芦ノ湖をのぞむ日本初のオーベルジュ（その1）：夕食 : オーベルジュ・オー・ミラドー

箱根の芦ノ湖畔、元箱根にあるオーベルジュです。
自然が豊かな箱根でフランスの田舎にいるような滞在と、地産地消（※）の創作フレンチが楽しめます。

ビストロ・ラ・シテやレストラン オー・シザーブルで腕を振るわれた勝又登氏が日本のオーベルジュの先駆けとして、1986年開業。
宿泊込のプランの他、食事のみの利用も可です。

料理のテーマは「西と東の融合」。
※食材は地産地消。
野菜は三島の廣川農園、果物は熱海・山梨産、魚は相模湾と駿河湾産、芦ノ湖の紅ます、肉は伊豆や丹沢産等を使用しています。

今回は朝夕食込みの宿泊プランを利用。
夜のメニューは4種類（税抜き、サービス料10％別）。
・スタンダード（10,000円）デセールはグランデセールのみ。
・創作（13,000円）デセールは二皿。
・ガラセレクト（13,000円）ガラのメニュー中、肉または魚の選択。
・ガラ（15,000円）
量が多いとの情報もあり、初回ということでスタンダードを予約。

当日。
場所は芦ノ湖畔から少し内陸へ入り、県道75号線と735号線が交わる道沿い。
施設は本館（1986年～）、パヴィヨン・ミラドー（1997年～）、コロニアル・ミラドー（2004年～）の3棟からなり、道路に面した入口は本館とパヴィヨン・ミラドーの2箇所。
駐車場はパヴィヨン・ミラドー側にあり、「P」のマークが出ています。
本館入口から駐車場へは入れないので間違えないようにしましょう。
（私達は勝手知ったるはずの箱根でナビの不具合により、駐車場を見落として行き過ぎました。）

以下、（その1）では夕食、（その 2）で宿泊施設及び朝食について書きます。
□夕食
場所は本館メインダイニング。
パヴィヨン・ミラドーから緑の木々のなかに造られた細い小道を通って本館へ。
所要時間は約40秒。

ダイニングは2フロアに分れ、暖炉を設置した暖かみのある部屋とテラスに面したガラス張りの白い部屋。
どちらも落ち着いた雰囲気です。
テラスに面したテーブル席へ案内されました。
夜でもガラス越しに新緑が映えて美しい。
昼だったらより素敵そうです。

各テーブルの間隔は広めにとってあり、空間にゆとりはありました。
大きな声で話すお客さんはいなかったので、話し声は気にならず。
静かに食事が出来ました。

接客は丁寧で、やや気取った印象。
オーベルジュなので、少しだけユーモアが欲しいところです。

出て来た料理は以下の通り。
お飲み物は白のグラスワイン。
富士山ワイナリーの甲州ぶどうを使ったShizenシゼン（1,000円）。
グラスにたっぷり注いでくれ、良心的。
適度な酸味と爽やかな後味。
辛口で軽め。

メニューはお任せ。
内容は口頭で説明されました（聞き違いがあるかもしれません）。
料理が出るペースは比較的速め。
着席してからデザートが出されるまで1時間半、食事時間は約2時間弱でした。

□スタンダード（10,000円）
●アミューズ・ブーシュ
中央の長い串に円盤、両側にフィンガーフードを配置。
・魚卵のミニエクレア
・イカ墨パンのブルスケッタ（イカ墨パン、フロマージュ・ブラン、ドライトマト）
・フォアグラムース：串にささっていたのはフォアグラを円盤状に冷やし固めたもの。
・ドビーヌ：クミン・ブルーチーズ入りマッシュポテトの揚げ物
・カボチャのクロケット

●前菜①
蕎麦粉のクレープのミルフィーユ仕立て
クレープの間には粒マスタードとフロマージュ・ブラン。
上には様々な野菜のトッピング。
添えられたのは、いなだ・あまご・紅ますといくらの燻製と茴香など各種ハーブ。
黒いお皿に様々な食材が映えて、美しいです。
料理もいろいろな味。
魚の燻製が旨いです。

