無性にお好み焼きを食べたい夜もある、の巻 : 広島スタイル お好み焼 くじら

木曜日の夜です。

先日広島に帰省した折、偶然、八昌本店さんでニクタマイカテンソバをいただく機会に恵まれました。

みっちゃん、と並ぶ双璧ですからね、勇んでいただいたものの、ウムムッ、いつもと何かが違う。

きっとソースに違いない、ということで、オタフクソースでは無くカープソース使いの此方のお店にお伺いします。

確かめてみないと気の済まないこの性格。
良いのか悪いのか分かりませんが、だって食べたいんだもんね。

なんだか今夜はウドンな気分。

ニクタマイカテンウドンをお願いし、しばし鉄板前でお預け状態。

両手をグー状態にしてカウンターに置き、ファフ、ファフ、ファフなんて、でっかいワンコみたいに舌を出して荒い息遣いの小デブ。

たまんねえ。
ソースの焦げた香り。
早く食いてぇ～よぉっ～！

うぅつ。ポテッとしたチョコレートケーキが眼の前に届きます。

ヘラで十字に切れ目を入れ、その溝に追いソース。
ちょっとだけ蒸らして、ヘラにのっけて、アムッ、アムッ、アムッ！

うん。
やっぱりオタフクソースよりカープソース。

キレが違う。
間違いなし。

そしてご馳走様でした。

木曜日の夜です。

今夜は自炊曜日。それに今朝炊飯器にセットした栗ご飯も完成しているはず。

でもなぜか、タイギィ！
はよぉなんか食うて寝よ。

注記：
タイギィ、とは、ダルいとかめんどくさい、という広島弁です。以下、広島弁でお伝えします。

ほいじゃけ〜のぉ、わしゃ、近くのくじらさんに寄り道したんよぉ〜

RWCの陰にすっかり隠れてしもうたプロ野球じゃが、CSには出てもらわんとのぉ、ワシらがカープはまだまだ頑張るんじゃけん。

それにのぉ、ワシのアイドルじゃった畠山愛理様との結婚も控えておるやもしれんのに、誠也、シャキッとせんかい！

食うたのは、ニクタマイカテンソバよのぉ
基本じゃけんのぉ〜

ほんま、美味うがんした。
磯野製麺さんもカープソースさんも、ええ仕事しちょりますのぉ。

最後は標準語で。

そしてご馳走さまでした。

月曜日の夜です。

う〜ん！
あかん。中毒症状が出てしもうた！
指の震えが止まらん。

カープソースが恋しい。

コロッケや海老フライには合わないと思うけど、お好み焼きなら間違いなし。

焦げ茶色の熔岩が温まるに連れ、ラッコの背後に忍び寄るあの甘辛い香気。
ああっ、もしかして人生最後のメシはお好み焼きかも。

せっかく函館の義理の妹が白アスパラを贈ってくれたのに、昨日は昨日で自炊用の食材をしこたま買い込んでいたのに、ああっ、ダメや。我慢できへん。

ということで、いつものくじらさんへ直行。

東海大学の学生が十人ほど食事中です。

でも、なんやそれ？
誰もヘラから直接食べちょらんデェ〜！

箸を使うんやない。ヘラから直ぐい食いがお好み焼きの基本なんじゃけぇ、のう？

今夜はうどん。

だってソバよりうどんの方がソースの絡む面積が広いんだもん。

デミグラスソースだよ、カープソースは！

そしてご馳走さまでした。

木曜日の夜なんよのぉ。

明日は、首をなご〜して待っちょった開幕戦なんじゃけぇ、今夜はもうユックリ眠れんかもしれん。

しかもワシらがアジトのマツダスタジアム。

長野はベンチスタートらしいんじゃが、丸はスタメンなんじゃろうノォ。どがあな顔して出てくるんか楽しみなんじゃけど、まぁ、ワシらは気は短うても心は広いんじゃけえ、三振してくれりゃあ、それでチャラなんよ。

