打ちたて茹でたて揚げたてのオペレーションは、本場を凌駕しています。 : 宗

今年＝2021年は、例年に比べて桜の開花が早かったのですが、さもありなんで、今年の東京の3月の平均気温は、12.6℃で平年比＋3.9℃。
1946年に統計を開始して以来、最も高い記録を更新しました。
体感的にも特に下旬は暖かい日が続いた印象がありましたが、やはり春が早いと天気が周期的に変わる傾向も早めに訪れ、ここのところ、土日(特に日曜日)の度に雨が降るパターンがすっかり定着しています。

この日の天気予報は、前日の朝の時点では夕方から雨の予報だったのが、前日夕方の予報では昼過ぎから雨と降り出しが早まる方向に改まりました。
こういう時は、当日になると更に降り出しが早まるというのが経験からはよくあることで、この日の朝の予報では、やはり昼前後から降り出すとの前倒し予報になり、実際には11時を回った頃からポツリポツリと降り出しました。

こういう天気の時は、人出も落ちる傾向にあり、さらには新型コロナウイルス感染もリバウンドの様相を呈していることも加わって普段行列の出来るお店を攻略するチャンスと捉えることもできます。
それで、この日は、食べログ百名店シリーズの攻略を目標に活動することとし、まずランチは向ヶ丘遊園駅近くの食べログうどんEAST百名店の当店にチャレンジすることにしました。

うどん百名店は、TOKYO、EAST、WESTの3エリアで発表されています。
私は大のうどん好きで、2013年4月〜2014年3月の岡山在勤中は、休日の度に四国に渡って讃岐うどんを食べ歩きましたし、東京勤務の時は、好物の武蔵野うどんを求めて埼玉県方面へ遠征したりもしてきました。
それでも、百名店は私の嫌う行列店も多いことからつい敬遠したくなる気持ちもあって、これまでの百名店攻略店数は、TOKYO28店、EAST12店、WEST10店（合計50店）に留まっています。

この日の当店訪問で、EASTは13店目の訪問ということになります。

当店はうどんのジャンルとしては讃岐うどんのお店です。
讃岐うどんについては、これまで数度のブームが訪れましたが、ブームが過ぎても、それなりの基礎票は見込める強固な基盤を有するジャンルと言ってもいいと思います。

当店の店主は、讃岐うどんの本場香川で修行を積んだ後で当店をオープンしたようですね。
「昔ながらの本物のうどん」というのがコンセプトで、小麦粉は香川直送で、粉を挽いてから1週間以内のものを使用。また、ダシは化学調味料等は一切使用せず、煮干、昆布を主体にし、その他四種類の節を使用して時間と温度に気をつけながら、一日に二度丁寧にとるというこだわりです。
麺についても、店内製麺の打ちたて茹でたてを提供しているので、小麦本来の風味と強いコシが味わえるということで、讃岐うどんの基本に忠実なお店と言えると思います。

当店の場所は、向ヶ丘遊園駅の北口側で、区役所通り登栄会の商店街を進み、駅から徒歩3分ほどのところにあります。

行列店とも聞きますので、この日は、11時半の開店時刻を目指して伺いました。
お店に着いたのは11時18分頃だったのですが、既に店頭には8名の待ち客が並んでいました。
9番目に並ぶことになりましたが、先頭の5名には椅子があり、その後は立ち並びとなります。
店舗情報によれば席数10席となっているので1回転目にギリギリ滑り込めたかなと、この時点では思いました。

開店予定時刻よりも10分ほど早い11時21分にお店は開き、客が順次中に入っていきます。オープン時刻の前倒しは嬉しいところですね。
入口で手指にアルコール消毒を施して入店するとすぐ左手に券売機があり、入店客が順番に券売機に向かいます。
多少の券売機渋滞にはなりましたが、4分ほど待って順番が回ってきて、mix天釜玉@600円＋大盛り@100円の食券を購入します。

しかしながら、10席あると思っていた客席は、仕切り板設置のためでしょう、3席減っており、全7席。
私と私の前の人は、券売機の両側に置かれた丸椅子に座って待ちます。

座って待つこと11分ほどで着席した客への提供が終わったようで店員さんが食券を確認にきますので、渡します。
それから1分ほどで1回転目の最初の方の客が食べ終わり、席に着くことが出来ました。
やはりうどん店はまずまず回転はいいですね。

お店は男性店主と若い女性店員2人の計3人で繰り回されています。
なかなか丁寧ですし、テキパキしていて接客は良好です。
男性店主がうどんの茹で専門という感じで、女性の一人が天ぷら担当になっており、お互いに声をかけあいながら、分業して注文を捌いていきます。
この分業によって、麺は茹でたて、天ぷらは揚げたてを提供するのを前提としたオペレーションが確立されています。

席は間引かれた効果か、両側はゆったりして密にならないように配慮されています。
これは嬉しいですね。

待つこと5分ほどで注文の品が提供されました。
ありつけたのは11時43分でしたので、店頭に並んでから約25分後ということになります。
休日の昼前はこんなものかもしれませんね。
因みに退店した11時50分過ぎには20名以上が店頭に並んでましたので、この時間から並ぶと、いくら回転がいいと言っても40分以上は待たされるのではないかと思います。

mix天釜玉は、釜玉うどんと天ぷらが別盛りで提供されました。
mix天は、舞茸が2個とちくわ天ですが、揚げたてでカリッとした食感が味わえます。
ボリュームもたっぷりです。

釜玉うどんは、玉子のほかたっぷりの青ネギがトッピングされていますが、茹であげらしい鮮度が感じられるうどんで、モチモチ食感でコシもしっかりあり、素晴らしいです。
釜玉の出汁は薄味なので、しっかりした味が好きな人は卓上調味料を加えた方がいいかもしれませんが、薄味好きの私にはちょうど良かったです。
うどんの大盛りは成人男性には普通程度に感じるレベルですが、天ぷらが充実しているので、食べた感は感じられます。

昔ながらの讃岐うどんがコンセプトと書きましたが、現在、本場の讃岐うどんは麺こそ茹であげ麺を提供するところもありますが、天ぷらは揚げおきのところがほとんどです。
その点、当店の3立て(打ちたて茹でたて揚げたて)のオペレーションは本場のお店を凌駕していると言っても過言では無いと思います。

このクオリティならコスパも高く評価出来ますし、さすが百名店といったところで、長い行列が出来るのが良く分かるお店でした。
やはり人とは違う努力、工夫をしているお店というのは客にもその心意気が伝わるものなのでしょう。
永く頑張ってもらいたいお店ですね。