シェフが魂を注ぎ込んだ渾身のフルコース14皿。メイン級が5皿という怒涛の攻撃。 : ル・ニコ・ア・オーミナミ

この日は茅ヶ崎でかみさんとディナー。

やって来たのがこちらのフレンチ。

場所は、茅ヶ崎市柳島というエリアの閑静な住宅街の一角。

2012年4月11日にオープンし、ちょうど10周年を迎えた人気フレンチレストラン。

シェフは山口県下関市生まれ。
和菓子屋の息子として育ち、高校卒業後、地元のレストランから修行をスタート。
福岡、長野、六本木、青山、銀座の様々なレストランでスーシェフ等の経験を積んだ後、
茅ヶ崎のフレンチ、ラ・ターブル・ド・トリウミにて料理長を3年間努めました。

独立を模索していたとき、地元茅ヶ崎のハウスメーカー「エバーグリーンホーム」社長の
猪狩裕一氏との出会いが縁で、猪狩氏所有の土地を活用して同社が設計・施工を手掛けた
LE NICO à Ominamiの料理長として就任し、2012年4月11日にオープン。
ちなみに食べログの店名が間違っていますので修正依頼をしないと・・・

店名の「オーミナミ（大南）」は、茅ヶ崎最南端である同地に古くから伝わる屋号で、
江戸末期から明治中期まで湯治所が営まれていた歴史があり、
そのルーツを知って欲しいという思いとシェフの愛猫「ニコ」を組み合わせて付けました。

数年前からこちらのお店は来たことがあったのですが、
その時に何となく美味しそうなオーラと、このような立地なのに大盛況だったことを受け、
「ここは美味しいに違いない。」と思い、特別な日に利用しようと思っていました。

そんなこんなで記念日での利用を企てたものです。

ゆっくりと落ち着いてシェフ渾身の料理を味わいたかったのでディナーでの訪問。

ディナーコースは、

・Course 1　6500円
　　前菜4皿、メインディッシュ(3種類の中からチョイス)、デザート2皿
・Course 2　9500円
　　前菜5皿、メインディッシュ(3種類の中からチョイス)、デザート2皿
・Course 3　20000円
　　シェフが魂を注ぎ込んだ渾身のフルコース10皿

すべてコーヒー、紅茶、焙じ茶のいずれかが付きます。

というラインナップ。

私は一期一会の精神ですので、また次に来ればいいなんていう考えはありません。
あとで後悔しないように、そのお店の極上のものを食べたいと思っています。
特にこのような美味しそうなオーラを持っているお店ではなおさら。

ということで、

・Course 3　20000円 × 2人前
　　シェフが魂を注ぎ込んだ渾身のフルコース10皿

を予約しての訪問となります。

私はウォーキングで来れるのですが、かみさんはさすがに無理なので、
文明の利器のバスを活用しての訪問です。
都合よくバスが走っていませんので、10分以上前にお店に到着。

敷地面積は約600坪。メインとなるレストランの向かいには、
築80余年の古民家「大南庵」、神社、奥には駐車場、葉物やハーブ類、ジャガイモ、
ソラマメなどを育てる自家菜園があります。
大南庵はワークショップや会議など多目的スペースとして利用でき、
レストランでの食事を伴う利用であれば無料で使えるそうです。

広い敷地内の写真を撮っていると、開店時間5分前でしたが店内に案内されました。

まずは手指消毒と検温のセレモニー。
それから入って左手のメインダイニングに案内されます。
我々は奥の窓際の4名掛けテーブルに。

2階建てのレストランは3フロアから成り、メイン＆サブダイニングに各30席、
2階個室10席の計70席を用意しています。ウェディングにも使えるんです。
2階に設けた個室は結納などのプライベートな食事会にも利用出来ます。