ほんじゃけど、その前に食うもん食うとかんと、縁起が悪うてしょうがなあぁよのぉ。

基本はニクタマイカテンソバよ。

クジラさんはワシが関東で贔屓にしちょる店なんじゃ。麺もイカ天も広島直送じゃし、なんじゃ言うても、焼きがてえねえなんよぉ〜

ああっ、うまかった。

ほんじゃまぁ、明日ははよぉ〜帰ってテレビ、見んとのぉ！

ごっそさんでした。

木曜日の夜じゃ。

自炊曜日のはずがなんだか面倒くそうなって、急にこっちに立ち寄ることにしたんじゃ。

土曜日にゃ、ソフトバンクとの初戦があるんじゃけど、サウジ事件で株価の落ちたソフバンなんぞ、軽〜く、一蹴しちゃるけんノォ、首ぃ〜あろうて大人しゅうまっちょれ、なんての、意気軒昂な小デブ。

まずは景気つけに肉玉イカ天うどんで気の早い祝杯や！

基本はそばじゃけど、うどんのプニョプニョした舌触りも外せんノォ。そりゃあそうじゃ、なんちゅうてもワシらがカープソース。そばでもうどんでも、そがいなん、関係にゃ〜し。

お〜っ、ほんまにブチうまかった。

ご馳走さん。

追記：
記憶の片隅にある子供の頃の広島弁で書いてみました。カタカナにするとちょっとだけ違和感が残りますが、ご容赦を。ポイントはイントネーションなので。
意味不明な個所はコメントで遠慮なくお聞きください（＾◇＾）

木曜日の夜や。

昨日の夜はノォ、待ちに待ったワシらがカープがリーグ優勝したんじゃけぇ！

よっしゃあ！
ウチで西條鶴の四合瓶を空けてしもうたやないかぁ！

今日の仕事はノォ、ドガァ〜なってもええんよ！G党がよ〜けおる巣窟（会社です）なんか、はよ〜サイナラして、ワシが上京して三十八年、一番地元のオバはんの焼くお好み焼きの味に近いと太鼓判を押す此方に来てしもうたぁ〜や！

広島でもノォ、いわゆる旅行客が押し寄せる有名店じゃのうて、百メートル毎にオタフクの暖簾がかかっとってノォ、オバはんが小遣い稼ぎにやっちょるような、小そうて狭〜いお好み焼き屋の味に近いんじゃけえ！

