再訪、やはり美味 : うなぎ亭 友栄

初訪問で後からじわじわ～と感動の波が押し寄せた友栄のうなぎ、前回は私と子供たちだけだったので夫にもぜひ食べさせたくて再訪しました。
夫は私同様ほぼ関西風しか食べていないので食後の感想が気になります。

休日は込み具合がエラいことなので最初から候補外、平日は月・火・水の3日間ですが火曜日が比較的落ち着いているという事前情報を得て小田原目指して走りました。
平日でも開店11時には満席なのでお店には10時30分を目指したところぴったり到着で受付をします。
一応念には念を入れてうなぎは2匹の確保をお願いしてあったのでそれに肝焼きの「たれ」を追加しました。

開店30分前なのに店内はすでに着席された方々多数、私達もすぐお席に通して頂きましたがほどなく満席となりました。
この時点で10時45分くらいです、危なかった～。

まずは肝焼きが・・・
注文されたテーブルに順に運ばれます、注文率ほぼ4割といったところでしょうか、人気ですね。
相変わらず美しい肝と卵黄、そのままで、卵黄にまぶしてと2度美味しい。
卵は特別に岐阜から取り寄せていらっしゃるとのことです、白身はどこに行っちゃうんでしょう。
肝はぷりっぷりで香ばしく濃いけれど甘すぎないたれの焦げ目がまた美味しい。
前は肝焼きわさびも頂きましたが俄然オーソドックスなたれの方が好みです。

そして11時を待たずにうな重がやって来ました。
ここのうな重は潔く1種のみ、ご飯の量の好みを伝えるだけです。
他の食事物はしら焼御膳とうなぎ茶漬けだけでお酒を楽しむ肴はかなりあります。
本日のうな重、夫はご飯大盛でお願いしました。
大盛といっても三重平均では普通盛のレベル、三重での普通盛は私にはきついですが友栄なら普通盛完食できますから。

さて蓋を開けると美しく並んだうなぎが「ようこそいらっしゃいました」と語りかけてきてくれます。
一口・・・熱々、ふわっふわ、とろっとろ、あれっ溶けてなくなりました。
三重のしっかりした焼きと歯応えのうなぎとは対極を成すうなぎ。
これが最初に食べた際のカルチャーショック、あまりにも違い過ぎてどう解釈していいのかわからなかった食感と風味です。
前回は後からじわ～っと来たのですが今回は一口目から素直にすごく美味しいと思いました。

肝心の夫といえば・・・やはり私と同じ感覚でその柔らかさにびっくりした様子、でも気に入ったようです。
三重風のとどちらが美味しいというのではなくまったく別の料理だと認識が一致しました。
そしてお店のすべて、山椒やお茶の質・ホスピタリティなどすべてにおいては格段にこちらが上であり気持ちが良いこと、お値段はほぼ倍額に近いけれどそれだけの価値は充分あることも同じ感想でした。

私がなぜこんなに夫の感想を気にするか、優しいマイレビさんは夫への愛情だと思って頂きますでしょうか？
ノン・ノン・ノン、ま～ったく違います。
ここは車必須のロケーション、つまり夫が気に入らなければ再訪が難しい、ひとえに私が友栄のうなぎにありつくためのミッションです。
どうやらミッション成功の様子、ほっと一安心でした。

お店を出た後はいつものように箱根ドライブ、初夏の元箱根～湖尻～仙石原と走って来ました。
箱根神社はもはや日本語は聞こえません、主に中国語と韓国語、そしてほんのたまに英語です。

道中はお茶を楽しむ素敵なお店がたくさん、特に山のホテルのロザージュの林檎パイをずっと狙っているのですが行程上毎度毎度食後なので叶わず残念です。

＊＊＊＊＊＊＊＊　2017年10月訪問　＊＊＊＊＊＊＊＊


鰻屋さんの数が人口比で日本一だという説もある津市を県庁所在地と仰ぐ三重県民の私、ご多分に漏れず大の鰻好きです。
ただし普段頂くのは腹開き・直焼きの関西風ばかり、そこで関東高評価うなぎ店も攻略せねばとの1軒がこの友栄、初秋の箱根ドライブもかねて訪問しました。

