輝ける三つ星もあくまで通過点。 : 飯田

京都ミシュラン3つ星の日本料理店に有難くも貸切会のお誘い。
予約困難な人気店に労せず定期的に通わせて頂き心よりマイレビュア様に感謝m(__)m

この時期だけお目見えという樂の兜碗。京都樂美術館に展示されているものと同じだそうで。他にも魯山人の遺作の徳利、100年以上前にフランスのバカラ社と大阪の美術商「春海商店」が特別制作したという春海バカラの徳利（フランスのバカラ美術館に同じものがあるそうです）などなど。国内でも有数の骨董器収集で知られる店主の大切なお宝たちは一見の価値あり。（見せて頂きましたが、お酒を飲んだ後では怖くて触れません。笑）。次回はまた年末を楽しみに。

写真撮影は基本不可。
その意向を汲んでお品書きも大まかにします。

・鮑とうすい豆の葛打ちジュレ
・鯉のお碗、蓬麺
・鮪（塩釜）の造里
・アブラメ炙り
・琵琶湖産稚鮎の炭火焼
・八幡巻き
・鯛のちまき
・海胆（北海道）　鼈ジュレ
・花山椒鍋
・お食事
・水菓子　抹茶
・日本酒　英勲、フェニックスなど

ミシュラン京都2018で一番の話題をさらったのは間違いなく当店。
輝ける三つ星を唯一新たに獲得しました。

2つ星の頃から既に予約困難店であり、常連客からすれば「味だけを評価の対象」としているはずのミシュラン最高位を受賞するのは至極当然の流れ。しかしながら歴史と伝統を何よりも重んじる京都にあって、今回の飯田の三つ星獲得はミシュランを大いに評価したいところ。

本日も前回同様、常連友人のカウンター貸切り会にて。
はい、未だに自力での予約は不可能ですが、年に何度も誘ってくれる友人に心より感謝です。

・先付　丸穴子の焼き霜、土佐酢ジュレ
・お椀　鶉の叩き寄せ、銀杏金団
・造里　白甘鯛（愛媛、八幡浜）
・お凌ぎ　関鯖寿司　京番茶のシャリ
・進め肴　柿の胡麻和え、牡蠣（仙鳳趾）揚げ、渡蟹雌と長芋
・蒸物　とんぶり蒸し葛打ち、唐墨、鰆、栗
・焼物　若狭鰈の備長炭焼き
・炊合　海老芋と源助大根（金沢）
・水菓子　柿と栗
・菓子と薄茶
・日本酒
（順不同、記憶にあるものだけ）

先付から吸い込まれるように飯田の世界にどっぷり。皮目のパリっとした食感と身厚の肉質を同時に楽しめながら先付らしく焼霜で丸穴子の余分な脂分を落として土佐酢ジュレで爽やかな仕上げ。空腹をしっかりと満たしながらも次の品への食欲を掻き立てる技は流石。お椀の椀種は何と鶉。この時期ですから蟹真丈かと予想していましたが・・・銀杏金団でしっかりと秋の風情を感じさせつつも食べ手を楽しませる創意工夫。香り高く、どこまでも優しく引かれた出汁が格別。お造里の白甘鯛は甘みたっぷりで歯応えもしっかりと残し楽しめます。京都の会席料理ではお凌ぎやお食事で時々みられる寿司もまた楽しみの１つ。京番茶でシャリを炊いているのが面白いですね。鯖の脂身を優しく包むような京都らしい味わい。進め肴で酒も進みつつ、またもや驚かされたのが、とんぶり蒸し。いつも脇役に徹するとんぶりが、唐墨や鰆を脇役にして主役の座に躍り出た衝撃的な一皿。葛打ちした出汁のトロみにツブツブの食感コントラストが一層引き立ちますね。唐墨の塩分が絶妙に全体をまとめ上げて、栗の甘みで更に旨みが溢れます。カウンター席で備長炭に火を起して火入れしたのは旬の若狭鰈。子持ちで身に僅かな弾力を感じながらも、フワっと口中で柔らかな食感。これまで抱いていた鰈のイメージを遥かに大きく覆してくれました。炊合は金沢の源助大根と京都の海老芋の出逢い。埼玉出身の店主でありながら異国とも言うべき京都の地で頂点を極めた店主の想いが伝わってくるようです。デザートの熟れた柿と栗の合わせ技も最後までサプライズ。魯山人や須田菁華の骨董器を惜しみなく供して頂けるのも器好きにとっては堪りません。まるで美術館の魯山人展に訪れて展示品で食事をしているかのような夢のような時間です。間違っても飲み過ぎて手を滑らせるようなことがあってはならず、緊張もしました（笑）。

同年代である店主と笑顔の素敵な美人女将、そして常連友人たちのお陰で時が経つのも忘れてしまうほど美味口福な時間を過ごさせて頂きました。

次回は春頃、指折り数えて楽しみにしております。

京都市役所前から徒歩数分。

ミシュラン二つ星、食べログアワード2017・Silver受賞のお店。

予約困難店としても有名ですが、マイレビュア様の貸し切り会にお誘い頂き初訪問。感謝m(__)m

店内は掘りごたつ式のカウンター席と離れの個室があり。
個室は2名利用も可能なようでした。

笑顔の素敵な美人女将に案内されてカウンター席へ。

当店は料理写真のSNSアップは禁止。
自分は料理の写真を撮るのが１つの趣味ですが、駄目ならそれで構いません。その分、食事と会話で楽しく過ごせればそれでいいかなと思います。
時に2人で食事していて撮影と料理内容のメモに時間を割いて食事も会話も放置という食べログ病は如何なものかと（笑）

ということで、コースの細かい内容列挙も今回は控えさせて頂きます。

食前酒には弥生月らしく桃酒。先付のミル貝とハマボウフには生姜ジュレの酸味で食欲を一気に高めてくれました。旬の赤貝（大分）は身厚で立派。紐はぬた和えに。鯛（明石）の造里は歯応えと旨みのバランスが素晴らしく旨し。筍と桜鱒の挟み上げは、見事な春の旬の二重奏。桜鱒の塩加減が絶妙で筍の香り食感が春の訪れを告げていました。そして今日の一番はモロコ焼き。店主がカウンター席の目の前で丁寧に一匹一匹焼き上げてくれました。一口で口に入ってしまう可愛らしいモロコちゃんは、あっという間に完食。長時間かけて火入れして下さっていたのを目の前で見ていた分、店主に申し訳なく。食事の御飯も美味しくてお隣様の小鉢を分けてもらって3杯おかわりという無作法なことして失礼致しました(>_<)

器も楽を中心に持つ手が震えてしまうような骨董名品ばかり。余計な心理的負担をかけないように、器洗いは若い衆にはさせずに店主と女将さんのお二人でやる決まりなのだとか。これだけの名店に若い衆はたったの一人。大切に育てられていくことでしょう。

店主、女将さんとも会話が弾み、とても楽しい弥生月の宴となりました。
気の置けない仲間たちとの貸し切り会はそれだけで最高の心地良さを覚えます。

季節を変えて、是非とも再訪したいお店となりました。
また貸し切り会にお呼ばれすることを願ってm(__)m