居酒屋とは思えない美味しいラーメンは、あとひと味欲しい : 味香房 海居人

以前夜に訪問した際、居酒屋の〆としていただいたラーメンをランチで食そうと思い再訪。前回は酔っ払っていてしっかりと味わう事が出来なかったラーメンでありますので、ずっと心に引っかかっていたカントナは再訪を誓って幾年月。

「ランチは月水金のみ」というハードルの高さ。偶然再訪のチャンスが訪れた本日。11時30分ちょっと過ぎに意を決して訪問する事にいたします。

ガラリと引き戸を引きますと、お客さんは1名。一番奥のカウンター席に座って、少し悩んだ結果 以前と同じ海老醤油をお願いいたします。水はセルフ。水では無くてお茶であるのが小さな心遣いであるけれども嬉しいのであります。静かな店内で待つこと8分くらい。

カウンターの台からうやうやしく器を受け取ります。器は思ったよりも軽いのであります。ラーメンの見てくれは美しいビジュアルで以前と同様。若い筍が尖っていて印象的なビジュアルなのであります。

まずはスープを味わいます。海老の香りと甲殻的な後味。脂が口内に心地好くまとわり、醤油が全体を覆うラーメンなのであります。しかしながら、あと一味パンチが足りないと感じるのは以前と同様の印象。言い換えるならば「味の芯が欲しい」のであります。しかしながら、ネギ等の薬味をスープに溶かしてみますと「あと一味足りない」と思われたスープが「あと半味足りない」にまで改善される効果を感じるのでありました。

麺はツルツルで伸びのある麺。しっかりとスープを絡ませてすするのが心地よいのであります。チャーシューは2種類。両方とも柔らかくて、1つは脂の美味さを堪能出来、もう1つは肉の美味さを堪能出来るもの。若い筍は口直しと一休み用。

脂はそれなりに感じるのではありますが、全体を纏う和風で洗練された感じが、脂の後悔なんてものを消し去ってくれるのであります。接客はとても丁寧でこちらが恐縮するようなくらい。

あと半味何かが足されればカントナの味覚にピンズドなのではありますが、そうであっても「ラーメン屋さんとしても充分にやっていけそうであるな」と思える良い具合のラーメンなのでありました。
～～～2015年09月～～～
「ラーメンの美味しい居酒屋」であるという好ましい噂を耳にしたカントナは、ラーメン好きだけれどもお酒は弱い連れを引き連れて訪問してみる事にいたします。

時は土曜日の20時前。すき家さんが店を構えるビーバービルの1階。こちらのビルには興味深いお店が幾つもある隠れ家的なビル。

引戸を引いて入店いたしますと、ほぼ満席の店内。思っていたよりも随分と落ち着いた店内は、カウンター席10以下と堀ごたつ式のお座敷席が3つ。カウンター席では、ラーメンを食しているお一人様が見受けられます。ますますラーメンへの興味が深くなるカントナなのでありました。

優しい店員さんに堀ごたつに案内してもらって、まずはメニューを拝見いたします。

居酒屋メニューと一緒にラーメンメニューもじっくりと吟味いたします。〆のラーメンをイメージしながらオーダーを逆算し、「豆腐とジャコのサラダ」「唐揚げ」「烏賊の刺身」をオーダーいたします。それから連れはフルーツジュースで、カントナは生ビール。

すぐに到着した泡の決め細やかなビールをグビグビといただいて、お代わりでもう一杯。お通しはオクラ入りのもずく酢。さっぱりでほんのり甘酸っぱいもずく酢で胃腸を刺激して臨戦態勢に入るカントナなのであります。

まずはサラダの到着。結構ボリュームがあるサラダは、ドレッシングがピリ辛で鰹節の薫りと旨味とが相まって食欲が増すのであります。

お次は唐揚げ。こちらも結構ビッグサイズでまん丸な唐揚げ。その大きな外観にコーフンしながらかぶり付きますと、下味はほんのりで鶏の味を味わう唐揚げ。酒飲みの居酒屋的な味付けとしてはややもの足りず、ジューシーな脂の具合から考えますと、「もうちょっと味付けが濃ければもっとお酒に合うのではないか」と残念に思うカントナなのでありました。

お次は烏賊。どこぞの由緒ある烏賊でありましたので、そのねっとりした感覚をこの烏賊の特徴として味わうのであります。烏賊には隠し包丁がしっかりと入っていて食べやすく、醤油の入りも良いのであります。「丁寧」という言葉が思い出されるのであります。

〆のラーメンを意識して、料理はこれくらいにしてメインディッシュの選考に入ります。「ハーフサイズが用意されているのが女性にも嬉しいであろうな」と思いながら、連れもカントナも干し海老油醤油ラーメンにする事にいたします。連れはやっぱりハーフサイズでカントナはレギュラー。

安心出来る接客スタイルの店員さんにオーダーしたラーメンは、いわゆる「意識高い系」のビジュアルで登場。デンッと居座っている若筍が印象的。居酒屋の片手間では出来ないであろう渾身の姿。そんな姿に感心しながらまずはスープをいただいてみます。多少海老の香りがする油をプラシーボ的に感じ、海老のあとには甘さを感じるのであります。上品系のスープは、呑んだあとでもスイスイとイケるさっぱり上品系の味わい。麺はやや細麺ストレートでザクザク噛みきれる系。茹で具合も良くてスープがしっかり絡むのであります。チャーシューは鶏。噛み締めるほど味が滲み出る系で満足のチャーシュー。ビジュアルの中心にいる若筍は、箸休めにピッタリ。呑んだあとだけでなくて、ラーメンだけでも充分活躍出来るであろう良い具合のラーメンなのであります。しかしながら、何か一味足りないような気がしながら箸を進めていたカントナは、それがあと一振り足りない塩のような感覚を覚えるのであります。

確かにラーメン以外の料理でも塩があと一味足りない気がして、濃い味が好きなカントナの味覚のせいなのかも知れませんが、「もっと塩を！」と思いながら埋まらぬワンピースを残念がるのでありました。