●ライ麦パン
焼きたて熱々。
●オリーブオイルとバルサミコ酢

●前菜②
金華豚の燻製と舞茸のスープ
予めオリーブオイル・金華豚・舞茸を入れた器に舞茸のスープが注がれました。
舞茸の香りがとても良いです。
お皿の縁に添えられた18年熟成のミモレットと舞茸のソテー、金華豚の燻製を適宜スープに混ぜながらいただくと、奥行きある味。
金華豚の燻製の旨みがじんわり。

●魚料理
いさきとすずきのポワレ
かりっと焼いた魚の上にドライトマトとしらすのトッピング。
美しい緑色のキャベツのソースと赤いバスクのとうがらし。
とうがらしの辛味がアクセント。
2種の魚の間に置かれた筒状の料理はマリネした茄子と人参を薄切りの大根で巻いたもの。
酸味のあるさっぱりした後味は、添え物ではなく存在感がありました。

●肉料理
伊豆産小鹿のロースト 赤ワインと黒胡椒ソース
添えられたのはビーツのフラン、ポロネギのソテーと山椒粉、コーンとコーンのひげ・玉葱、・空豆、小玉葱にオリーブオイル。
アートのようなお皿です。
小鹿の火入れはミディアムで、適度な弾力。
さっくりと噛み切れ、さっぱりした後味。
ぴりっと辛味のあるソースがよく合いました。
添えられた野菜はそれぞれおいしかったですが、お皿の中での統一感が感じられず。
見た目と味の印象が違ったのはビーツのフラン。
飾りつけは細やかで可愛いのですが・・・本体はレバーを連想してしまう色。
味はよくわかりませんでした。

スタンダードコースのデザートはグランデセール1種類のみ。
選ぶことはできません。
●グランデセール
・モンキーバナナのキャラメリゼにシナモンシュガー添え
・バナナ入りガトーショコラ、プラリネアイス、ひよこ豆のチュイール
料理に変化があった割にデザートは似た素材の組み合わせ。
味は良いですが、食後のデザートとしては甘くて重め。
バナナではなく、水分の多いフルーツと組み合わせて欲しかったです。

●カフェ
コーヒー・紅茶・ハーブティーからハーブティーを選択。
カモミールティーでした。
ポットでサービスされ、2杯分。
連れが注文したコーヒーは苦めの味。
甘味があるデセールだったのでハーブティーよりもコーヒーの方がよかったようです。
コーヒーに砂糖はつけられましたが、ミルクはなし。
スタッフに所望・・・出てきませんでした。

●プチフール
蔓を巻き箱根の森をイメージしたものに4種のお菓子が盛られて登場。
・棒状のメレンゲ
・オレンジのチュイール
・胡麻入り生地で包んだフロマージュ・ブランのコルネ
・苺のゼリー

量は肉料理を終えた時点では適量と感じましたが、デザート一皿で一気に満腹。
部屋へ戻りしばらくは満腹のまま動けず。
家へ帰らないでもよいオーベルジュでよかったです。

いくつかコースがある中で一番手頃なスタンダードを選びました。
価格に対して内容は良かったと思います。
難をいえばデザートが重かったこと。
1種でもよいので、選べるとよかったです。
価格が違うので当然ですが、ガラ又はガラセレクトの方が高級食材を使い、より凝った内容。
次の機会があれば、こちらも体験したいですね。

（その2）朝食、他へ続きます。

箱根の芦ノ湖畔、元箱根にあるオーベルジュです。
自然が豊かな箱根でフランスの田舎にいるような滞在と、地産地消の創作フレンチが楽しめます。
ビストロ・ラ・シテやレストラン オー・シザーブルで腕を振るわれた勝又登氏が日本のオーベルジュの先駆けとして、1986年開業。

