ボリビアの素材や料理を織り交ぜた沖縄との出逢い : エル・ボスケ

この日は行きつけの店に行ってみると、なんとお休みであった。
調べてみると現在は火曜水曜と定休日であるという。
しまったああぁーーー！！！
と言うことでめげてもいられないのでいくつかの候補を物色。
そういえばこの仲通り界隈の沖縄料理店の中でもずっと宿題であった当店を思い出し開店時間を調べると１７時からの開店となっている。

沖縄物産センターでいつもの通り島らっきょを調達してから踵を返してエル・ボスケへ向かう。
ラテン系らしい明るめの照明の店頭で店内に入ると沖縄料理屋とはまた別な空間。
テーブルの間隔も結構広々としており快適かも。
しかし店内は禁煙ではないため、後刻後ろの席に団体が来てたばこを蒸し始めると結構煙くてしんどかった。
ここさえ改善されれば居心地も悪くないんだけどなぁ。
でも昔ながらの常連さんはたばこ吸いが多いみたいで完全禁煙は難しいかな。
店内では南米のミュージック、沖縄の音楽が掛ったりとMIXで(笑)

料理は沖縄料理そのもののもの、ボリビア（正式名称は”ボリビア多民族国”）やブラジル等中南米料理のもの、ちょっとそれぞれ影響しあって交わり合ったもの等々と幅広く備わっている。
まだ他に他客はおらず、当方達だけなのでお店のお母さんが色々とメニューの事等お話してれた。
お母さんはボリビアはサンタ・クルス生まれの沖縄育ちとのこと。
ボリビアは沖縄から移住された人達も多く馴染み深いのだとか（コロニアオキナワ）。
ご親族がボリビアに居るようで、こちらに遊びに来る際に色々と現地の素材を持ってきて貰っているという。
なので市場に出回っていない貴重、稀少なボリビアや中南米の素材を使った料理もこちらで味わえるとのこと。
ちなみに店名の”エル・ボスケ(El Bosque)”とはスペイン語で『森』という意味。
なので店頭の看板には『小さな森』と表示されている。

長くなるのでそろそろ料理の話に移る。
お母さんに色々とお勧めとどういう内容の調理なのかを伺いながら下記の品をオーダー。
ボリビアの煮込み料理は基本的に砂糖は使わず、玉葱やニンニク等の野菜から出る甘味を生かしているとのこと。
ちなみにメニューで気になっていたソバ・サルタド・コン・マリスコ（沖縄そばの海鮮やきそば）は基本要予約だが材料があれば作ってくれる。
しかし海鮮が揃わないので残念ながらこの日は無しとのこと。
他にもセコ・コンビナド（牛肉ポテトと豆の煮込み）はこれから仕込むため９０分程時間が掛かると言うことでこちらも見送った。


◉お通し（クニャペーニョスカ？）
今一読み取れなかったがクニャペまでは聞き取れたが・・・
チーズとタピオカのデンプンで作ったスナック菓子的なものとのこと。
「歯は丈夫ですか？」とお母さんが仰るので、どんだけ硬いんだと構えて戴いたが、然程の硬さは無くガリッと来る程度。
ただ、歯槽膿漏の人にはお勧めしない(笑)

◉うむくじてんぷら
本日一の白眉！！
これは紅芋を擦った物と蒸かした物を合わせて円形に整えて油で揚げたもの。
この適度にモチモチとした食感は北海道の芋餅の食感と似ているねぇ。
砂糖は入れていないとのことだが、甘味が良く出ておりとても美味。
しかし砂糖をいれずにこれだけの甘さが醸成してくるというのも凄い。
練ったり蒸かしたり揚げたりして熱も加わって芋の組織が活性化して甘味が開花したんだろうねぇ。
ムッチリとした食感は北海道の芋餅に似ている。
ちなみにうむくじとは沖縄の芋葛の事だ。
これはこの店に来たら必ず食べて貰いたい逸品である！


