戦後へのタイムスリップ、闇市のやきとん屋。辛味噌をつけたコブクロをアテに、キンミヤが進む！ : かとりや 溝の口店

［神奈川県川崎市］
2020/7/22（水）
東急溝の口駅・西口商店街にある、やきとんの店。

場所は… JR側にいる場合、東急田園都市線・溝の口駅へと進む。
駅の西口から出て、左手にある「溝の口西口商店街」に入り、しばらくして右手にある。
東急駅から徒歩2分、JR武蔵溝ノ口駅から徒歩4分。日祝定休。

市有水路の上に生まれた、戦後闇市の流れを受け継ぐ西口商店街。
2014年の火災で線路側の建物は取り壊され、市の緑地帯となっているが、その独特な雰囲気は今なお健在。

あたりは串物を焼く店が多く、比喩ではなく本当に、白煙で景色が霞んでいる。
こちら「かとりや」は、古本屋のすぐ左隣に口を開けている。
古本に、焼鳥の香ばしさが移ると思うのだが、それも付加価値の一つだろうか（笑）

客席はL字カウンター12席のみ。立ち飲みではなく、座席がある。
全席喫煙アリ（あれっ？） 左側にテレビがあり、現在の世情を伝える。
ここでは、南武線の電車が通り過ぎる音がBGM。

正面に消毒用アルコールが置かれているが、
席の間隔が近く、大声でお喋りする客もいるため、ソーシャルディスタンスを保つことは困難。
また隣からは煙が流れてきて、◎動喫煙なんのその！

座った席は、焼き場の目の前。
店員さんの目の前で、気分的に写真を撮りにくいことを除けば、絶好のロケーション。
店員は荒削りな感じだが、決して注文しにくい雰囲気ではなく、リラックスして頂ける。

お手洗いは右隅の奥の方にあるようだが、座っている客と壁との距離が狭いので、そこまでたどり着くのが至難の業と思える。
できるだけ、ここ以外で済ませておくのが無難だろう。

お品書きは、以下のような感じ。
〔串焼〕かしら、たん、はつ、しろ、れば、こぶくろ、なんこつ、砂ぎも
　　　　とり皮、ねぎま、ししとう、しいたけ、ピーマン、ねぎ
　　　　牛大串、つくね、炙り醤油焼き、厚揚げ焼き
〔一品〕冷奴、お新香、かとりや漬け、牛もつ煮込み、唐揚げ

串焼は1本￥132均一。5本盛りにすれば￥110お得になる。現在テイクアウトでも販売中。
既に21時を過ぎていたので、"牛大串・つくね・ガツ醤油焼き" など限定物はすべて完売！
定番串にも品切れのものが出ていた。特に "かしら・しろ" 売り切れは残念。

「塩かタレか」聞かれ、一瞬戸惑った私、反射的に「タレ」と回答。
周囲を見て、あとから考えると、たぶん塩が基本だったものと思われる。
まあ（いい意味で）場末の雰囲気を味わうには、なんとなくタレもいいんじゃないかと自己納得。

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■ドリンク
◎ハイッピーレモン（￥440）※税込10％
　ホップとレモンで味付けした割り材「ハイッピー」。
　ホッピー同様、甲類焼酎を割って飲む。この店では王道の四日市・キンミヤ焼酎を使用。
　割合はナカ（焼酎）1に対し、ソト（ハイッピー）4が推奨。
　ビールとレモンサワーの中間的な味？
　お通しは付かない様子。

◎キンミヤ焼酎（￥440）
　ホッピーの相方としてお馴染み、工業都市・四日市で造られる甲類焼酎。
　ロックで頼んだら、なみなみと注いでくれて、ほろ酔いを軽く通り越すレベル（笑）

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■お新香（￥286）
きゅうり・かぶ・人参の3種盛り。軽めのぬか漬けと思われる。
お新香にも辛味噌が添えられる。
あえていえば「味の素」も感じる。それもまた昭和、良きかな、佳きかな。

■かとりや漬け（￥396）
ガツ（豚胃）の酢漬け。白いものをイメージしていたら、キムチ色だったのでびっくり！
酸っぱ辛い味付け。ガツの食感は硬すぎず快い。たっぷりの刻み白ねぎと混ぜ合わせて食す。
さっと出てくるので、串焼きが出るまでのつまみに最適。

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■串焼（5本セット￥550＋2本￥264）
　付いてくる「辛味噌」が非常に美味。
　唐辛子を適度に効かせつつ、それ以上にニンニクの旨味が主張する。
　この辛味噌だけでも、酒が呑めるね。

◎こぶくろ
　プリプリ感が素晴らしい！　専門店でしか出せない味。
　今回頼んだ串物の中で、最も印象に残ったのはコレかも。

◎れば
　なまめかしい生のレバーが、目の前で焼き上げられてゆく。
　その炙り加減の調整に、職人技というべきものが感じられる。
　焼き上がりをすぐに食すと、ホクホクしたような食感。

◎たん　　　おそらく豚タン。ブリブリと元気な歯応え。
◎砂ぎも　　ザクザクっとした歯触りに、甘辛いタレと辛味噌が合わさって、焼酎が進む味。
◎なんこつ　豚の軟骨と、小腸と思われる部位を交互に刺してある。ゴリッと強めの食感。
◎ねぎま　　焦げたねぎが豪快。焼鳥店ではないので、やはりホルモン系の方が得意分野の様子。
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一人で食べて呑んで、お会計￥2420。もちろん現金のみ。
さすがに安いね～　今回品切れだった「しろねぎ・つくね・牛大串・厚揚げ」また食べに来たいな。

近くの店から、久しぶりに聞くナイター中継が聞こえてくる。
どこかのチームが得点を入れたのか、ワーッと客たちの歓声が上がる。
何年か前まで、何の変哲もなかったような景色が、かけがえのないものに思えてくる。

この景色を未来に残すためにも、一人ひとりがいろいろ気を付けることが必要だと
改めて感じる夜だった。