と気軽そうに言ってもこちらではまず鰻サマにありつけるまでが一苦労、前日までに鰻の確保のお願いを済ませ、昼食利用ならなるべく早くお店について受付を済ませなければなりません、そしてあとは開店をひたすら待つのみ。

休日など混雑が予想される日は開店時間を早めて10時40分頃からと教えて頂いたので目標10時到着で自宅を出ました。
ところが朝の早いサーファーさん達でところどころ軽い渋滞、でもこんなのは想定内さと思いきや数台前でまさかの事故！
進行方向左横のお店から出てきた車が何をどうしたか車線を突っ切り道路わきの植え込みに頭から突っ込みました。
幸い怪我はされなかったようで運転手さんはすぐに降りてこられましたが茫然自失の態、周辺にいたサーファーさんや地元の方々が三々五々集まってこられました。
ただ左から出て来られたとはいえ塞いだのは対向車線、こちらの車線は少し滞っただけでまた流れ始めました。
大変なのは反対車線で流れなくなった車の方々、本来この時間は東進はスムーズなはずなので事情が分からず不思議顔、困り顔です。

そんなこんなで遅れが重なりお店到着は10：30、当然お店前の駐車場は満車で道を渡った第2駐車場へ、でもすぐ目の前＆歩道橋があるので安心です。
早速受付に向かいオーダーを済ませると着席予想はすでに2巡目、約1時間待ちとのことでした。


さてここでこのお店の素晴らしさ5連発で。

その壱・・・受付を済ませた後40分ほどして大盛をお願いし忘れたと気づき再度受付へ。
先ほどの女性(女将さんだと思われます)はその間に何十人ものお客様を受付けているにもかかわらず私が申し出る前に苗字とオーダーを的確に仰いました、何たるプロ根性、何たるプロ能力、ビックリ仰天です。

その弐・・・店内は待合もありますが気持ちの良い秋晴れの日だったので皆さん外のベンチやぶらぶら歩きなどで時間を過ごされていますがそういう方たちのためにお茶のセルフサービスが用意されています。
お待たせして申し訳ありませんの気持ちが感じられてこれは高評価です。

その参・・・お店は新しく和モダンでとてもきれい、鰻の匂いはもちろんしますがそれがとっても香ばしいもので、ありがちな大衆的匂いじゃないのです。

その四・・・問い合わせの電話の時から感じていましたがスタッフの感じがとても良く説明もわかりやすく言葉使いも丁寧かつ適切、これ若いスタッフも全員ですよ。
もちろん食事中のお茶の気配りなど完璧です。
隣席のお客さんへの若大将らしき方の日本酒ソムリエのような説明を聞くともなしに聞いていたのですがこれも大変素晴らしいい説明をされていました。
車なので我慢する身が恨めしい・・・

その伍・・・これだけ高名な人気店であるにもかかわらずなんと「好みの焼き方を遠慮なく申し出て下さい」の表示、あくまでお客の満足が第一との素晴らしいホスピタリティが溢れています。
頑固一徹親父の偏向したプライドまがいのものとは程遠い謙虚さです。


さてここからは肝心の料理の素晴らしさをお伝えするのですが、申し訳ないことにこちらの鰻の蒲焼きは主観的には私に合いませんでした。(ただし最初のみで今は違います)
なのでまずは客観的にその素晴らしさをお伝えします。

まず鰻の質が大変良いものであることは身自体の香りでわかります
これがこのお店に充満する高級な香ばしさの理由です。
これだけの数を安定した最良の状態で揃えることから恐らくは養殖ものですが養殖物の良いとこどりをした鰻だと思います。
私は鰻に限らず最近の魚類には天然一辺倒を唱える気はありません。
天然が素晴らしいことはもちろん多いですが中には身が痩せて必要な脂の乗りが感じられないものも少なくはありません。
でも技術が発達した現代では最高の環境で飼育された魚たちは衛生面も身の質も安定供給の観点からも価格面(コスパ)もとても優れていると思います。

ボリュームについてですが、「当店使用のうなぎは通常の1.5倍あまりありますので残されてもお持ち帰り大丈夫」とのご案内、いえいえ三重で食べ慣れている私にはこちらのうな重はぺろりと行ける量、関東の方のうなぎの標準量ってずいぶんお上品なようです。
そしてお重のご飯も上品な盛なので子供たちは大盛にした挙句お替りも勧めて頂くままにお言葉に甘えました。


