キビヤベーカリーの北鎌倉支店？ : にちりん製パン

NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が始まりましたので、やはり鎌倉を訪れたくなります。
ドラマの舞台は伊豆から始まっているのですが、そちらはやや遠いので、ドラマをちょっと先回りして鎌倉を見ておこうということですね。
しかしながら、鎌倉は、休日は混んでいるので、なるべく混雑を避けるべく平日を選んで訪れたいというのも本音で、休日の度というわけにはいかないのですが、まあ大河ドラマは1年間のロングランですので、じっくりと関わっていきたいと思っています。

この日は、まず手始めということで北鎌倉を訪れてみました。
いくつかの名跡を回ってランチは偶然通りかかった「鎌倉五山 本店」にて名物のけんちんうどんをいだきました。
まあ、お値段は観光地にしては良心的だったので悪い気はしなかったのですが、味の方はあまり特筆すべきものも無く、やや不完全燃焼だったのは事実です。

ランチの後は、翌日の朝食用パンの調達のためのベーカリー訪問になりますが、今回は、鎌倉五山本店から鎌倉街道を北鎌倉駅に向かう途中にあるこちらのベーカリーを利用することにしました。

このエリアのベーカリーを巡るには、やはりこのエリアのパン好きレビュアーさんのレビューが気になるところですが(パン好きでもないのに件数稼ぎのためベーカリーを回っているという人もいるみたいですが、そういう人のレビューはほとんど参考にならないのでパスします。)、当店は、私がフォローしているパン好きレビュアーさんも9名がレビューしておられます。
ただ、その評価分布は意外で、3.5点以上は3名、残り6名が3.4点以下となっています。

当店のオーナーシェフの津野大吾郎さんは、あのメゾンカイザーで修業をしてフランスの伝統的なパンの製法をしっかりと身につけた後、鎌倉屈指の超人気店「キビヤベーカリー」で働き、自家製粉、自家製の天然酵母を使用したパン作りに目覚めます。
その気持ちを活かして2015年5月に独立して北鎌倉に当店をオープンしました。

当店で使用している小麦粉は、伊勢原の名店「ムール ア ラ ムール」のシェフであり"創麦師"とも言われている本杉正和氏が石臼製粉プラント「ミルパワージャパン」で製粉したものや、湘南小麦の玄麦を店内工房にある石臼で挽いた全粒粉などの国産小麦です。
ミルパワージャパンと言えば、伝説のパン職人として名高く、伊勢原の「ブノワトン」のオーナーシェフであった故高橋幸夫氏が2007年7月に伊勢原市に建設して製粉プラントですよね。
ブノワトンは今はありませんが、高橋氏の遺志を承継するベーカリーとして、ブノワトンの跡地に本杉氏がオープンしたベーカリーが「ムールアラムール」ということになります。

酵母については、イーストは使用せず、レーズンから起こした酵母とルヴァンの自家製酵母２種類を使用し、パンの種類によって使い分けておられます。
発酵スピードの早いイーストを使用しないというのは、効率性を犠牲にすることになるので、なかなか簡単に出来ることではありませんよね。

当店の場所は、北鎌倉駅から向かうと、駅前交差点から鎌倉街道を鎌倉方面へ300mほど進んだところになります。
お隣りは、イタリア料理の名店「akizuki」になります。
この日は鎌倉方面からのアプローチになりました。
非常に分かりやすいシンプルな店名表示は、当店のコンセプト（小麦粉、酵母）と結びつき、清々しい感じすらしますが、お店はとても小さく、店内に先客がいる時は、外で待つことになります。
この日は、12時近くの訪店でしたが、店内に先客は無く、待たずに入れました。
店内には、15～16種類のパンのプレートが置かれているのですが、既に完売になって補充されていないパンもあり、ラインナップは10種類ほどでした。
当店の営業時間は10時半からなのですが、お目当てのパンがある場合は、早めの訪店が望ましいと思われます。
今回は、以下、3点をチョイスしました。
・角パン（ハーフ）＠300円
・カシューナッツとけしの実のパン＠190円
・コーヒーメロンパン＠240円
合計730円

決してリーズナブルとは言えないですが、こだわりパンですからこの程度のお値段になるのは致し方ないと思います。
持ち帰って、翌日の朝食に供しました。

角パン（ハーフ）は、レンジは使用せず、600Wのオーブンで2分間温めた後、1,200Wのオーブンで1分間仕上げ焼きしてマーガリンをつけていただきました。
パン生地は、食パンと同じ生地でオーガニックレーズンの自家製酵母で発酵させたとのことですが、ムチムチな食感のどっしりした生地で、大きな気泡が目立ちます。
小麦は全粒粉が入っていると思われ、小麦の香りがしっかりとして、とても美味しかったです。

カシューナッツとけしの実は、レンジで15秒チンした後、600Wのオーブンで3分間加熱して、やはりマーガリンを塗っていただきました。
小さめのサイズのパンですが、やはり小麦の香りが芳醇で、そこにぎっしりと詰まったカシューナッツが香ばしい香りで味を整えており、とても美味しいです。

コーヒーメロンパンは、コーヒー豆を混ぜた生地に、座間市の珈琲豆焙煎店「COFFEE NOTE」の作るザマオーレ(カフェ・オ・レのもと)を上がけ生地に使用しています。
小麦の香りとコーヒーの風味のコラボが素晴らしいパンで、これもとても美味しかったです。

全体に自家製粉の小麦、自家製酵母の特性がキチンと生かされているパンという印象で、その意味ではまさしくキビヤベーカリーのコンセプトをしっかりと受け継いでいるような感じを受けました。
鎌倉の入口に当たる北鎌倉で当店のようなこだわりベーカリーがあることは、鎌倉の食文化という意味からもとても意義あることだと思います。

オープンして間もなく丸7年になるところで、食べログ評価は3.5点には届いていないのですが、しっかりしたコンセプトをお持ちのお店なので、今の路線を愚直に追求してもらいたいですね。
それによって更に評価が高まることにもつながるものと確信しています。