田芋のコロッケはおまけで味比べ。
こちらも甘味があり風味も独特で美味しいのだが、紅芋のうむじくてんぷらを戴くと霞んでしまう。
でも十分に美味い。


◉コシーニャ
ブラジルの小さいコロッケ
　　色々な味わいのある具材を練り込んだり閉じ込めたコロッケは食べていて楽しい。

一緒に持ってきてくれたエル・ボスケ特製ソース兼ドレッシングは”リャーファ”と言うらしく、大変気に入った！！
メイン素材は玉葱で他はニンニク、パクチー、唐辛子と中身を教えてくれたが幾つか失念している。
これが頗る美味い！！
苦手なパクチー(コリアンダー)のエグい匂いと味は影を潜めて爽やかな風味と化している。
ペッパーの辛味があるがドギツく無く、ドシッとした玉葱の旨味のボディの利いた味変には打ってつけのアイテム。
これは後の料理にも非常に重宝した。

◉チキナーチャンプル
チキナー(辛子菜)、豆腐、ポーク、豚肉の炒め物で当方が一番好きなチャンプルー料理。
こちらのチキナーは漬けて内フレッシュな素材をサッと炒めてあって、これはこれで美味い。
シャキシャキっとしたチキナーの風味豊かな味わいで、豆腐やポークと一緒に食べると味わいも深まる。
豆腐は大きめなカットで存在感がある。
やーじ小の漬けてあって発酵して酸味を利かせたチキナーチャンプルが大好物だったが、こちらは対局の物。
どちらも捨て難く美味いなぁ。

◉ユカ・フリッタ
キャッサバ芋の揚げ物。
タピオカの原料とのことで初めて知った。
外側はカリっと揚がっていてキャッサバの香ばしい香りが鼻腔を擽る。
日本の芋類とは違ったザラつきはあるがサラリと外連味無く消え去る舌触りは不思議な食感。
普通のポテトフライを食べるよりも断然中南米の味がする。

◉ケソ・フリット
ボリビア産チーズを。
エンパナーダ・デ・ケソ（チーズ入り揚げパイ）と迷ったが、さらにボリビアの素材本来の味わいに触れる為こちらに決定。
どこかそこはかとなく魚の干物の様な癖のあ風味で味はカッテージチーズの様なコシと歯応え。
しかしこれが何故か癖になる美味さ！
塩分が利いているが許容範囲。


◉ビーフェ
ビーフステーキ350g 塩味
お母さん曰く、「うちで一番人気の料理なの」と。
あまり乗り気ではなかったのだが、これまで食べてきた料理が殊の外美味しかったので信頼して頼んでみた。
ポテトやライスは付けないでサラダのみを添えて貰った。
肉は思いの外味わいのある赤身の部位の肉。
言われていないけど、ランプかイチボかな。
和牛の様な挿しで勝負する肉ではなく、あちらの肉は身からの本来の旨味で勝負。
なので脂が少なくサッパリなランプかなぁ。
思いの外硬く無くって円やかで美味しい。
味付けは塩と軽く胡椒。
このシンプルに焼き上げた味付けに、ミディアムな焼き加減がマッチしていて噛む毎に肉の旨味が出てくる。
これに特製ドレッシングのリャーファを塗して食べたらピリっとした辛味と玉葱とニンニクのコク、ビネガーの酸味のバランスで更に肉の味わいが広がるではないか！

◉島らっきょ
新物だそうで、細めの島らっきょを。

◉チョリソー
肉肉しい粗挽きで。
サルシッチャの様な風味があり、噛むとバリっと弾ける皮から溢れる肉汁がオリオンの飲量を加速させる。
これもリャーファが凄くマッチ。
肉に良く合うんだなぁこれが♪

◉沖縄そば
スープは薄いかなとも思ったが、豚と昆布、鰹の出汁のバランスが良くて奥行きのある旨味のため物足りなさを感じさせない絶妙な出汁。
やーじのコクの深い味わいとは対局だが、麺はこちらはゴワとしているが強めのコシで中々美味しい。
三枚肉がとても良い味付けで美味しい。
かまぼこは変わった風味。

◎オリオンビール×２

会計を済ませると、おまけでボリビアの黒糖を妹が持ってきてくれたということでお裾分けしてくれた。
確かに沖縄本当以南の黒糖の風味とはまたひと味違った味わいで面白い。

心残りは味付けは塩味だがペルー風というソバ・サルタド・コン・マリスコが食べたかった。
他にも豆の煮込みやアヒ・デ・パンサ（牛ハチノスの煮込み）も戴いてみたいので、次回再訪の機会があれば是非試したい。