『食は医なり！』のどこにも無い唯一無二の"ジュー" : ジュー文華

「決まったら言ってください～」
おばちゃんのお決まりの台詞である。

当方というかハマっ子が愛して止まなかった大倉山の名物的存在であった"ジュー"
いや、横浜の至宝とも言うべきジュー。
そのジューとは何ぞやとなる。
(大倉山時代は『文華楼』)

簡単に言えば、チンチンに熱せられた鉄板に炒めた具材を真ん中に盛り付け、すかさず端の縁の部分に溶き卵を流し込み、ジュージューと美味しい音、モウモウとけたたましい噴煙を発して供される食べ物だ。

これを小学生の頃に近所の友人に教わり、家族で食べに行ってハマり、事ある毎に車で、単独ならチャリを延々と走らし、社会人になってからは途中下車してまでも食べたくなる代物だった。
店はおじちゃん１人が調理担当、給仕をおばちゃん、たまーに娘さんが担当していた。

そんなお店が突然大倉山から姿を消した。
初めのうちは全く信じられず、受け入れられなかった。
言い方が悪いがここはしばらく営業するとすぐお休み(サボり？)してしまうことでも結構知られており、下手したら半年以上店を開けない時もあった。
なので営業再開した時、普通の店ならばソッポを向かれて客など来ないのだが、ここのジューの虜になった住民は小さい事には拘らず、また狭い店内は相席で客で犇(ひしめ)きあっていたものだ。
とうとう閉店したのかと皆ではなしていたら、いつの間にか再開していたなんてことは日常茶飯事だったからだ。
それでも電話で確認して開店していれば再訪してしまう懲りない自分がいた。
なので、いつものサボり癖か(笑)と思っていたら、いつまでも電話が繋がらない。
繋がらないしどうも様子が違うようなので店に行ってみると、見事に更地になっていた次第。
おじちゃんもおばちゃんももうお年だったので引退されたのかなぁとずっと思っていた。

しかし、ヒョンな事からこの店を偶然発見した！
それは大山登山の後に浸かる七沢温泉入浴後の本厚木駅に向かう途中に、何処かで見覚えのある『ジュー』という表記の看板がバスの車窓から眼に入ったのだ。
何という偶然！何という邂逅！
これぞ大山の神の思し召し！
いや、食いしん坊の神の思し召しか？！

ところが、やはり休み癖(？)は大倉山時代とかわらず、大山登山時に幾度か連絡しても電話が繋がらず。
温泉後に店の前を通るも『本日休業』との貼り紙。
とある日に電話してみると懐かしいおばちゃんの声がし、「再開しました」とのことで翌日予定していなかったが軽く大山でコンデションを整え、七沢温泉に浸かって疲れを取り、喉も渇いたところで寄ってみた。

開店と同時とは行かなかったが５時30分入店で２組。
しかし６時を過ぎると満席となり、外待ちが出来た。
こちらに移ってからも厚木の地元の人達にも愛されている様で何よりだ。

何とも懐かしいノスタルジックな雰囲気。
大倉山の昭和40年代のレトロ中華屋とはまた違うが、ここも味があるなぁ。

おばちゃんとも少しお話しさせていただいた。
大倉山のお店はご近所以外の人にはオープンにせず閉店したのだと。
店が道路の拡張工事区画に掛かっていた為という。
こちらには14年程前に移転オープンしたそうだ。
また、こちらに来てからも体調的な面から長くお休みしてしまう事もあってご迷惑掛けてますと。
うんうん。
こうやって元気にお店をやっているだけで嬉しいので無理せず長く続けて欲しい。

今日何を食べるかは一点の迷い無しで以下の通り。

メニューには無いが、大倉山でいつも食べてた挽肉ニラのカレージュー(超力バージョンジュー)。
餃子に瓶ビール(大)

先ずは瓶ビールで喉を潤し、次いで餃子。
300円とは思えない餡の詰まった餃子だ。
酢醤油辣油で食べても良し、特製豆板醤で食べても良し。

メインのジュー登場！
そうそうこれこれ！
ジュージューと音をたて、白い噴煙の様な湯気を発し、卵が沸々している。

ザク切りにされた生の韮がドッサリと乗っているのが嬉しい(いつもより韮多い？気を遣ってくれたのかな)。
ボリュームも相変わらず凄い。


ここの中華料理はかなりの引き算料理だ。
塩、醤油、MSG等の分かり易い調味は控え目で、野菜をたっぷり投入して旨味を引き出している(清湯の味わいは普通)。
街場中華ではかなり珍しい部類ではなかろうか。

ジュー独特の調味の餡が堪らないのだが、塩分はギリギリで薄味。
アッサリとした調味なのだが、MSGは殆ど感じらない(未使用か？)のに物足りなさを感じない。
実に絶妙な味付けが施されており、トロみ加減も申し分無い。
そこにカレーという日本人が好きな味が魅惑的に合わさって筆舌に尽くし難いピリッとしつつも円やかな美味さなのだ。
韮の他に野菜はキャベツ、白菜、もやし、人参等々。
流石は食は医なり！を標榜しているだけはある。

生の韮は餡に絡めて適度に熱を入れても良し、熱々の餡の上に乗せておいて余熱で食べても良しだ。
どちらにせよ韮の風味が強烈で凄く美味い！
数多の韮料理の中でもかなりの上位に入るね。
鉄板で味が煮詰まって旨味も凝縮されて味わいの幅が広がっていく事も奏功している。

ビールで合わせていたのだが、堪らずライスを注文。
大倉山時代にはジューにはライスとスープ、たくあん２切がセットされていたのだが、今は単品となっている。
値段は大倉山時代と変わった様子も無く安いのだが、経営的に難しくなったか。
それでも十分に安めの値付けだ。

ジューをオンザライスにして食べると無敵！
そしてライス付きなのに不思議とビールとも合うのだ。
ジューはライスと合わさる事によって更に旨味を増していく。
ビールを飲んでいなければライスのお代わり必至だ！

もう二度と食べられないと思っていた小さい頃からの馴染みの味に逢えただけでも今日は大ラッキーだ！

いつまでも身体を労り、無理せず長くお店を続けて欲しい。
山に登っても登らなくても電話してまた必ず来るからねー。
何とも満ち足りた気分で帰路に着いた。


超力ジュー(挽肉+ニラ+カレー) 820
餃子 300
瓶ビール 550
ライス 130

もう食べれないよぉ～


そして翌週ジュー食べたさにまた大山登って七沢温泉浸かって文華に来て激ウマジューを食べたのさ～♪
(๑´ڡ`๑)ﾃﾍﾍﾟﾛｯ♪