つつみバッテラ ☆ かもん亭 : かもん亭

『つつみバッテラ』


うるめイワシのバッテラ。
これがあるだけでこの店に来た甲斐がある。

およそ刺身で食べられることのない魚だが
鮮度がいいものはとろける脂があり
刺身で食べてもとても美味しい。

この店の大将はそのうるめをぬくぬくの甘シャリで
包みこむように優しくバッテラに仕上げる。
ひと口食べるとハラリと解けたシャリの甘さが開き
うるめの脂がジワリと広がる。
飲み続ける男たちの左手を止め
無くなるまで箸を置かせない逸品。

ギュッと押したバッテラがどれほど無粋なものだったのか！
を気づかせてくれるカルチャーショックな
うるめのバッテラ。
これが有っただけでこの店に来た甲斐がある。

【2014/4再訪】
この日は愛媛からのお客さんを迎えて３人で。
県外から食べることが好きな方を迎えるとなると・・やっぱり高知は旨い！と唸らせたい。
それなら一番手で候補に挙がるのは、此処でしょう。

土曜日の18：00スタート。
つきだしは蕨と筍の木の芽味噌あえ。
これは山椒の鮮烈な香りをまとった味噌が爽やかな一品。
このつき出しでテンションが上がった所にカツオの塩たたき
そしてカツオのたたきの巻き寿し　土佐巻きの登場です。

甘めの寿司めしをふんわりと巻いたお寿司はこの店のスペシャリテ。
これで愛媛のお客さんのハートをグッと鷲づかみ。


そして飯イカに筍、たらの芽の天ぷら　季節感のある一品に思わず目をつぶり
藁焼きの香りと土佐赤牛の旨味がひとつになった　ひと皿に息をのむ。

お約束の茗荷の甘酢漬けも繋ぎには外せない一品。
亀泉・田酒でホロ酔いになり
最後にもう一度　あの幸福感を味わいたくてご飯物の　サヨリのバッテラを。


お会計はやっぱり６０００円を切っている。

愛媛のお客さんから
最大の賛辞を頂きごちそうさま。

ここはやっぱり外さない店である。


【2013/8再訪】

この日は徳島からのお客さん酒野夢蔵さんと二人酒。
徳島に行った際には、いつもとびきり美味しいお店の御紹介を頂いてるだけに
こちらもとっておきのお店でお迎えします。

酒肴「かもん亭」さんです。

このお店は大将が一人で料理をされている繁盛店。
料理のタイミングが合わなくて興ざめ・・・ということの無いように
予約の段階で3品ほど　大将にお任せでお願いしておきました。

先ず出てきたのが綺麗な鰹の刺し身。
続いて鰹とにんにくの巻き寿司　土佐巻きです。
あれっ！　鰹が続いたな・・と思ってると大将が後でなぞ解きを。
お盆休みで前日まで市場がお休み。
前日で食材は使いきってしまい・・やっとこの日新鮮な鰹を押さえることができたんだとか。

それは・・どの店も必死で魚を抑えにかかるでしょうから種類が少ないのはしょうがない処でしょう。

鯖寿司が食べれないのは残念だけど・・・土佐巻きも良いですね。
ココは酢飯が一般のお鮨屋さんのそれより甘いんですが・・何ともいえず美味しいんです。
高知で下手なお寿司屋さんへ行くくらいならこの店で食べた方がよっぽど美味しいと思います。

ただ少し気になったのは・・この序盤から巻き物？と思ったんですが
どうやら座敷の団体さんのタイミングに合わせての提供のようです。
これも一人での料理だから致し方ないところでしょう。

お酒も進み・・旨そうな料理が並ぶメニューボードに惹かれて思わず追加オーダー。

私は大好物の桜エビのかき揚げと鰆の西京焼きを。
野夢蔵さんはしゅりの里の出汁巻き卵を。

この時期に桜エビとは・・それもちょっと驚くほど成長した桜エビ。
玉葱と合わしてかき揚げにしています。
聞くと熊本産だとか・・・珍しいですね熊本産の桜エビ　初めて食べました。
熊本は年2回の漁期じゃないのかな？

鰆の西京焼きは魚のプリッとした食感が残る西京漬け。
味付けは上々です。

このタイミングでお任せ最後の一品が。
川海老の唐揚げ・うつぼの唐揚げに青さのりの天ぷら。

他の高知の店の多くは・・あおさ海苔をひとまとまりで、そのまま揚げてるんで
油切れが悪く中がもそっとして口当たりが悪いんですが・・ここのは薄く延ばして全体がカラッとなるように揚げてます。
小さなことですが大将の細やかな気配りで仕上がりに大きな差が出ています。

今回は食材の少ないタイミングでの訪問となりましたが
十分満足できるお料理を出して頂いたと思います。

これ以上食べられないと・・残ったお料理は折に入れてもらう程　満腹になり
お酒もそれなりに頂いたのに一人6000円を切る料金。

一人でやられてるメリットが最後には、しっかりと客に還元されるのは・・素晴らしいことだと思います。


ごちそうさまでした。


【2012/11】
この日は知り合いの間でも評価の高い「かもん亭」さんに行ってきました。
場所は追手筋を東向きに、電車通りを横切って一本目の交差点を右に曲がった所にあります。
店前の案内ボードには・・宗安寺の野菜と活魚と全国地酒約30種類とあります。

店内は20人で満席になる　こじんまりしたお店。
この日はお仕事でお付き合いのある方と二人で訪問です。
店内のメニューボードを見ると、その日のおススメが書いてあるんですが・・
これが中々種類が多い。。。
初訪問だったんで・・大将におまかせでお願いしました。

出てきた順に・・
◎くもこ(北海道産の真鱈の白子）
　ポン酢で頂きましたが、全く臭みの無い美味しい白子。
　これは上々のスタートです。

◎鰹の刺し身
　脂が乗ってきた鰹も良いもんです。
　たたきじゃない辺りが自信の表れでしょう。
　ホントに良い鰹でした。

◎鯖寿司(バッテラ)
　これが堪るか・・・こじゃんと旨いねぇ！
　ふんわりと押された押し寿司は幸せを感じる素晴らしいお寿司。
　これは次回も必食ですね。

◎秋刀魚の西京焼き
　大将の地元の宗安寺でとれた炭焼きしいたけやレンコン素揚げ等
　秋の盛り合わせのようなお皿は見た目にも楽しい。
　西京焼きは大好物なだけに堪らない一品でした。

◎うつぼの小鍋
　コラーゲンたっぷりのウツボ。　ぷりっとした食感が良いですね。　
　少し甘めの味付けも丁度良い塩梅。
　高知らしいニンニク葉と、ピリッと利かした山椒が良いアクセントになっているお鍋でした。
　
飲み物は最初の2杯は生ビールで。
途中からたまらず日本酒に切り替えて。
大将は土佐酒アドバイザーの認定を受けており日本酒にも造詣が深いようです。

まずは・・青森の田酒から。
続いて・・亀泉の純米吟醸の吟麓・・・純米大吟醸の貴賓を。
貴賓だけは少し小さめのグラスになります。
コチラのお酒はどれも一杯650円で提供とのこと。

これだけ頂いて一人5600円。　ＣＰも上々です。

若い大将に聞いてみると・・約4年前にこの店を開けたそうで、その前は京都で修業をされてたとの事。
土佐の食材に京料理のエッセンス。
目で楽しませ。
舌で楽しませ。
旨い酒で楽します。
私の知ってる高知の居酒屋では頭一つ抜けている印象です。

これは当分は他の店に行けなくなるかもな。。。

ごちそうさまでした。