（その1）夕食に続き、（その2）では宿泊施設及びウエルカムティーと朝食について書きます。
宿泊は一泊7,500円～（税抜き、サービス料10％別）。
食事利用を前提にしているので素泊まりは出来ません。

チェックインは15:00より。
駐車場からパヴィヨン・ミラドーのバーコーナーへ案内され、受付。

□ウエルカムティー
・カモミールのアイスティー

宿泊はパヴィヨン・ミラドー。
部屋はこじんまりしていますが、フランスを連想させる建物や家具が素敵です。
目の前のベランダからは芦ノ湖が望め、立地は最高。
訪問日はあいにくの天気でしたが、雨水に濡れた初夏の緑と霧がかかった芦ノ湖は幻想的でした。
タオルやバスローブなどは毛足が長くふかふか。
快適です。
一方、フランス風だと感じたのは高さのある洗面台。
設備にないのはTV、Free-wifi、ウォシュレット、ティーポット、セーフティボックス。
TVがないのは、非現実を味わう配慮からだそうです。

□ウエルカムフルーツ、他
部屋に用意されていた品。
・フレッシュフルーツと自家製アーモンドチョコレート、飴。
（苺・キーウイ・みかん2種）
・ミネラルウォーター1本/人

温泉とプールも完備ですが、一部は水着着用。
水着不要の温泉はコロニアル・ミラドーにあるので、心配ありません。
広くて快適です。


□朝食
宿泊は朝食込み。
朝食会場はコロニアル・ミラドーのダイニングもしくは部屋のどちらか。
チェックイン時にホテル側から伝えられます。

私達の朝食は部屋へサービスされました。
予約時間の少し前に部屋へ確認の電話、その後スタッフが来てテーブルに白いクロスをかけ、準備していきます。
部屋での朝食はリゾートホテルそのもの。
くつろいだ状態で食事が出来ました。

●甲殻類のフラン
●温泉卵、ランプフィッシュキャビア、岩塩
●野菜スープ（ミネストローネ）
●自家製ヨーグルトとシリアル
●グリーンリーフのサラダ
●フレッシュフルーツポンチ（オレンジ、キーウイ、さくらんぼ）
●自家製野菜ジュース
●パン（バゲット、クロワッサン、ブリオッシュ、丸パン、デニッシュ、マフィン）
●コンフィチュール（オレンジマーマレード、キーウイ、苺、りんご）
●無塩バター
●カフェオレ（コーヒー、ミルク）
●水

野菜はグリーンリーフの他は噛まなくてもよいジュースやスープ。
寝ぼけていても、胃にすっと入っていきました。

卵料理は温泉卵と甲殻類のフラン。
甲殻類のフランはビスクの茶わん蒸し風。
これはおいしい！

朝食の定番である肉の加工品（ハム・ウインナー）は付いていませんが、もともと私の朝には不要な品。
フランがある方が嬉しいです。

6種類のパンは焼きたて熱々。
気に入ったのは丸パンとバゲット。
デニッシュは甘さ控えめ。
マフィンはフルーツケーキの生地でした。

カフェオレは大きなカップに1杯分。
コーヒーに対してミルクの量が多め。
ミルクは余りました。
ポットウォーマーで温めてあったものの、やや冷めぎみだったのが残念。

価格（2,500円（税抜き、サービス料10％別））に対しては相応な内容。
野菜多め・脂少なめでヘルシー感はありました。
パンをどれくらい取ったかで、ボリュームは調節可です。
全ていただくと、かなり満腹。
昼過ぎまでお腹は空きませんでした。

温泉について。
部屋はバス・トイレ付。
外のプールと露天風呂は水着着用。
コロニアル・ミラドーには男女別の大浴場もあるので、箱根らしく温泉も楽しめます。

料理は日帰りでも楽しめますが、自然に囲まれた環境で食事を楽しむだけの贅沢を味わうのがオーベルジュの醍醐味。
時間と予算が許せば宿泊するのがお勧めです。