さて前置きが長くなりましたがいただいたもののご紹介をば・・・・・

【うなぎの割きたてのきも】
「たれ」と「わさび」の2種類があり、どちらも一皿3切れづつです。

まずはあっさりと「わさび」から
蒸された肝はほろりとした苦みが山葵と合います。
白焼きと同じ感覚で味付けされてないうなぎはわさび醤油が一番合いますね。
醤油はさらりとしたイメージ通りのものでした

次に「たれ」を
これまた香ばしく焼き上げられた肝は最高のご馳走、ころりとした身からあふれる滋味と苦みが何とも言えません
こちらには濃厚な卵黄が添えられていて肝と和えて頂くようになっていますが私はそれは勿体なく焼き肝だけを楽しみました


【上うな重(きも吸・おしんこ付)】
うな重は潔く「上」１種類のみ、他にはしら焼き御前とウナギ茶漬けというシンプルなメニュー構成です
初訪問なので全員がうな重をお願いしました

さて肝心の蒲焼き(単品ではなくうな重の)です。
ものすごく身がふっくらと柔らかい、ああ、これが大人気の理由なのですね
関東に方にとってはこの蒸し加減と焼き加減がまさに唯一無比の価値、職人技なのでしょう、これが蒸さず直焼き文化で育った私とは真逆です
柔らかすぎてふっくらしすぎて、何というか鰻のがっつり感がないのです、あくまでお上品

でもタレは素晴らしい、そして蒲焼きの焼きダレとご飯に掛けるタレは甘味の少ない同じものですが濃度が違うと感じました
焼きダレは少し濃く、ご飯のはさらりとした感じ、この差はお替りのご飯に掛けてきて頂いた、つまり上に鰻が載っていない状態では一層強く感じました
もしかしたら全く同じもので焼くうちに飛んだ水分のせいで濃い目に感じるだけかもしれませんが、とにかく最高のタレです
よくありがちな煮詰めた甘辛いものではなくさらりと上品、このふっくらした鰻を生かすにはこういうタレでないといけませんね
私がこれまで食べて来た蒲焼の中で最高のタレでした。
ご飯の炊き具合も良くてお腹のキャパがあれば私だってお替りしたかったです


さて日を置いて・・・
最初は私の好む蒲焼ではないと思ったのですが訪問後約2か月後の今思い起こすとまったくベクトルの違う鰻料理と考えられてとてもアリの気になってきました。
関西風(三重風)に凝り固まった味覚を打ち破るありがたい存在かも。

また焼き方も希望を聞いて下さるとのこと、直焼きは無理でしょうが蒸し浅目でカリッと焼きというのをリクエストしてみようかなぁ、でもやはりデフォが最高の価値なのかなぁと次回の訪問に備えて悩ましいです。

当初と変わり蒲焼自体ももう一度食べたいと思うようになってきたのですが、それより何よりこちらのお店は肝心のタレが素晴らしい、そしてハード・ソフト含めたおもてなしの心、それらが最高峰だと感じます。
これだけの人気店でありながらこの謙虚さを保つこと、これすなわちお店の品位と矜持ですね。
これまでの私のうなぎ屋さん経験からは間違いなくダントツの1位です。
料理が90点だとしたらその他の要素でそれが100点はおろか120点にでもなるお店の典型のように感じました。

こちらのうな重の5,184円は決して安いランチではありません。
サイドメニューをあれこれ頼んだら7,000円にも10,000円にもすぐなりそうです。
でも大変失礼な言い方ながら、普段はファミレスを利用されているような小さなお子様連れの若いご家族も、日常は倹約されているであろうとお見受けする方々も、未成年のように見えるカップルも、皆さん楽しそうに並んで嬉々として鰻を頬張っておられます。
そしてお店側もお客の身成風体で値踏みをする気配は当たり前ですがまったくありません。
ど庶民の私も同じこと、他で何を節約してもこちらの鰻にはお金を惜しまない、それだけ人の心を掴むお店にはそれなりの理由がきちんとあるわけでそれがとても素晴らしいと思いました。