五感で愉しむ懐石が頂けるお店 : 富小路 やま岸

京都で予約困難で話題のこちらのお店、
12月に訪問する予定なので、愉しみにしておりましたところ、神様は日頃の私の善行⁈をきっと見ておられたのか、8月に伺える機会を頂きましたので、喜び勇んで、先輩を誘って訪問して参りました。

場所は住所の通りに富小路六角を下がった所の西側にあります。
間口は狭く、まさに京都の町家の鰻の寝床、長屋となっております。暖簾をくぐり、引き戸を引くと、足元を行灯で照らされた石畳のアプローチが続いております。和の要素を残しつつ、シックな空間で、茶道の「露地」に見立てられてるとのことで、ここを過ぎ、戸を開け、靴を脱ぎ、店内へ上がります。さながら待ちに待った愉しみなアトラクションへライドするワクワクした気分でした。
店内は温かみのある明るさで、檜の一枚板のカウンターです。この日の席数は9席だったと思います。
そのカウンター席の後方に2本の柱があるんですが、その脇の席に座りましたが、どうしても柱が視線を邪魔したりなどして、マイレビのみつごとうさん様がおっしゃってたように柱がなければ、尚良いのになぁ…と思いました。建物の構造上、撤去できないだろうと思いますが。

店主の山岸隆博氏は、「七栄鮨」さん、「たん熊北店」さん、「京都一の傳」さんなどで研鑽され、2015年10月にこちらを開店されました。
茶道裏千家講師、華道嵯峨御流華範、書道師範講師と多才で、店内にはその技を活かした生け花が置いてあり、壁には上村松園さんの絵が飾ってありました。
お店の2階で華道教室もやられております。

2017年10月現在、18000円(税別、サ込み)のコースのみです。2、3回転するようで、この日は18時から訪問しましたが、21時からの来客がありました。
お店の2〜3回転といい、華道教室といい、頑張り過ぎですよ！山岸さん、お身体は大丈夫ですか⁈とその超人ぶりに心配になってしまいます。
直接的にはこの日が初見だったのですが、私の友人が華道でご一緒だったり、通っている美容院が同じだったりと、何かと勝手にご縁を感じておりました。凄く笑顔が溢れ、お話ししやすい方でした。

さて、この日のお食事です。

先付
淡路鮑の柔らか煮・冬瓜・北海道塩水雲丹
のジュレ酢掛け

蒸物
秋田の蓴菜の飯蒸し 煮えばな
水菜を魚醤を入れて炊いた

椀物
淡路の鱧 銀杏の摺流し
そうめんかぼちゃ

向付
氷見の牡丹海老
長崎の剣先烏賊 愛媛の真魚鰹
鮪の天肉
胡麻 赤穂塩 醤油

八寸
杉八寸盆で
周山の天然鮎の炭火焼
大文字の焼印の丸十

炊合せ
茄子と鰊 鷹ヶ峰唐辛子 サンドマーク

小皿で
城陽の焼き無花果
岩手のイタヤ貝の肝和え
大阪湾で取れた鰯の酢炊き 3日間コトコト炊いたん
白芋茎
スイートコーンと枝豆のかき揚げ

寿司
手渡しで
鮪と海鼠腸の海苔巻き
雲丹海苔巻き(北海道北紫雲丹2列)、通称、雲丹ドッグ
雲丹箱が並べられ(雲丹畑)、何列にするか尋ねられます。3列以上はオプションと思われます。

焼物
北海道の鰈 油鰈 鮫鰈

ご飯
土鍋御飯
長野県産の米を使用 柔らかめの炊き具合
まずは煮えばなから。
ご飯の供は自家製で
胡椒おじゃこ
明太子の白ワイン漬け
柚子なめ茸
海鮮うとい和え＝ 雲丹・鮪のトロ・烏賊を卵の黄身と混ぜて頂きます。お酒のアテorご飯のお供。
当然、海鮮丼にして頂きました。

自家製粒餡の最中 お薄

3時間を越えるコースでした。お店を出ると、9時からの部の方々が待たれており、今宵も山岸さんの活動は夜更けまで続くようです。

茶懐石であり、伝統と格式を重んじながらも、もはやスペシャリテの手渡し寿司を始めとした、立つ鮎の群れ、などの今風にいうインスタ映え＝フォトジェニックな演出が随所に見られ、アクセントがあり、絶えず私達を飽きさせずに惹きつける料理が続き、ワクワクドキドキ感が止まりません。
ご飯のお供でさえ、手抜きなく、手が込んでおり、御飯自体も美味しいですが、何杯もおかわりをして、満腹となりました。
食後の幸福感、満足感がハンパないです。

また、店主の山岸さんは上記したように多才なお方なのですが、本当に笑顔が素敵で、物腰柔らかで、お店の雰囲気も抜群です。そして、本当に私達に満足してもらいたいというおもてなしの精神が伝わってきます。
今や予約困難で、有名店になられてるのに、そこに満足せずにさらに上を目指す志は職種は違えど、感銘を受け、刺激を頂いた次第です。

私見ですが、銀座に移転された「しのはら」さんに初訪した時以来のインパクトを受けました。長らく「しのはら」さんロスでしたが、願わくば、末長く通わせて頂きたいと思わせてくれるお店です。

また次回の訪問を愉しみにしております。