皐月の飯田 : 飯田

3年半ぶりの飯田さん。

この時期に来るのは初めてです。5月は端午の節句ということでちまきに模した鯛のお寿司と鰻の八幡巻きがスペシャリテということでしたが、圧巻の美しさと滋味深い味で大感動。

どの料理も派手さはなく、どっちかという渋い料理が多いのですが、それがまた贅沢なんですよね。高級食材オンパレードのオラオラ系の料理なんかもう誰も食べなくないですから。

お隣にいらして日本料理の料理人さんも終始唸っておられました（笑）

【2023年5月のおまかせ】
★うすい豆の葛豆腐 鮑 うすい豆のさやで取ったジュレ
★鯉の揚げ物 よもぎ麺のお椀
★明石のアブラメのお造り クレソンのおひたし
★カツオのたたき 行者ニンニク ミョウガ 辛子
★ちまきに模した鯛のお寿司 そら豆
★稚鮎塩焼き 蓼酢
★鰻の八幡巻き
★スッポンの煮凝りゼリーと生ウニ
★牛肉とフキ、花山椒のお鍋
★お鍋の出汁の玉じめ
★ご飯 夢ぴりか
★茄子の辛子漬け
★和三盆のアイスクリーム 飴細工、小夏のゼリー、さくらんぼ
★焼き柏餅
（飲み物）
★瓶ビール
★お酒（磯自慢、黒龍いずれも純米大吟醸）

お会計：約53,000円

師走の飯田さんに伺わせていただきました。

今回も圧巻の料理と器で心もお腹も大満足。

飯田さんが作られる料理は、同じ京都の料理人さんから見てもかなり古典的なものらしいのですが、京懐石に明るくない大多数の人間の目には却ってそれが新鮮に映るのかもしれないですね。

出来れば季節を変えてまた伺わせていただきたいものです。

約1年ぶりの飯田さん。

この日は奥の個室で。

カウンターでいただくのとはまた違った良さがありますね。気の合う仲間たちとの食事でしたので、もちろんお料理や器も楽しみはするのですが、良くも悪くも美味い料理をいただきながら会話を楽しむという使い方になるのかな、といった感じです。

京都でずっと行ってみたかった日本料理店。

実は3月にもお誘いいただき訪れる機会があったのですが、まさかの体調不良によりキャンセル。約半年待ってようやく叶った初訪問。

しかも今回の訪問の数日前にリリースになった「ミシュラン京都・大阪」で見事三ツ星を獲得され、話題性の点でも申し分のないタイミングでお邪魔することができました。

店は御池通から1本南の小路沿いにあります。自分が知っている京都の日本料理屋と同様に暗闇の中で薄っすらと控えめに明かりを放ち、そこには「飯田」の文字。

引き戸を開け、玄関で履物を脱ぎ、踊り場を通りカウンター席のある部屋へと入っていきます。この日はカウンター（貸切）でしたが、他にも個室があるようです。

建物の道路に面してない側は箱庭が広がっており、この風情がなんとも京都らしく店の雰囲気、設えからして既にテンションが最高潮に上がってしまいます。

カウンターは6人までで、掘り炬燵のように足を下ろすことができます。

時間になるとご主人が奥から現れご挨拶。香煎でほっと一息つき、食前酒でお腹の具合を整えたところでお料理スタート。

お酒は、最初にビールで喉を軽く潤した後は冷酒をおまかせで出していただきました。

先付は、皮目を軽く炙った丸穴子に土佐酢のジュレをかけた一品。一口目から想像した味と違いました。それも自分にとっては良い意味で。

京都の日本料理といえば、吉兆や和久傳に代表されるように塩味を削ぎ落とし、舌に神経を集中させて旨みを感じ取らせる料理こそが王道と勝手に思っているのですが、飯田さんの料理は出汁こそ昆布が主体ながら、味の輪郭をくっきりと出されます。

東京の日本料理店の「ような」味の出し方です。もちろん、自分が知る中にこのような料理を出す日本料理店は東京にはないのですが。。。

料理もある一定のレベルまで到達してしまうと、味つけ、味の出し方は個人の嗜好ということになるのでしょうが、自分の中では究極に美味しい、それが一品目を食べた飯田さんの感想です。

それ以降の料理も素晴らしく、使っている食材、調理法、そして使っている器もこの日はご主人が終始目の前で一つずつ説明を加えてくださいましたので、思う存分「飯田の世界」を堪能させていただきました。

奇をてらった料理ではなく、オーソドックスな京料理を基本としつつも、中には食材としてはどちらかというと地味なイメージの「とんぶり」持つの可能性に挑戦するような一皿もあったりして、伝統を大事にするだけではなく、新しい味にも挑戦しようとする姿も献立の中には見てとれます。

また、焼き物は目の前の焼き台で炭火で焼いてくれるのですが（この日の焼き物笹鰈）、使っている炭の美しさ、焼き台の構造への拘りなども半端ではありません。

そして、飯田を語る上で欠かせないのが料理とお酒に合わせる器の妙。器に関してはまったくの素人の自分が見て、手にとってみてもその造形美と凄みが伝わってくるものばかり。この器を拝みに来るだけでもここに来る価値があるんじゃないかというほどです。

品数自体はかなりありますが、料理全体のボリュームはどちらかというと控えめ。未在や緒方のような満腹感はありませんが、自分にとっては程よい食後感。

初訪問にして一気にファンになってしまいました。
また一つ京都に来る楽しみが増えましたね。

【2017年11月の献立】
★香煎
★食前酒
★皮目を炙った丸穴子、土佐酢ジュレがけ（魯山人の割り山椒）※焼き霜じゃないよ
★鶉のたたき、山椒、銀杏餅のお椀（輪島塗り）
★八幡浜白甘鯛のお造り、海苔醤油、馬糞雲丹、菊花（大樋焼 乾山写し竜田川 金沢）
★京番茶で薫香をつけた関鯖のにぎり みょうが乗せ（魯山人のお皿）
★とんぶり蒸し、鰆、唐墨、栗、葛餡かけ
★笹鰈炭火焼と骨煎餅（明朝の赤絵皿）
★柿ときゅうりの胡麻和え
★仙鳳趾の牡蠣素揚げ山椒醤油
★雌の渡り蟹と渡り蟹の塩辛の大和芋和え
★御食事（新米、味噌汁、お新香、牛肉時雨煮）
★代白柿、煮切りのブランデーゼリー、きな粉
★栗汁粉
（お酒）
★瓶ビール
★鄙願（半合）
★栄勲一吟（半合）

お会計：約32,000円