地味ながら料理が絶品の旅館 : お宿 ながお

湯河原の温泉街にあって、路地裏の地味な場所に入り口を構える旅館。

かなりこじんまりとした感じで、2階建て。窓から見える景観は知らない誰かの家と生い茂った木々。

観光的な景観を望むような旅館ではないが、こういう「普通の風景」も都会から来た身としては十分に旅行感を味わえて面白い。

お茶菓子は湯河原名物の「きび餅」が置かれていたが、柔らかすぎる餅がとにかく食べづらく、嫌いな味ではないのだが、包装の方法とか色々と考えてほしいと思える一品だった。

お茶っ葉は誰かが使った後の使い回しなのか、かなり少量で、2杯も飲めれば良さそうな量だった。足し忘れ?そんなわけがない。元からお茶っぱが少なかったのかもしれない。

トイレは共同。お風呂は宿泊者数が多い時は予約制で時間を決められる場合もあるようだが、今回は夕食の時間以外は自由に使えた。

そのお風呂も「貸切中」という札を入り口に置く事で使っている事を誇示するという、アナログな利用方法だ。

2つの浴槽は狭いながら趣があり、清潔感もあった。

暖簾の色から見るに、以前は男女別に分かれていたのであろうが、今は特別分かれておらず、貸出中の札さえ出しておけば、どちらも男女共に使える。

片方のお風呂には浴槽の入るところに段差があったり、もう片方はシャワーの蛇口の部分が新しい設備に変わっていたりと微々たる差はあったが、ほとんどどちらに入っても一緒だ。

体感的には42度越えのお湯はかなり熱く感じるが、温泉が湧いているホースの蛇口は止めてはいけない旨が張り紙で警告されており、水で少し埋めてなんとか入るしかない。

最初は熱さ故の痛さを感じるものの、いざ、肩まで浸かってみると「これが温泉かぁ〜」と思いながら極楽気分になれた。

＝＝＝＝＝閑話休題＝＝＝＝＝

そして、この旅館の一番の売りが料理だ。

鍋としゃぶしゃぶが鎮座。そして最初に持ってこられたのが茶碗蒸し。

これが温かくて柔らかくてめちゃくちゃ美味しい。こんな食感の茶碗蒸しは初めてだ。

刺身も美味しいのだが、大量過ぎて少し飽きがくるぐらいの量だ。刺身が腹一杯食べられるなんて、そんな贅沢はそうそうないのだろうけれど…。

すのもの。美味しかったけれど、底には苦手なキュウリが入っていたし、個人的な話になるが、やはり「すのもの」自体が得意ではない。

次に鮭が登場。鮭と言ってもイタリアンなんかで提供されそうな洋風な仕上がりで、周りにはプチトマトなども付け合わせられて豪華な仕上がりだ。

和風な料理が並ぶ中、これだけが洋風で少し戸惑うも、しっかりと美味しくて二度驚いた。

30分もすると釜飯が炊き上がった。しゃぶしゃぶも食べ終わっていないのに大忙し。

しゃぶしゃぶは少量ながら絶品。ポン酢に付けていただきます。晩飯の中では茶碗蒸しとしゃぶしゃぶが圧倒的に美味しい印象だった。

天ぷらも登場したが美味しいけれど重い。安全にフードファイト状態で、満腹のお腹が嬉しい悲鳴をあげた。

ちなみに味噌汁や付け合わせも丁寧に作られていた。

最後はバニラアイスとメロンとパインとチェリー。バニラアイスは市販品か?金属を連想させる妙な後味がいまいちに感じた。

でもメロンなどのフルーツ類が美味しく、食べ終わったらお腹パンパンだ。

こんなに晩飯を食べたら次の日の朝なんて、とても食べられないと思っていたが、サッパリした和食だったせいか翌朝もしっかりとお腹が空いたのだった。

＝＝＝＝＝閑話休題＝＝＝＝＝

朝、6時半頃に起きて温泉を最後に1回浸かった。

朝ごはんは既に全ての品が出揃っており、晩飯みたいに次から次へと料理が出てくるわけではなかった。

昨夜のフードファイトを思い出して、朝食は少し少なめでよかったと思った(笑)。

しかし「少なめ」とは言え昨晩に比べての話で、おかずは豊富だし、量は平均的な日本人の朝食の倍はあると思われた。

昨晩は洋食風の「サーモン」と呼びたい品だったが、本日は「鮭」と呼びたい和風な仕上がり。

白いごはんに鮭やしらす、納豆を合わせて食べれば美味しくないわけがなく、魚やお米自体の美味しさも光っていた。

夜に比べればシンプルな日本の朝ごはんと言った体裁だったが、個人的には晩御飯より好みかもしれない。

宿を出る直前に「他のお客様が車を出すので、鍵を貸してください」等とせわしないところがあって、それなら最初から車を止める場所を変えたり、鍵を預かっててくれれば良いのになぁ…なんて思ったりもしたけれど、総じて満足。

部屋にも期待していなかった分、予想以上に快適で満足がいった。

【点数】　★★★★★★★★　8/10
【名旅館認定！！！】