小田急江ノ島線 片瀬江ノ島駅そばの隠れ家レストラン : GIRINO

週末ともなると観光客でにぎわう小田急江ノ島線片瀬江ノ島駅。
都心方面から小田急線で訪れる人が多く駅周辺が混むとともに、車で江ノ島や新江ノ島水族館を目当てに来る方も多く、国道134号線ぞいの渋滞は避けられない。

一方、片瀬江ノ島駅から湘南白百合学園の方面はすぐに住宅地になっているので、駅からの距離はわずかなのにとても静か。
こちらジリーノさんは片瀬江ノ島駅から歩いて5分そこそこなのに別世界だ。

昨年6月に訪れたときは移転前の店舗だったが、今年4月に境川の川沿い方向に3軒離れた民家に移転した。
古民家というほど古いお宅ではなく、大事に使われていた閑静なお宅の和室をフローリングの部屋にリノベートして客室にしている。
押入れや柱、縁側などもそのまま残し、違和感なく落ち着いたレストランに変身。

間取りの広いお宅ながら、依然としてご主人おひとりで料理を担当されているのでキャパに限界があり、一室のみをレストランとしている。
他の部屋は、お稽古ごとや陶芸教室、ワークショップなどとして利用しているそうだ。

門の前に立て看板があるのでレストランとかろうじてわかる。
気づけば「GIRINO」の文字が。以前は「cafe girino」という木の看板だったので、カフェから脱皮してレストランになったということか。

girino　イタリア語で "おたまじゃくし" のこと。
移転する前からこの店名だったわけだが、この民家もカエルと縁のあるエピソードがあったようで、不思議な巡り合わせ。

立派なお庭が戦力に加わり、一段と雰囲気がグレードアップ。
この季節、窓を開放して客室とテラス席、お庭が一体となってさわやかで開放的。
梶原にあるプランデルブ北鎌倉とも似た雰囲気だ。
あちらはフレンチ、こちらはイタリアンをベースにした創作料理なのだが。

前述したとおり、シェフはご主人おひとり、フロアは以前訪れたときは奥様おひとりで切り盛りされていたが、今回は奥様含めて女性が3名いらした。

さぞや湘南白百合のご父兄のマダムたちの利用が多いのかと思ったら、50代から70代にいたるマダムのお客様が多いのだとか。
目と鼻の先は高級住宅街の鵠沼だもの、納得。

ランチメニューは、
・ランチセット　1,900円
　　前菜　2皿
　　本日のパスタまたは本日のお料理
　　お飲み物
・ランチミニコース　2,100円
　　前菜　2皿
　　本日の小さめパスタ
　　本日の小さめお料理
　　お飲み物
・ランチコース　3,800円
　　できたて豆富
　　冷前菜
　　温前菜
　　本日のパスタ
　　本日のお料理
　　デザート
　　お飲み物
の3通り。

パスタ、メインともに日替わりで、その日の1種類しか選べないのは少々寂しいが、客数からして致し方ない。
今日は、パスタがベーコンとキャベツのスパゲッティ、お料理が豚のおいも焼き。
飲み物は、コーヒー、紅茶、三年番茶、たんぽぽ茶からの選択。こちらもエスプレッソが選べないのがやや残念。

ディナーは完全予約制で、当日の14時くらいまでに予約すれば受けてもらえるらしい。
3,800円からで、予算に応じて対応してくださるとのこと。

ランチコース（3,800円）をいただいた。

・冷前菜
　　柿の白和え、いくら、紅芯大根の酢漬けなどを、ガラスのお菓子入れのような器にあしらったもの。
　　旬の柿を使った料理で秋を感じ、酢漬けで食欲を促進。
　　器のふたが、そのままパン皿に変身。

・できたてクリーミー豆富
　　トールのガラスの器に、できたてのクリーミー豆富。表面にはオリーブオイルが張ってあり、柚子の皮を混ぜたお塩を少しずつかけながらいただく。
　　名前のとおりクリーミーで、オリーブオイルと塩のアクセントがイタリアンを感じる。

・温前菜
　　この温前菜が華やかで美しい。グラスワインの白で合わせる。
　　かぼちゃのスープ、お揚げの上に、野菜を混ぜて練った鉄火味噌をのせたもの、焼き茄子のマリネ、ぶどうのフリット、舞茸のフリット、お豆のサラダ、自家製のスモークサーモン。
　　前回のときもそうだったが、季節の食材を使ったこの温前菜は手がかかっていそうで、目にも舌にもうれしいご馳走だ。

・本日のパスタ：ベーコンとキャベツのスパゲッティ
　　やや地味めのパスタだが、薄味でキャベツの旨みを引き出し、ベーコンの塩気だけで勝負している。
　　これはこれでおいしいのだが、やはり選択肢がもう少しあるといいと思う。

・パン
　　七里ヶ浜のリュミエール・ドゥ・ベーで、このお店のためだけに焼いてもらっているもの。
　　何種類かあり、どれもおいしい。前回も書いたが、焼き加減がちょうどよくてパンのおいしさを最大限に活かしてると思う。
　　おかわり自由。前回もここを訪れたあとにリュミエール・ドゥ・ベーに買いに行ったが、また買いに行きたくなった。

・本日のお料理：豚のおいも焼き
　　「豚のおいも焼き」ってどんな料理？と思ったが、さつまいも、さといも、じゃがいもをさいの目に切ったものを豚肉でくるくると巻いてグリル（？）したものにソースをかけたもの。
　　見た目オレンジ色のソースはなんとカレー風味。見た目とのギャップがあって意外な感じがするが、このカレー風味はなかなかいい♪
　　サイドに添えられた野菜は、カブと「十角へちま」という変わった野菜。

・デザート
　　3つのパートで構成。ひとつめはプリン。上にかぼちゃのペースト、かぼちゃの皮の素揚げが乗る。
　　まん中はフルーツで、姫りんごのコンポート、マスカット、栗。要所要所に秋の食材。
　　みっつめは、ハーブジュレの中に梨が入ったもの。

・コーヒー
　　前述したとおり、食後の飲み物はコーヒー、紅茶、三年番茶、たんぽぽ茶からの選択。
　　エスプレッソが選択できるといいのに。
　　コーヒーを選ぶと、ミルクかクリームか選べる。

最初に小さなグラスのハートランド生をいただき、あとはグラスワインの白（グリッロ）を2杯、赤（シラー）を1杯いただいた。なかなかおいしい。
ワインのストックもけっこうあるようだし、他のアルコールにも力をいれているようだ。
お料理は相変わらずそつなくおいしく、お店の雰囲気は一段とパワーアップした。
ディナーが要予約というのがややハードルに感じるが、それを割り引いても夜に再訪してみたい。