心落ち着く時の経つハナレ : イチリン ハナレ

イチリンハナレ5回目かな。
ここに来るときはかなり特別な時間を楽しむ感覚。

その、環境も素晴らしいが、ここに来るまでの道のりが非常に優れている。

まあ、その異空間に身を移す段取りの話はともかく。

今回の特筆すべき料理はスッポンのスープ、焼きフカヒレとやはりシャトーブリアン、そして、手土産として作ってもらった豚の黒酢カツサンド。

スッポンのスープは佛跳牆と書いた可愛らしい壷形の器で出してくれた。

そしてまさにその文字の佛跳牆のイメージの通りの滋味溢れる冬には嬉しいスープ。フーフー息を吹きかけながら、熱々を喉に流し込む。熱さもレベルの違う熱さに仕上がっているのが嬉しい。

シャトーブリアンと書いてあったメニュー、牛カツサンドだった。粒マスタードの香りも食感の粒感もよく、酸味と甘味が絶妙なバランスで、柔らかすぎるシャトーブリアンが食パンの方が硬いんじゃないかと思えるほどの柔らかさで、食べたことの無い味がドスンと口腔全体、舌、歯から脳に直接伝わる。

今まで食べたどこのシャトーブリアンカツサンドよりも旨いものだったし、これならサッパリとしているので、コースの最後でもダースで食べられる気にさせてくれた。

焼きフカヒレのあんかけはやはり、いつものフカヒレに焼きを入れてある作りなのだが、食感が少し焼き目の硬さが入り素晴らしい変化。

そして、おもたせ、差し入れ、土産を研究している僕としては「斉藤さーん、手土産を何か作ってください。」と食事の最初の頃にオーダー。

「トンカツの黒酢サンド、帰る直前まで、冷ましておきますのでー。」
と出来上がったカツサンドを見せてくれた。

切り方まで教えてくれてー！
最高の手土産でした。

冷えて食べても、
今まで食べたトンカツサンドの中で圧倒的、最高位！

斉藤さんにもいつも、無理言って何か作ってもらうけど、なぜかこれが僕と斉藤さんの中の作法になりつつあるのかな。

斉藤さんに会うといつも何か一つお願いしたくなる。そういう人なんです。斉藤さんは。

手土産一つにも唸ります。…この人天才！

終わりに、デザートの雪見山椒大福も抜群のセンスだし、
プティフールの盛り合わせは、杏仁のマカロン、飴で焦がしたピーカンナッツ、山椒のガトーショコラ、見事な完成度。

イチリンハナレは実に変化に富んでいる。
いつも、さまざまな楽しみ方を教えてくれる。
シグネチャーディッシュを持っているが、
ひたすらに同じ料理を出してくる店と違う。

しかし、評価の高い名店でも
皿やアレンジこそ変われど
同じ料理を出し続ける店がある。

都内の中華の名店で何故かこれがおきている。
いや、そのほかでもピカイチの評価の出ている
フレンチなどでも。

そうすると、初めての客ばかりを選ぶ結果となり、
食べログの点こそ高くなるが、
常連客が少なく、本当に旨い店は通いたい店のはずが、
パターンが決まりすぎると流石に何度も行けない。

イチリンハナレはその辺りのバランスが良い。
才能のある人にしか許されない選択なのかもしれない。

久しぶりに訪問。

イチリンハナレはまずもってロケーションが最高。
鎌倉の駅からおよそ15分。

寒くなってきた冬の空は帳が下りてくるのも早い。
裏道を歩いて行くと、寿福寺踏切をわたり、
しばらく閑静な住宅街を歩き、まさかと思うところで曲がる。

こんなところに店？しかも中華？は想像すらできない。

到着すると、和の風情の暖簾が目印になる。

玄関を潜ると別世界が待つ。

邸内の設の美しさも振り切れているが、
夕食の時間に部屋から臨む外周の庭も美しい。

このロケーションで圧倒的なレベルの四川ベースの
ヌーベルシノワを頂く。

この心の贅沢を楽しむには
やはり、鎌倉この場所に移動して来て、
更に駅から10分超歩き、いろんな店を
覗いてみて、都心部の忙しい喧騒の宿った頭の芯を
ゆっくりとクールダウンし、

ついに辿り着くというプロセスのなんと重要なことか。

今回のコースも素晴らしかった。
久しぶりだったためか、多くのものはスタンダード的なメニューも新鮮に感じる。

そして、何より嬉しいのは端々に斉藤さんならではの遊び心が満載。

例えば、よだれ鷄を食べた後の餃子は元より
更に、山椒を練りこんだ太麺を出してきてくれ、
一つのタレで三度美味しいを実現してくれる。

また、フカヒレの姿煮の後には白飯を餡にからめて
出してきて、香りの高い黒トリュフをかけてくれる。

更には最後に「お腹大丈夫ですかー？一杯ですか？」と声を掛けてくれた斉藤シェフに対して、
「いや、斉藤さんもっと行けます！」というと

ニーッと笑って、
「何行きますかー？」

僕の友人が、「パスタなんか最高ですねー。」とふざけたら、僕がそれに「中華パスタなんかいいっすねー。」
更に友人「ペペロンチーノ的なさらっといけるやつー！」

さすが天才斉藤シェフ
「はーい！ちょっと待っててくださいねー。」と言って
下がるとしばらくして

出してきましたー！
「パスタ作って見ましたー！」

このパスタ、内容は表記できないが
今までの中華の流れを一切壊さず、
その延長線上で違和感がない！
それどころか、メニューの中では
ダブりもなく、素晴らしい完成度。

メンバー、ぶったまげたり、大喜びしたり！

そして火照った熱い体を
クールダウンしてくれる
デザート！

これはもはや、中華ではない！
スペイン？

イーストミーツウエスト！
最高の笑顔で皆大喜びの中華会でした！