チャレンジングな垂直統合ですが、応援したい！ : ぎょうざビストロ黄河

またまた台風の接近です。
日本で暮らしている以上避けようが無いのですが、今年は例年に比べて勢力の強い台風が日本列島に接近、上陸するケースが多いように思います。
この日もそんな台風の接近が間近に迫った1日。
当初は雨が降り出す前に逃げ切れるかと予想していたところ、当日になって昼過ぎからの雨予報が多少前倒しになった感はありましたが、当店の訪問は以前から予定していたので、強行することにしました。

当店は、戸塚の舞岡町で営業していた「ぎょうざの横濱黄河 工場併設直売店」が発展的に移転新設することになり、餃子製造工場、直売店、レストランを兼ね備えた施設に生まれ変わったものです。
場所は、以前の直売店から神奈川中央交通バスの舞岡営業所方面へ400mほど進んだ右手側。
国道1号線からだとより奥へ入り込んだところということになるので、立地条件が好転したということはありません。

今回、レストランの併設により、製造から小売(ネット販売含む。)、外食まで一気通貫の体制が整ったことになり、事業動機は、いわゆる事業の垂直統合ということになろうかと思いますが、当店の場合はことはそう簡単ではありません。
と言うのも、「黄河」と言えば戸塚を良く知る人であれば、元々上倉田の小田急団地の入口で昭和50年代の前半から営業していた「中華レストラン黄河」を思い浮かべる人が多いと思われます。
そう、こちらの源流は、そもそもは中華レストランだったんですね。
それが道路拡幅工事にかかることになり、平成4年7月に舞岡町へ移転して、外食から餃子の製造卸に業態転換。
さらに翌平成5年に冷凍餃子の直売店を開設したのが上記「ぎょうざの横濱黄河 工場併設直売店」です。
それから25年目を迎える今年、約四半世紀ぶりにレストラン復活ということになったわけです。

こちらの餃子については、ぎょうざの横濱黄河 工場併設直売店のレビューにも書きましたが、おいしいものとつかブランドの認定も受けるなど、地域の味としての地位をしっかり築いており、それが今回の事業に繋がったものと見られます。

前記の通り、お店の場所はより奥地(笑)になりましたが、向かい側には専用の駐車場が7台あり、広々した駐車場で女性や高齢者でも安心して車で訪れることが出来るよう配慮されています。
この点で立地条件面でのビハインドをカバーしているように思えます。

建物は結構立派で、直感的にはイニシャルコストをかけ過ぎではないかなと心配になります。
飲食店の場合は、イニシャルコストの負担(＝借入負担)が先々重荷になることが往々にしてありますので。
まあ、そこは質素な経営と見られた直売店時代に自己資金を蓄積していた(それにより借入負担を少なく出来た)可能性もありますので、断言はできませんが。。

入口はレストランと販売店とで別になっています。
レストランは2階にあり、向かって左の入口から入店します。
店内は、結構広く、2人用円卓2卓、8人用長テーブル1卓、4人用テーブル8卓の計44席のキャパがあります。
それに対して従業員数は厨房に年輩の男性1人、ホール係にエンジのユニフォーム姿の女性2人の3人体制ですので、如何にも少ないです。
この他オーナー筋と思われる私服の女性も1人いましたが、それでも4人です。
一般的にこの規模の繁盛店だと7人程度の人員が平均的だと思われますので、このシフトを引いていることで、当店の繁盛度合いが推測出来ちゃいますね。。
実際、11時オープンのところ11時15分過ぎに訪れたのですが、先客は1組2名のみでした。

私は一番奥の4人用テーブル席に着席しました。
内装は木が多用されており、暖かみがあって落ち着ける雰囲気です。
席に着くと店員さんがメニューを持ってきてくれましたが、メニューもデザイン面、内容面で垢抜けており、これも専門家に依頼するなどコストをかけていることが窺われます。

定番メニューとしては、各種餃子の単品メニューやタンメンなどの野菜系のメニューがあり、コンセプトとしてはヘルシー志向を掲げていると思われます。
定番メニューの他に、昼のプレート、夜のプレートというセットメニューがありますが、こちらも少量多品種でヘルシー路線の延長にあるものと思われます。

注文は、昼のプレート@1,300円にしました。
店員さんから「昼のプレートはちょっとお時間がかかりますがよろしいですか？」と聞かれます。
先客2名なのにどうして？とも思いますが、時間には余裕がありましたので、待つことにします。
結果的には、思ったほどは待たずに12分ほどでセットが提供されました。

昼のプレートは、焼き餃子、水餃子、春巻き、サラダ、ミニチャーハンというラインナップ。
当店の代表的なメニューを一通り体験できるのが嬉しいところです。
焼き餃子は、6種類ある餃子のうち一番人気の「プレーン」というタイプです。
自然回帰水にひたして洗浄した国産野菜と青森県産の三元豚の豚肉を素材にしたシンプルな餃子。
もちもちの皮も旨いです。
直売店利用の時は家族分を一気に焼き上げるため自宅でホットプレートで焼きましたが、やはりメニューに書いてあるように熱い鉄板と高温でカリッと一気に焼き上げた餃子は、家の通常の火力、フライパンでは出せない焼き具合ですね。
とても美味しかったです。

水餃子は、あっさり系のスープに具のぎっしり詰まった餃子が3個入っていますが、水餃子にすると皮の美味しさが際立ちますね。
要は小麦粉はスープとの相性がいいということだと思いますが、なかなか美味しくいただけました。

春巻き、ミニチャーハン、サラダといった脇役陣もいい仕事をしています。
特にミニチャーハンは、干し椎茸の風味がとても良く出ていて、その他の具材（細切れチャーシュー、玉子、タケノコ、ネギ、ナルト）ととてもいいコンビネーション。
かつての中華レストラン黄河で評判だった味らしいですが、なるほどと思いました。
サラダもさすが健康路線を打ち出しているだけあって手抜きがありません。
レタス、キャベツ、タマネギ、ブロッコリー、カボチャ、キュウリ、トマトに中華ドレッシングがかかっており、なかなか充実しています。

この昼プレート、一品一品のポテンシャルはなかなか高いと思います。
従って、一見高いと思われる1,300円についてもある程度納得できるものだと思いました。

しかしながら、現実問題としては、チャレンジングな垂直統合であることは疑問の余地は無く、この日の客の入り具合が如実にそれを物語っていたようにも思いますが、他方、前述したように、このような高コストタイプのお店は自己資本の蓄積がしっかりした事業主体がチャレンジするケースも多いと思われ、当店がそれに該当するのだとすればまだ奥行き（例えば、メニューの二の矢、三の矢）があるのかもしれません。

個人的には、戸塚の奥座敷とも言える舞岡の地になかなか洒落たレストラン（＝ビストロ）が誕生したことは、地域活性化の面からもいい試みだと評価したいです。
おいしいものとつかブランドの認定を受けていることもあり、横浜市も期待しているのではないでしょうか。

是非うまくいって欲しいし、応援したいですね。