俺たちのカッパが戻ってきたぞ　@百合ヶ丘 : カッパ大王

その違いは入店した瞬間に感じられた。
店内が活き活きしているなと。
それはカウンターの中の店主の所作と発する「気」によるものなのか。

玉ねぎを刻む　ザクッザクッ
ニンニクを中華包丁で潰す　バーン
火の音　ゴーッ
中華鍋を叩く　カーン
肉や野菜を鍋を振って炒める　ザッザッザッ
その鍋にスープを投入した時の　ジャーッ
調味をする時は　シーン
最後に追い火を　ゴーーッ
途中途中で自らを鼓舞するような気合いが入る。

◆スタミナラーメン　810円
お店の元気がラーメンに乗り移って、スタミナ効果も倍増しそうだ。
そして、美味い。
コラーゲンたっぷり、コクのあるスープ。
そこに歯応えと甘みのある玉ねぎ、爽やかなニラの香り。ニンニクは芋のようにホクホク。
これだ。

40年近く前に通っていた時のメニューがいくつも残る。今にアレンジされたそれらを楽しみにまた訪れよう。感謝。

代替わりで元気のなかったこのお店の様子がずっと気になっていた。
当日は、本当にたまたま、足が向いたので訪問した。
そうか7年ぶりか。
店内の長いカウンターには男性の先客が一人、ポツンと座っている。その先の小さなテレビではニュース番組で、いつもと変わらず新型コロナの話題。寂しいね。

そこに、バーン と音が響く。
店主がニンニクを叩き潰す音だ。それで空気が変わった。
玉ねぎなどの野菜を中華包丁でザクザク切って、鍋に投入。ガツガツと鍋を振って、カーン とお玉で鍋を叩く。
なになに、
そこに ザバーっ とスープを流し込み、色々な調味料をリズムよく投入。
最後に麺と混ぜてカウンター上にドン。

◆スタミナ麺
スープをすすり、野菜を口にした瞬間に　！　。
確認するように食べ進め、麺を噛み締め思わず唸る。
俺たちのスタミナ麺が帰ってきたな。　一人だけど、そう呟いてしまった。
涙腺が緩むのを汗を拭くふりをしてごまかしながら完食だ。

帰り際、ありがとうございました　と。
相変わらず声は小さいが、店主のその目には先代に見た大王の炎が映っていた。

小学生の頃から通っていたお店です。
その頃の店内はやや汚くてあらゆる物がヌルヌルしてて、決して入りやすい雰囲気ではなかったが、「いらっしゃいー！お待ちしてましたー！」と元気良く迎えてくれる店長の作るその味はポリシーがピーンと通っており誰もを納得させる物だった。
一番人気は「スタミナ麺」にんにくたっぷり、その場で中華鍋を振りながら作ってくれる。

それが、数年前に代替わり。
お店は小奇麗になり入りやすくはなたのだが、あの頃の迫力は消えてしまったのか・・・
カウンター越しに見る店主の元気の無さに少々不安を感じる。

約３０年来のこの店のファンとして、喝を入れたい。

「復活を待ってるぞ！　あのスタミナ麺をまた喰わしてくれ！」


---2012年1月---

再度訪れました。
期待を込めて伝説の「スタミナラーメン」を頼む。

相変わらず元気の無い店主。

そして、見事に期待を裏切られる事に
…。

そもそも、このラーメンは注文を受けてから中華鍋で数種類の野菜を炒め、そのままスープと薬味を加えで完成させる。そしてその時にちょうど良く茹で上がった麺と合わせるのだ。
先代の技は鮮やかでガツガツ鍋を振ってジャーっとスープ。「はいー、スタミナー！」と出してくれる。こってりスープの中のあのシャキシャキした野菜の食感がたまらなかった。

しかし、今回は…。
野菜はシナシナで麺の腰も全く無い。スープもドスが聞いていない。
フニャフニャラーメンになってしまった。
どうしちゃったんだよ？

二代目の店主、確かに大王親父と比べられて辛いのかもしれない。
だからこそ先代と違うメニューにもチャレンジしているのだろう。
でも、同じ暖簾で店を続けるのなら「スタミナラーメン」で客を納得させなければ。
時代に合わせて少しずつ味が変わってもいい。

とにかく本気で作って納得させてくれ！

次回を楽しみにしています。
その時にダメなら、30年間の期待を捨てて絶縁させて頂きます。


---2012年12月---

ふと思い出し、一人で行きました。

先客は一人。食べ終わり、マンガを読んでいる。

もちろん、スタミナ麺を注文。
自分一人の分を作ってくれる、トントントントンと野菜を切って、ジャーッと鍋で炒めて、スープ入れる。
お、今日は手際の良い職人のよう。期待できるな。

そこへ次の客が。ウルトラスタミナを頼む。
すると、先ほど炒め終わった鍋に生野菜を投入。
そしてまたスープ入れ。 あれ？

また次の客。
スタミナを注文。
すると、また野菜、スープ追加。
あれあれ？

結局全員の分のスタミナ系ラーメンが一度に出来上がる。

随分と待たされた上に、野菜はシナシナ。一方、麺はちぢれでかなり硬い。

客に美味しいタイミングで食べさせるよりも、合理的にさばくことを優先しているのだろうか？
ガッカリしながらスープを飲む。
不思議な経験をした。
最初はカップラーメンに似た味わいが、だんだんクリーミーに感じてくる。何度か水を飲んでリセットしたが、クリーミーな感覚は変わらない。それが美味く思えてきた。
考え考え、すすってているうちに、全て飲み尽くしていた。
少し冷めた時にコラーゲンが固まり始めて出る作用なのか？

また、行かなくちゃな（笑）


---2013年12月---

一年ぶりに訪れた。先代の頃から一番好きだった店だけに、この体たらくが常に気になっていたのだ。

注文しても、相変わらず店主の動きは緩慢だ。一杯だけでは作ってくれないのか、次の客を待つ様子。
次の客もスタミナを注文。やっと出番だと、店主が鍋を振り始めた。
そして、やっと出てきたぞ。ほとんど諦めかけていたが、出てきたそれを見て、「おやっ？」
いつもより、具が盛り上がってる。ちゃんと肉も入ってるぞ。ニラの食感も残ってる。
更に、麺がややちぢれている。腰が残ってる。
スープも、炒めた具材の味もしっかり。人工調味料の味もしない。

「美味〜い！」つい、心の中で叫んだ。

先代のアレまでは行かないが、だいぶ近づいたな。
嬉しくて胸が熱くなる。
よし、近いうちに定着具合を試しに来よう。