ちょうど10周年ウィークのタイミングでの訪問でしたので、
メインダイニング中央には祝花が飾られていますが、よくよく眺めると
鎌倉の人気フレンチである、フィエルテとミッシェル ナカジマからのものでした (*ﾟДﾟ*)
同じ業種のシェフ同士ってホントつながってるんだねえと感心。
後日、フィエルテに報告しておこう (*￣∇￣*)b

全面ガラス張りのメインダイニングからは大南庵や和庭園が見えます。

BGMは、ジャズ・ピアノの調べ。雰囲気いいっすよ (〃^▽^〃)

この日のCourse 3のメニューが卓上に置かれています。
ソムリエの方から苦手食材の有無を確認されます。

素材は自家菜園のほか、三浦半島や湘南の契約農家が育てた野菜、
シェフの故郷・下関などから直送される魚介のほか、
狩猟で仕留めたジビエや鹿児島産の黒牛・黒豚などを使うそうです。
この日も日本全国、世界からの素材が並んでいますね。

ドリンクメニューも拝見し、この日は以下を頂くことにしました。

・Cattier Brut Premier Cru　1400円 × 2杯
　　私とかみさんのオーダーです。
　　まずはこちらのシャンパンでカンパ～イ♪
　　ぶどうは、ピノ・ムニエ60％、ピノ・ノワール20％、シャルドネ20％。
　　黄金色に輝く色味。
　　グレープフルーツ、プラムのようなニュアンスを持ち、爽快な炭酸が心地よく。
　　キリッとした辛口でこれは旨い。

・ホワイトアスパラガスのムース
　　まずはアヴァンアミューズのこちら。底の深いカップでのサーブ。
　　香川県産ホワイトアスパラガスのムースにオリーブオイルを回しかけて。
　　絶妙な塩加減で、まったりとしたホワイトアスパラガスの風味とテイスト。
　　いきなり美味しい (〃^▽^〃)
　　そのお店の最初の一皿って非常に重要で、そこでおおよその見当が付きますので。
　　私もかみさんももちらん笑顔で完食。これは期待できるぞと (*￣∇￣*)b

・アミューズ盛り合わせ
　　木の株に様々なアミューズを盛り合わせてくれています。魅せるねえ。
　　その内容たるや、ヤリイカ・ウド・ウコギのフリット、魚のペーストのグジェール、
　　フレッシュトマト、白レバーパテ、ホタルイカ、自家製オイルサーディン。
　　ウコギは山菜なのですが初めて食べました。たらの芽やコシアブラにも似ているかも。

・Maranges ler Cru La Fussiere Bachelet Monnot 2017　11800円
　　コースは魚介・野菜類が中心ですので全体を通して白ワインをボトルで入れることに。
　　ソムリエと相談して選んだのがこちらの白ワイン。
　　フランス・ブルゴーニュの白ワイン。
　　ぶどうは、シャルドネ100％。
　　Marangesは1988年にA.O.C.認定された土地なのですが、
　　良い畑を持ち、40代の若い方が生産を行っていて今後化ける要素を秘めていると。
　　フレーバーとしてはナッツのニュアンス。飲んでみてもそれを感じます。
　　程よい辛口でかみさんもこれは気に入った模様。
　　これからの肉料理以外はこれで合わせていきます。

・パン
　　クロワッサン、プレーン、竹炭入りミルクパンの3種類。
　　オリーブオイルとバターを添えて。
　　お代わりも出来ますが、これだけあれば十分ですわ。
　　結果的には凄いボリュームのコースでしたので。

・フォアグラのソテーと春キャベツ
　　フォアグラのソテーに、蒸した春キャベツ、春キャベツのフリット、
　　生ハム、ラスク、トリュフ入りラスクなどで仕上げたものです。
　　フォアグラは脂臭くなくて、とろっと香りが良いです。これは良いフォアグラだなと。
　　トリュフもガス臭く無くて好みのものでした (〃^▽^〃)

