に贅沢な一品でした。


【お食事】★★
粒感がしっかりして甘味が強く、一口一口の満足度の高いご飯。

先程のお鍋の出汁の卵綴じをかけると、米×出汁×卵で、思い出すと涎が出てくる旨さ溢れる美味しさに。

【甘味① キャラメルのアイス・美生柑ゼリー】★

【甘味② 焼き柏餅】★


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お茶屋さんを改修してつくられたお店は、しっとりと柔らかな空気に包まれ、なんとも居心地の良い空間。

素材感を活かしつつも、味付けのバランス感が絶妙で、お料理としての一体感を感じさせ、心落ち着く美味しさに。

女将さんの気の利いて軽妙なトークも、食事の時間に華を添えてくれます。

お料理、空間、過ごす時間、日本料理の素晴らしさを改めて体感させて頂きました。

ご馳走さまでした。

▪️料金▪️
一人　約60000円　ドリンク別
※松茸の時期なので普段より高めです。

▪️頂いたもの▪️

【先付け】★★★
胡麻豆腐・菊の花・伊勢海老と味噌の出汁

味噌のコクを持ちつつも綺麗に仕上がっな出汁が、胡麻豆腐をしっかり活かす。

【グジの豊年揚げのお椀】★★★
米俵に見立てたグジは揚げて油抜きし、香茸と水菜巻きのお椀。

綺麗な旨味の出汁に、香茸からは文字通り香りと、油のコクに、厚切りの衣の中からくじの旨味。
それぞれが合わさり素晴らしいバランスの一品に。


【お造り】★★
明石の鯛・菊の華の酢漬け

締まりの良い身は噛んだ時に心地よい弾力を生み、そして甘味を持った旨味が口に広がる。
まさに魚の王様。

【鰹】★★★
皮目を炙った鰹に、たっぷりの松茸おろしをかけて。

酸味と香りの効いた松茸おろし。
香ばしさを纏った鰹の綺麗な香りと脂の旨味と合致。
美味しい。


【天ぷら蕎麦】★★
天然舞茸の天ぷらは香り良く、
喉越しよい蕎麦と出汁の旨味とも相性抜群。


【松茸】★★★
大振りの丹波の松茸。
味付けはせずにシンプルに焼いて頂きます。
お皿から溢れる奥ゆかしく深みある香りに恍惚とし、食べる前に何度もその香りをクンクンと楽しんでしまいます。
そして、大胆にも根本から割いて口に含むと、食感よく、風味強く、甘味あり、ナチュラルで綺麗な旨味が溢れる！

【子持ち鮎と銀杏】★★★
子持ち鮎は味付けの塩梅が素晴らしく、鮎の良さをしっかりと引き出すベストな甘味。

【菱蟹と金時草と雲丹】★★★
菱蟹からジュレ、雲丹と味が滑らかにつながる。
食感と味わいの移ろいが自然で、口の中でストレスを感じさせることなく美味しさが表現された、滋味深く素晴らしい一品。

【炊き合わせ】★★★
小蕪・京菊菜・干し貝柱の出汁

小蕪の綺麗な甘味と菊菜の香りを、出汁が円やかに包む。

【松茸ご飯】★★★
土鍋で炊いた松茸ご飯。
半分は炊き込む前から、もう半分は炊き上がってから裂いて混ぜて。
米に染みた風味とフレッシュな香りと食感と。一口毎に溢れる恍惚感。
極上の松茸ご飯でした。

【黒無花果】★★
栗のプリンとワインのジュレかけ。

【栗金団】★★
栗の甘味、餡子の甘味が程よく。


ご馳走さまでした！