色々課題はあっても、この1,000円ランチはコスパ極めて高し!! : うさぎのいる島

「うさぎのいる島」と言えば、元々は、東戸塚駅から国道1号線の「東戸塚駅入口」交差点に向かう道沿い、バス通りからはちょっとはずれますが、ちょうど川上川を渡ったすぐ右手にあったお店です。なかなかユニークなお店として人気を博していました。

私も一度訪れてレビューしていますが、元々は酒屋さんだったのを改造したお店でしたので、かなり無理をした造りになっていました。よって、移転先を模索していたとしても不思議はありません。

そのうさぎのいる島が、案の定と言いますか、場所を移転して再オープンしました。
その移転先というのが、保土ヶ谷区の権太坂。住所表示は権太坂ですが、境木商店街の一角になります。

境木商店街と言えば、元々、武蔵の国と相模の国との境界にあったと言われている木が地名の由来で、かつては、東海道の保土ヶ谷宿の立場（休息場）のあったところです。
よって、現在は、生活圏は東戸塚（よって、食べログのエリア登録が戸塚・東戸塚エリアであるのは当たり前）なのですが、文化圏としては保土ヶ谷の面影が色濃く残るエリアということになります。こういう事実が重要なんですよね。

そのことは、地元の方が一番良く認識しているところであり、例えば、同じ境木商店街にお店を構え、「おじぞうさん最中」(おじぞうさんと言うのは、境木地蔵のことです。)で知られる老舗和菓子屋である菓匠 栗山のＨＰを見ても、例えば保土ヶ谷名産のじゃがいもを使用したお菓子の話など随所に保土ヶ谷との縁について記載があります。

文化というのは、生活圏の変化も含めて周辺の環境が変わっても（例えば、東戸塚駅が出来たり等々）、変わらないモノとしてしっかりとその土地に根付いているものなんですよね。
それは、住民がしっかり引き継いでいかないといけないものだと思いますし、その意味では、当店も文化圏の異なるこの地で再出発するわけですから、是非、その一員として頑張ってもらいたいと思います。
住所表示とか食べログのエリアが云々なんていう単純なことではなくて、地名の由来も含めた営業している土地の文化をしっかり押さえることは、食べロガーとして、少なくとも私は重要視しています。

さて、その当店は、旧店ではやっていなかったランチ営業をしています。ただし、ランチは、月、火、木、金の曜日限定営業ですので、その点は注意が必要です。

この日は、たまたま恵まれて、営業日にお邪魔することができました。
場所は、境木商店街に入って100ｍほどの右手。以前にはバーバーバーカフェが営業していた場所で、今も看板にはその名前が残っています。

オープン時間とされている11時45分に伺ったところ、まだ開店の準備中だったようで、店内にいる店主さんに尋ねると12時くらいまで待って欲しい旨。
理由は分かりませんが、これは問題無しとしません。
ただ、当店の場合は、旧店の時から何となく店全体がルーズな感じがあって、それが個性になっている感もありますので、これ以上は申し上げません。
再度12時過ぎに訪ねたら、やはりまだ準備中の様子。ただし、今回は、さすがに店主さんから店内へ入るのを認めてもらいました(笑)。

店内は、カウンター席が5席と4人掛けのテーブルが2卓8席ですが、2階にも席があります。

ランチメニューは、税込み1,000円のパスタランチ一種類のみ。
それを注文して、店内でメニューブックを眺めていると、何とメニューは移転前のものをそのまま使用しているようでした。これも当店らしいと言えば当店らしいですね。
旧店の看板に「CHARCUTERIA NISSEI」（≒スペイン日本文化協会のお店）と書かれていたように、当店が同協会（文化と言語の意識を高め、両国間の文化交流やコラボレーションを促進するスペイン-日本の非営利団体）と関係があるであろうことは、店内に掲示されているカレンダーからもうかがい知ることができましたが、メニュー構成についても、基本はスペイン風の料理を意識しているように思います。

入店＝注文から9分後にランチセットのサラダと前菜盛り合わせが出されます。
サラダは、オイルサーディン（みじん切り野菜のソースがかかっています。）、サニーレタス、レタス、ミニ大根、ベビーキャロット、ラディッシュ、きゅうりといったラインナップに醤油風味のドレッシングがかかっています。
さらに根菜用にとの趣旨でしょうか、辛めのバーニャカウダ風のソースとマヨネーズが添えられています。
とにかくボリュームも満点で、ベジファーストにはうってつけのサラダです。これだけで前菜と言ってもいいくらいなのですが、この他に前菜盛り合わせのプレートが出されましたので驚きです。

その前菜盛り合わせは、メニューには無いのですが、カウンター上にさりげなく貼られているメニュー（旧店時代もこれが特徴でした。）からの提供が中心でした。軽くトーストしたミニフランスパンにはチリビーンズを付けていただきます。チリビーンズは、ピリッと辛いトマト風味ですが、パンとよく合います。
その他、枝豆、砂ギモのピリ辛(ネギと砂ギモをブラックペッパーを効かせて炒めたもの)、ポテトサラダ(野菜は入ってません(苦笑))のラインナップ。
砂ギモのピリ辛は、旧店でもいただいて気に入った料理。やはり看板料理の一つなのでしょう。ブラックペッパーのアクセントがとても良く、美味しいです。ポテトサラダは野菜こそ入ってません(苦笑)が、ガーリックの風味を効かせたポテトサラダで、これもなかなか美味しい。いずれも、ランチの前菜と言うより、酒(特にワイン)のお通し系の料理ですよね。

メインのパスタは時間が掛かって、前菜の提供から20分ほど経過しての提供。私より6〜7分後に入ってきた後続客への提供と同じタイミングになりました。まあ、オペレーションの都合でしょうから已む無しです。
この日のパスタは、ナスとグリーンアスパラ、ベーコンのトマトソース。アルデンテに茹で上げられた細麺のパスタはシコシコして美味しいですし、トマトソースが各素材によく絡んでいます。平凡なパスタと言われるとそうかもしれませんが、調理は丁寧にされているのが良く分かり、美味しくいただけました。

そんなことで、いくつか課題も書かせてもらいましたが、これで1,000円と言うのはハイコスパであることには疑いがありません。

先日、近くで営業しているやはり新しい喫茶店である「オズ」でもランチを食べ、結果食べ比べたことになっちゃったのですが、そちらのママさんからは、「あちら(当店のこと)はプロで、こっちは家庭料理だから」と相互補完できそうなコメントがありました。
昔ながらの商店街が苦戦している時代にあって境木商店街も決して例外ではないと思いますが、オズといい、当店といい、新陳代謝があるのは、その商店街の元気度の一つの表われだと思います。
厳しい条件下ではありますが、是非、共存共栄を目指して頑張って欲しいものですね。