・平貝のグリーンピースソース仕立て
　　三陸で獲れたフレッシュな平貝に、ひもはスモークにして、
　　天使の海老のフリットとボイル、カラスミを添え、
　　グリーンピースのソースで仕上げたものです。平貝の貝殻がそのまま皿代わり。
　　フレッシュな平貝の貝柱の不思議なサクサクと歯切れのよい食感に、
　　グリーンピースの穏やかな甘みと風味が合わさって旨いです。

・ホワイトアスパラガスのパイ仕立て 九十九里産蛤 帆立ソテー添え
　　香川県産のホワイトアスパラガスはボイルしてサクサクのパイ生地で挟み、
　　オランデーズソースで仕上げていています。
　　脇を固めるのは、九十九里産の蛤を魚介の出汁で煮てから冷まし、
　　ねぎのピューレ、鱒の子で仕上げたものと、帆立のソテー。
　　ホワイトアスパラガスは柔らかい仕上がり具合。
　　好みとしてはシャクシャクの方が好きなのですが、オランデーズは酸味が効いて美味しい。
　　何気に帆立のソテーが旨いんです。火の通し加減、調味料使いあたりが。
　　蛤も味が濃く仕上がっていました。

・阿波尾鶏のグリルと白レバーのムニエル
　　皿にセロリのピューレを敷き、阿波尾鶏のグリルと白レバーのムニエルを鎮座。
　　その上に根セロリのマリネ、マイクロセロリをあしらったものです。
　　白レバーは普通に美味しいレベル。
　　一方の阿波尾鶏のグリルは旨いです。塩加減が絶妙で肉の味が濃いんです。
　　鶏だって美味しい一皿になるんだぜというお手本でしょうか。
　　根セロリのシャクシャクアクセントが個人的には良かったです (〃^▽^〃)

・伊勢海老のアメリケーヌソース仕立て
　　まずは活き伊勢海老のプレゼンテーション。
　　本当に伊勢志摩から直送された伊勢海老ですのでこれぞザ・伊勢海老。
　　それをボイルし、伊勢海老自身で作られたアメリケーヌソースで仕上げたものです。
　　火入れはミディアムになっていて、クニュクニュとした身の甘みとミソの旨み、
　　アメリケーヌソースのコクが相まって美味しいです。
　　こうなってくると伊勢海老も捨てたもんじゃないなと思いましたね。

・Hecht & Bannier Minervois 2015　1200円
　　私のオーダーです。
　　フランス・ラングドックの赤ワイン。
　　ぶどうは、シラー約80％、グルナッシュ、カリニヤン。
　　次なる皿、イベリコベジョータに合わせてソムリエに選んでもらいました。
　　果実味、タンニン、酸味のバランスタイプで、フルとミディアムの間くらい。
　　シラー好きというのもあり美味しいです (〃^▽^〃)

・イベリコベジョータ ソースペリグー
　　山菜を加えたリゾットを皿に敷き、イベリコベジョータのソテーを鎮座。
　　野萱草、筍のグリルを添え、ソースペリグーで仕上げたものです。
　　まずは旬の筍が旨い (〃^▽^〃) 筍大好きなので。
　　イベリコベジョータはしっかりとした肉質。
　　ソースペリグーのトリュフの風味もいいです。ここのトリュフはいいっすねえ。

・太刀魚とズワイガニのガレット
　　皿に竹炭のソース、カニ・帆立・ジャガイモのピューレを敷き、
　　太刀魚とズワイガニのガレットを乗せ、地野菜のフリット、
　　マイクロセロリ、竹炭の煎餅をあしらったものです。
　　太刀魚とズワイガニのガレットは、特にズワイガニの風味が凄いです。
　　竹炭の煎餅は凄く薄くてフィルムみたい。よくここまで薄く作れるなあと。

