鎌倉にきらりと光る新星が : Restaurant Takashi Tanno par 長谷紫‐ゆかり

鎌倉の名店「ミッシェル・ナカジマ」の姉妹店として

昨年オープンしたフレンチです。

シェフに就任したのは、丹野貴士さん。

その経歴を聞くと、驚きます。

パリでは、「レストラン　ケイ」。

帰国後は、「エスキス」「アビス」

「レフェルヴェソンス」と、超一流のレストランを

経験。

食後、シェフとかなりお話しましたが、

シェフとしては、「ケイ」さんのところに行ったのも

たまたまで、ということで、周囲の人たちに恵まれて

いるんです、と至って、謙虚。

ソムリエの山本さんも、旧軽井沢ホテルや、

ザ・ウインザーホテル洞爺などを歴任。

経験値の豊富さがサービスを見てわかります。


お店は、古民家をリノベした、雰囲気のある造り。

和室の雰囲気を残しながら、趣味のいい手の加え方を

しています。

この日は、ランチに。

12品、14500円のコースをお願いしました。

１，Inspiration 直観
　　①流木
　　　鎌倉に来て感じたこと、として、
　　　流木が登場。
　　　その上には、ポテトをペースト状にした
　　　チップスに、リンゴサラダとサワークリーム、
　　　ビーツのパウダー。

　　②キッシュロレーヌ　再構築
　　　鎌倉ビールを使った揚げせんのような
　　　生地に、
　　　岩手　石黒農場のホロホロ鳥のコンフィ
　　　生ハムの出汁に漬けこんだ鶉卵
　　　ほうれん草
　　　ベシャメルソース、
　　　と、キッシュロレーヌのパーツが
　　　積み上がり、口の中で完成します。

　　③鎌倉バーガー
　　　中華まんの生地のバンズに、
　　　パセリのパン粉で揚げた　　
　　　アジフライ。
　　　自家製ウスターソース。

２，烏賊
　　アオリイカの薄造り
　　薄くスライスしたカリフラワー
　　焦がしバター、しょっつる、
　　蕗の薹のピュレを塗ってあります。
　　カリフラワーのピュレを敷いて。

　　魚は、すべて、かのカリスマ仲買い人、
　　長谷川大樹さんから。
　　アオリイカのねっとり感が物語っています。

３，ホタテ
　　殻ごと蒸した帆立貝をまず
　　プレゼンテーション。
　　一度、引き上げて、
　　ほうぼうの出汁で蒸し煮したキャベツ
　　トリュフ風味のバターをかけ、
　　湘南ポモロンというセミドライトマトを
　　トッピングして登場。
　　この湘南ポモロンの形状が、ドライに
　　見えますが、割ると中はトロトロ。
　　酸味もあるいいトマトで、
　　ホタテを引きたてます。

４，蟹
　　タラバ蟹と花咲蟹の子であるイバラ蟹を
　　蒸し焼きに。
　　発酵させたシャンピニオンのフランの上に、
　　酒と米のソース。
　　カモミールの泡と、カラスミを。

　　ソースの周りには、バルサミコ酢と
　　焦がし野菜を。
　　海の底にいる蟹の気持ちになって、
　　夕闇をイメージしたそう。
　　こういう視点から作った蟹のお皿には
　　初めて会いました。

　　「蟹も泡をふいてます」と、山本さん。笑

５，Infusion 感情・考え
　　野菜への思い、を表現。
　　40種類の野菜とソースで構成。
　　人参、燻製パプリカ、ビーツ、
　　白いヨーグルト
　　マッシュルーム
　　レモンゼリー　などなど。
　　すべての野菜を揚げたり、蒸したり、
　　マリネしたりと、異なる調理法で。

　　これは文句なく美味。

６，伊勢海老
　　まずは、丸ごとをお皿にのせて
　　プレゼンテーション。
　　ピクリと動いています。
　　その伊勢海老を、さっと炙ってレアに。
　　アメリケーヌソースと
　　生ハムのジュと、山椒オイルで。
　　頭にも味噌がたっぷり。

７，Terre Rouge
　　　これはオリジナリティがあり、驚きました。

　　　皮つきのビーツを丸ごと赤土に埋めてオーブンに。
　　　その後、皮をむいて、カカオベースのパイ包みに。
　　　ラズベリービネガーと黒糖のソース
　　　ゲランド塩　で。

　　　ビーツの火入れに技があり、
　　　ビーツ独特の味わいが抽出され、
　　　チャレンジングなお料理でした。

８，あんこう
　　ゆっくり火入れし、表面はアロゼ。
　　アサリの出汁と蛤、サフラン、柚子のソース。
　　
　　別皿には、キャラメリゼしたあん肝。
　　レモンのママレードと。

　　あんこうの火入れは、抜群でした。
　　火入れにはかなり自信がある模様。

　　しかし、あん肝のキャラメリゼは、
　　私には、意味不明。

９，鹿
　　小鹿のロースのロティです。
　　ふっかふか、という表現がふさわしいほどの
　　柔らかい火入れ。
　　コーヒーオイルでマリネしたそう。
　　根セロリのピュレ
　　血のソース
　　ソースポワブラード
　　
　　そして、なんと、その小鹿のタンも。
　　鹿のタンとは、珍しい、というか、初めてです。
　　小さいですが、しっかりタンの食感。
　　あっさりしています。

10、わさび
　　といっても、洋梨のソルベに、
　　みかんのソースです。
　　ソルベにほんの少しトッピングされた
　　わさびは、香りが洋梨ににているから。

11、とろけるショコラ
　　　フランボワーズソース

　　　添えられたバニラアイスクリームは、
　　　平飼い、無農薬卵、ジャージー牛乳、
　　　和三盆を使ったという贅沢さ。

12、ミニョン
　　3種のマカロン
　　・ピスタチオ
　　・チョコ
　　・木苺

13、エチオピア　G1
　　　イルガチェルを山本さんが、
　　　ワゴンサービスのネルドリップで
　　　淹れてくれます。

お供は、シャンパーニュ。

自家製全粒粉のパン
バター


鎌倉への思いや、

シェフの出身地、山形に近いエリアの素材を

組み込み、

とにかく、一品一品、手がかかっています。

労を惜しまず、美味と美を追求し、

その中に、オリジナリティを出していく

という姿勢には共感しました。

これまでの名店での経験を、さらに、

どう丹野色に集約していくのか、

楽しみです。

お昼でしたが、3時間半もの長時間、

楽しませていただきました。