家系のイメージを打破・超越する圧倒的なラーメンに度肝を抜かれた。接客も素晴らしい。 : ラーメン 厚木家

愛車の6か月点検が終わったと連絡があり、引き取りに行く頃にはすでにランチタイム終了。ここのところずっと降り続いてる雨の中、通し営業されている厚木家へ車で向かいました。場所的には国道129号線を厚木方面に走らせ、金田の交差点から国道246号線に入り、ちょつと行ったところ。ラーメン店としては珍しい(?)1階が駐車場・2階が店舗という構造ですが、敷地はそれほど広くなく、速度の出やすい国道沿いということもあり駐車場に入るのがまず大変かも(まごついていると後続車にクラクションをお見舞いされそう…)。

詳しいことはよく知らないのですが、家系の中でもすごく偉いお店らしい…(頭悪くてスイマセン)。2階へ続く階段の踊り場には「家系ラーメン総本山　吉村家認定　王道の味継承店　厚木家」と書かれたパネルが…。有無を言わさぬ格式感に若干気圧されつつドアを開けると、自動食券機があり、メニューを物色し始めると、奥の方から挨拶とともに「〇〇チャーシューがオススメでぇす!!」と元気の良いセールスコール(笑) でも初訪なので基本の「ラーメン」(640円)と、家系には欠かせぬ「のり」(100円?)「ライス」(150円?)をぽちっと。出てきた食券は昔懐かしプラスチックのやつで、食堂のおばちゃんを渡すタイプね。

赤カウンター席のみ20席ほど、BGMはなく、照明をやや落としていて、落ち着いた雰囲気。家系ラーメン店特有の豚骨臭もそれほどしませんね。厨房は広く、がたいのいい男性数人が調理に従事しています。そして接客・配膳担当は2人いるんですが、そのうちの１人(眼鏡をかけた小柄な方)の接客態度が素晴らしかった。僕が初めての訪問だと察したのか、しっかりと僕の目を見て、はきはきとした口調でメニューのこと、ライスを頼むと選べるトッピング、卓上調味料のことなど、丁寧に説明してくださいました。この人の話し方が、たいへん明瞭で、声も良く通り、客が自動食券機を見ていると真っ先に気づき声を掛けていたのが彼でした。そしてもっとも衝撃的だったのは、注文したラーメンを配膳しに来た際、箸とレンゲも僕に手渡してくれたこと!! 1000円も払ってないような客なのにこれほどまでもてなされてしまって良いものなのか…と感激しすぎて申し訳なくなるほどでした(全てのお客さんにそうしてるわけではないみたいでしたけどね)。

注文から2分ほどでライスと、お伴のキムチ。注文から5分ほどでラーメンも配膳されました。追加注文した海苔は6、7枚くらい、こんもりほうれんそうと、チャーシュー。スープには輪切りにされたネギが浮かび、油膜も張っていて食欲をそそってやまない。まずはスープを一口。な、なんじゃこりゃあああ!! 鶏油か? 鶏油なのか!? 思ってもいなかった強烈なスモークフレイバーが味覚に電撃を走らせる。そして重戦車がごとき豚骨が身体を不可逆的に制圧し、だがとろけるように甘美、などと浸っている隙なく怒涛のキレ味で世界のすべてを掌中におさめんとする醤油の超絶浸透力。スープを構成するすべての要素がドラスティックでダイナマイツ。家系に君臨するというよりは、家系のイメージを打破あるいは超越するかのよう。要するに、圧倒的じゃないか、総本山認定の味は(これが言いたかったw)。

それにこの麺。奥津家で食べたときも感じたけれど、胃袋と僕をトキメかせる鮮やかでもっちりとした食感、ほんとたまらん、たまらなすぎてせつないくらいたまらん。ほんとはこの麺だけで十分幸せなのにライスを頼んじまう不埒な僕を許しておくれ。スープを浸した海苔でライスを巻いて食う幸せは別腹なんだ。さらにこのほうれんそうの感動的シャキシャキ感はどうよ。茹でほうれんそうはかくあるべしといった感ある、全国の小中学校に配布したいくらい清く正しく美味しい。ましてやこのチャーシュー(2枚)。全日本しっとりチャーシュー選手権で優勝候補の一角に数えられるであろう安定のしっとりっぷり。鶏油由来のスモークフレイバーでアダルトな色香漂う、そこいらのヤワい娘と一緒にしないでとばかり歯ごたえはあるが、それは身持ちが固い証拠。肉質も良く、絶世の美チャーシュー。

ラーメンすごい、接客最高(手すき時間になると清掃始めてるし)、ライスについてきたキムチまでウマい。いくらなんでも完璧すぎやしないか? まるで精神修養の場みたいじゃないか。このままだと取り返しがつかないくらい惚れてしまいそう…タスケテ。というかラーメンを配膳しに来て箸とレンゲも僕に渡して、去ろうとした彼に僕が、「写真撮ってもいいですか?」って尋ねたときの、「いいですよ」と応えながらの微笑に、僕はハッとして思った、「本当に撮りたいのはそのダンディーだ!!」とね(笑)