・Chateau de CAMENSAC 2011　1800円
　　私のオーダーです。
　　フランス・ボルドーの赤ワイン。
　　ぶどうは、カベルネ・ソーヴィニヨン60％、メルロー40％。
　　次なる皿、山形牛に合わせてソムリエに選んでもらいました。
　　まさにカベルネ・ソーヴィニヨンらしいフルボディ。
　　果実味がまったりと舌に絡みつき、タンニン、酸味も程良く。
　　さすがに旨いわ。

・山形牛イチボ肉の炭火焼き
　　山形牛イチボ肉の炭火焼きに、ジャガイモのグラタン、ブラックオリーブ、ルッコラ、
　　粒マスタードなどで仕上げたものです。
　　イチボ肉がこれまた絶妙な塩加減。ソースも旨い。
　　契約農家野菜のマリネも別皿で添えられました。

・ブラッドオレンジ・パッションフルーツのアイス ショコラのクランブル添え
　　アヴァンデセールです。
　　柑橘の爽やかな美味しさにショコラのクランブルのビターな味わい。

・アニバーサリーデセール
　　記念日でしたので特別にこちらを。
　　アーモンドのブランマンジェに苺、メッセージを添えて。
　　記念写真も撮って頂けました (〃^▽^〃)

・抹茶のアイス 桜のチップとジュレ添え
　　抹茶のアイスがしっかりとした抹茶風味。これは素晴らしい。
　　なかなか抹茶風味をここまで出すのは難しいと思いますので。

・ミニャルディーズ
　　オレンジピールのホワイトチョコレートがけ、抹茶マカロン、フロランタン、
　　カカオニブサブレ、キャラメルパウンドケーキの盛合せです。
　　最近のフレンチってミニャルディーズに気合を入れて無いか (T▽T)ノ＿彡☆ばんばん！
　　最後までワクワクさせてくれますよね (〃^▽^〃)

・紅茶
　　かみさんのオーダーです。〆のドリンク。

・コーヒー
　　私のオーダーです。

これで〆て57600円。一人当たり28800円。タッチレスのPayPayでお支払い。

いやあ、お腹いっぱい。そして無茶苦茶満足 (〃^▽^〃)

シェフが魂を注ぎ込んだ渾身のフルコース10皿とのことですが、実際には14皿。
そこにパンも加わりますし、メイン級が5皿という怒涛の攻撃。
シェフやソムリエもときおり「お腹は大丈夫ですか？」との確認があるくらいに。
美味しい料理は別腹なんです。
ただし翌朝の体重にはしっかりと反映されましたが (T▽T)ノ＿彡☆ばんばん！

このロケーションで2022年4月現在3.61ポイントですし、シェフの経歴を拝見すると
それなりに期待は出来るのですが、4.0ポイントを超えるかどうかの確信はなく訪問。
しかしながら余裕で4.0ポイントのハードルを超える満足感を味わうことが出来ました。

シェフは奥の厨房で調理に忙しいのですが、ときおりメインダイニングに現れて、
直接料理のサーブをしながらお客様とコミュニケーションを図っていました。
我々の席にも2回は来てくれたと思います。

そして精算の後はシェフとソムリエとも立ち話。
羊肉が苦手になった経緯の話で盛り上がったりして (T▽T)ノ＿彡☆ばんばん！

無茶苦茶フレンドリーで実力のあるシェフ。
まだまだ40代前半とお若いので、向こう何十年と常連さんの胃袋を掴んでいくことでしょう。

場所柄駐車場も広くて、我々以外は皆さん車での来店だったと思いますが、
そうなると酒を飲めない方が一人はいらっしゃるということに。
これだけの絶品フレンチですのでソムリエ厳選のワインと合わせたいところでしょうが、
我々のようにバスやタクシーで来るわけにはいかないんでしょうねえ。もったいないけど。

鎌倉の人気フレンチである、フィエルテとミッシェル ナカジマとも親交があるようですが、
実力者同士って必ず接点があるんですねえ。

ご馳走様です！（2022/4現在、3.61ポイント）