本格的な中華料理の味がする『タンタン麺』☆タンタンメン第８１杯目 : breath food 川崎店

川崎市立川崎病院近くにあるラーメン店です。

外観はシンプルに白を基調とした壁で、筆記体で屋号が書かれていますが、『市原仏具店』のほうが目立ちますね。

店内は、全体的に狭く、厨房も客席もギュッと詰め込んだ感じです。
客席は、厨房に向かうカウンター４席、壁に向かうカウンター３席、２人用のテーブル席１卓です。

メニューは、豚骨スープの黒ラーメンと赤ラーメンが各１，０００円です。
定番メニュー以外にも麺料理が豊富にあります。この日、黒板に書かれていたのは、広東麺（９５０円）、味噌野菜麺（１，０５０円）、豚骨タンメン（１，０５０円）、豚骨タンタンメン（１，０５０円）、マーボー麺（９５０円）がありました。


いただいたのは、
■タンタン麺（９８０円）
麺は細麺、中太麺の２種類から選べます。辛さについては聞かれません。
注文すると中華鍋で丁寧に調理し、店内には中華料理らしさのある美味しそうな香りが漂いますね。
仕上げに溶き卵を入れているところは、川崎のタンタンメンの作り方です。しかし、提供されたものには、唐辛子が見えません。
また、見た目の色合いこそ、四川料理の担々麺のような色合いですが、味わいはまったく異なるものです。
川崎のタンタンメンというと、元祖ニュータンタンメン本舗のものをイメージされる方が多いのですが、実は多様性があります。
川崎のタンタンメンの歴史は、本場である四川省の料理人から川崎の中華料理店の店主たちが、担々麺を習ったのが始まりです。本物は汁無しで量も少なく、辛すぎて日本人の口に合わないため、店主たちが各々でアレンジしたのが川崎のタンタンメンです。
その中でも、美味しくて、多くの川崎市民に支持されたものが元祖ニュータンタンメン本舗のタンタンメンなのです。
以前は、川崎市内の中華料理店では多様なタンタンメンが見られたのですが、そのような料理を出すお店の店主は、団塊の世代かそれ以上の世代であったため、現在では廃業しています。
結果、元祖ニュータンタンメン本舗のスタイルのニンニクを効かせたものが標準系として残っています。
本題のこちらのタンタン麺ですが、細かい挽肉に加えて、ゴマも入っていますね。しかし、ゴマペーストというよりもすりごまが入っているようで、スープはあくまでも中華スープの味わいがベースにあります。
このスープがなかなかいいようで、強い個性は無いものの、その上にゴマや辛さなどの味わいを乗せても旨みが感じられるので、ちゃんとしていると思います。
一応は、川崎らしくニンニクも使っているようですが、すりおろしニンニクを少量のみ使っているようで、微妙に香りますが、他の香りと混ざっていて、弱いものです。
美味しい香りのベースはごま油で、これが中華料理らしさのあるいい香りを出しています。
具には、溶き卵の他には、立派ンな木耳が２個入り、ニラ、ネギがありますね。中華料理の定番野菜がしっかりと入っています。
このあたりも中華料理として、ちゃんとしている印象を与えてくれますね。
細かい唐辛子は見えないですが、全体的にオレンジ色がかかった色合いになっているのは、豆板醬のようなペースト状の『醬』を使っているからでしょう。
辛さは適度で、旨みが味わえるぐらいのアクセント程度の辛さです。
極端に辛いものが食べられても何の自慢にもなりません。料理として美味しいのは、適切なバランスが取れたもので、これこそが中華料理でしょう。
スープの旨みの上にすりごまやごま油の香りが加わり、軽い辛さもあって、完成されたスープに合わせる麺ですが、菅野製麺所のものとのこと。
中太麺は、軽く縮れており、スープとの絡みがいいですね。嚙み応えがある仕上がりの麺で、しっかりとした味わいとの相性がいいでしょう。
元祖ニュータンタンメン本舗のタンタンメンは、『Ｂ級グルメ』という名のもとにちょっとジャンクな仕上がりで、あれはあれで美味しいのですが、やはり、こちらのような、ちゃんと、中華料理として調和の取れたタンタン麺も美味しいと思います。


全体的に調理レべルが高いので、このお店なら何を食べても美味しいでしょう。ラーメン店としてもいいかと思いますが、夜に軽く飲むのにいいお店だと思いますね。

個人的には、川崎のタンタンメンの歴史は川崎の雑多な多様性を象徴するものであると考えています。
川崎のタンタンメンが一本化されつつある近年において、このような、独創性がありつつも美味しく仕上がっているタンタン麺を提供してくれるこちらは素晴らしいお店ですね。
強くおすすめしたいと思います。


タンタンメンに関する私の記述がまとめと日記にあります。
興味のある方は、ご覧下さい。
まとめ：川崎発祥のＢ級ご当地グルメ！タンタンメン！！
日記：川崎タンタンメン秘録