久々の再訪でしたが、あの安定感は何処へ・・・ : 日本料理 櫻川

前料理長の前田氏が独立された後、初めての訪問です。

夜８時過ぎからのスタートで予約して訪問しました。

小生らの他に客の姿はなく、これまで経験した事の無い閑散ぶりに内心驚きました。

お料理はコースなので、品数や料理自体の流れはそれほど大きな変化はありません。ただ、小生がこの店を気に入っていた所以でもある出汁。料理の軸とも言える味が揺らいでいます。

前田氏までは料理長が変わっても安定の味が保たれていた気がしますが、今回はどうも納得いきませんでした。

サービスも悪くは無いと思いますが、まだ食べ終わっていないのにお膳を下げられてしまったりすると、早く帰れと言われている気分で、あまり居心地もよくありません。

これまでは、和食で悩んだ時は櫻川・・・という感がありましたが、今後は候補から外れそうです。

ーーーーーーーーーーーーーーーー　以下、前回までのレビューです　ーーーーーーーーーーーーーーーー

洋食が続いていたので、久しぶりにゆっくりと和食を・・・ということで、土曜のお昼からお店を探し始めることに・・・

【味在】もちろん予約で満席、【桜田】ここも予約で満席、【てら川】か【桜川　木屋町】で悩んだ末、最近元桜川板長のお店【食工房ひろさき】さんに何度か伺っていたのもあり久しぶりに桜川へ・・・

７時の予約でしたが、個室も他カウンターも既に満席。

お料理は初夏の雰囲気を醸し出す涼を感じさせるものから、梅雨冷の夜に相応しいお出汁のきいた椀のもの。暖かいお出汁に柚子の花を浮かべた椀はつい最後まで頂いてしまうほどあっさりと、しかし上品で深みのあるお味。毎回感じるのですが、こちらのお店はお出汁が本当に美味しい。

僅かな差ではありますが、塩辛くも無く、かといって鰹の臭みも無く、上品なのに濃厚・・・和食の美味しいお店はお出汁が美味しいという個人的セオリーに適うお店であります。

また、こちらの進み具合に合わせ段取りよく次のお料理の準備を黙々とされているのですが、カウンターの外から伺っていても無駄の無い連携の取れた動きは見ていて気持ちが良いものです。

そして、ここはいつもお料理が丁寧で、一皿一皿思いというのが何となし伝わってきます。

そして、感心したのが前回訪問してから一年近くは経っているのにも関わらず、板長さんとお話をしていると、前回訪問時のことを覚えてくださっていたのです。前回はそれほど個人的なお話はした覚えも無かったのですが、店側にすれば毎日会うたくさんの客のうちの一組でしかないにも関わらず、覚えておいてくださっていたというのは客の心理としてはやはり嬉しいもの。

なかひがしでは一月足らず前の会話ですら忘れられていたというのに雲泥の差です。

そういえば元々こちらは常連のお客も多く、当日も毎週家族で見える地元の方もいらっしゃるとかで、メニューはアレンジをしていただけるとか。。。

まさにこれこそが飲食業のサービスと言うべきでしょうか。単にお料理の味意外でも、お店のファンになる要素を秘めている名店と確信いたしました。

普段コースでお料理を頂くことをしないので、そう頻繁に伺うかは不明ですが、又近々相方と共に伺いたいお店です。

ごちそうさまでした。


-----------------------------以下、2010.7月訪問時のレビューです------------------------
ミシュランガイド掲載後ははじめての訪問です。

以前とは中の方も変わられて雰囲気もだいぶ変わった気がします。時期が祇園祭の最盛期だったので、おまかせコースのみでした。

本格的な会席料理とまではいかないながら、お酒を頂きながらならちょうど良い少しずつのお料理。ただ、ご飯までしっかり召し上がる方には一品、二品物足りない内容かなと思います。
八寸、鯛のお造り、すっぽんのしんじょう入りスープ、鮎の塩焼き、夏の定番ですが、鱧しゃぶ（スープは新玉葱を使った少し風味のあるオリジナル）に、箸休め、鱧寿司がコースに組み込まれていました。

デザートはありましたが、揚げ物はありませんでした。
基本の和食＋創作を加えたお料理ですが、安心していただける程度の創作です。
鱧は板前さんが軽快なリズムで骨切りをされていて、鱧寿司は出す直前に炙って提供されるので、ふわっと柔らかく香ばしさもあり美味しかったです。

全体的に丁寧さが伝わるお料理で、一品一品個性があって美味しいと思いますが、有名店になったせいか以前の板長さんの時のような顧客に合わせた接客やサービスというのは感じられず他所々しいかんじでした。
最後に、酢飯があまり食べたい気分ではなかったため鱧寿司を白ご飯と焼き鱧に変更してもらいましたが、持ち帰り用にしていただいたり、白ご飯なら赤だしを出すか一応聞いてほしかったですね。

お酒含め一人15000円の食事です。食材の原価を考えるともう少しお客に合わせたサービスが必要な気がします。

祇園祭シーズンで一見が多い時期だからかもしれませんが、毎晩同じかそれ以上の客単価の店を回遊する者としては沢山の選択肢がある中で態々櫻川に行こうと思えるものが見つからなくなったようにも思えます。
悪くはないし、お料理は美味しいのですが、同じお代で同程度の店は京都にまだまだあります。