そりゃあの、なんちゅうても、ソバが違うんよ。性根のセコい店がよ〜つこうとる、蒸し麺じゃないんじゃケェ。

生麺、なんよぉ〜！
広島は東区のノォ、磯野製麺直送なんじゃケェ、うもう無いわけないんじゃあ、ホンマ！

男はノォ、黙ってソバダブル。
おまけに肉もイカ天もダブルなんじゃケェ。

きんさったデェ〜！
まる〜ぅて、黒ぉ〜て、青海苔がノォ、アクセントなんよぉ〜。

それをの、真ん中から十字に割って、カープソースをその隙間に足らんすんよぉ〜。

ソースがあったまって、ええっ匂いや！
ああっ、ホンマに美味かったわぁ！

ニッポンイチになったらノォ、ソバトリプルに挑戦しちゃるデェ。ガキの頃はよ〜食うとったケェ、多分大丈夫じゃあと思うんよぉ〜

ゴッソさんでした。

追記：
怪しい広島弁です。若い人はこんな言葉使わないですカラァ。

祝日のお昼です。

お好み焼きでは神奈川県下一と、勝手に小デブが位置付けるこちらにやってきました。

東海大学の足元なので、スポーツエリート達がウヨウヨ歩いています。

十数年前になるでしょうか、改札を出ると学ラン姿の猛者達に『オッス！ お待ちしておりました！』と囲まれてしまいました。

『xxxさんでしょうか？』と坊主頭に訊かれます。
『ちゃうよ〜・・・』と怯む小デブ。微笑む家内。
『失礼しましたっ！』と解ける円陣。

はあ〜っ、絡まれるのかと思った。

柔道か相撲か空手なのか、OBの稽古総見でもあったのでしょうか？
確かに米俵体系の小デブだけど、人違いしないでぇ、あ〜っ怖かった、と笑った記憶が蘇ります。

思い出し笑いでニヤニヤ歩いていると、程なくお店の前に到着。

外で男子一人女子二人の三人組がベンチに座っています。

『えっ、まさかの待ち？』と訊くと、
『はいっ、そうですけど、お一人だと座れるかもしれません』と男子
『じゃあ悪いけど中に入ってみるね』と小デブ

優しいし礼儀正しいなぁ、と感嘆する小デブ。でも頭の中のブラック小デブが『シルバー枠なんだよ！』と悪態をつきます。

腰をかがめつつすり足で中に入ると顔見知りの女将が『すいませ〜ん。外でお待ちいただけますか』と思いっきり両の眉を下げます。

店の中ではシルバー優先無しか・・・、残念。

『ダメだったぁ』と呟きベンチの女子の隣に座ります。

体型的に柔道かな？

『ああっ死んじゃう！』と女子の声。思わず右手を見やるとスマホでゲームの真っ最中。

爺やの隣でそんな悩ましい声を漏らさないでくれ〜！動揺するやないか・・・

数分で中に案内。

スポーツエリート達が鉄板を囲んでいます。こいつらはサッカー、彼女は陸上なんて、何故だか年の功なのか、雰囲気でわかりますよね。

みんな美味しそうに食べているけど、食べ方は邪道。

箸をつこうちゃあ〜、いけんのんじゃけえ！
マヨネーズ？ 大阪に行っちゃれ〜！
お皿の上に乗っけるぅ？ ヘラから直接食うんよぉ〜！

あー、楽しかった。
そしてご馳走さまでした。

土曜日のお昼です。

カープの活躍を眼にするにつけ、無性にお好み焼きが食べたくなりました。
小デブのソウルフードです。

小学生の低学年の頃、家に帰ると卓袱台に120円が置いてありました。

パートの母親は夕方まで戻りません。
早生まれで小柄な小デブのおやつです。

その硬貨を握りしめ、「ニクタマイカテンソバ、ニクタマイアカテンソバ（肉、玉、いか天、そば）．．．」と呪文のように呟きながら、近所のお好み焼き屋に向かいます。

鉄板前の座面が真っ赤なビニール製丸椅子につま先立ちで座り、ヘラを使って食べ始めるのですが、熱くて熱くて食べるのも遅くて、メリケン粉の下敷きの皮がとうとうパリパリになってヘラでは切れなくなったり．．．、いくつもの懐かしい情景が思い起こされます。

こちらのお店は広島から麺を直接引き、一分弱湯がいた後、鉄板の上でラードで焼き上げます。
東京に来てから三十七年、あまたのお好み焼き屋を試しましたが、ここ最近、東京／神奈川では最も故郷に近い味、と密かに感じる、くじらさん。

ご馳走様でした。

月曜日の夜です。

私の体はお好み焼き（ここでいうのはいわゆる広島風のことです）で出来ています。幼稚園のころから食べ始めて幾星霜、20年以上前のアムステルダム時代も、肉屋でファルケンスラッペン! スライスプリーズ！と無理やり三枚肉を薄切りにさせ、八百屋ではスピッツクール（キャベツ）、タウヘ（もやし）を入手し、自宅で天かすを用意しては、フライパンを二枚駆使しながら器用に作ったものです。そばは中華食料品店で手に入るし、おたふくソースも明治屋で買うことができました。入手できなかったのは、魚粉とイカ天。こればっかりは帰国した際に大人買いするしかありませんでしたが。

そんなことはどうでも良いのですが、上京して36年、本土（広島）の味に最も近いと太鼓判を押せるのがこちらのお店です。蒸し麺を使う半端な店が多いなか、こちらはわざわざ本土から磯野製麺のそばを引いてます。これだけで違います。ソースも甘めのおたふくではなく、ミツワかカープ。ちょい辛目で好みです。

もちろん鉄板前で食べるのが常識です。お皿と割りばしも用意してくれるので、猫舌やヘラを使い慣れない方も安心です。初めてこちらで食した際、ヘラだけで美味そうに食べる私を見て、親父の目が『こいつネイティブじゃろう！』と光りました。それ以来、私の前には水しか置かれません。

幼稚園のころ、本土のテーブル席で食べた初めての『にくたまいかてんそば』（肉卵イカ天そば）に感動し、小三でようやく座らせてもらえた鉄板前でヘラの使いこなしを身に着け、前歯に青のりをつけては笑われていたコデブのころを思い出します。

我儘を言わせてもらえば、夏にところてん、冬におでんが欲しい！

ご馳走様でした。

PS:
店内にはカープを示すものは何も飾られていませんので、ジャイアンツやベイスターズファンの方も安心してお越しください。