大将、おつかれさまでした。 : じょんならん

2017/12/10を以って閉店と聞いて、ぎりぎりでは混むだろうと11月のうちにおじゃましました。うどん屋さんの職業病として肩腰を痛める大将の話をよく聞きますが、じょんならんの店主さんも同様だそうで、そこに人手不足が重なり、、、とのこと。

昨年のラリー（謎）以来１年半ぶり、平日夕方訪れると店内はほぼ満員。小さなお子さんを連れたファミリー客、客先周りついでに立ち寄ったと思わる営業マン、近所の神奈川大学の学生と思われるグループやカップルなど、マニアではなく近所の方がふらりと立ち寄られています。一人客を含めて女性客が多いのも特徴かも。店主さんは気さくにお客さんと喋り、いや、気さくというよりは本当にしゃべるのが好き、というようにも見えます（笑）。

今回はかけにとり天をいただきました。本格手打ちと謳われた麺はかなりの頻度で生地を伸ばし、製麺機に通して製麺されます。ガツンというコシではなくすいーっと伸びるコシのある麺、硬いだけがコシじゃないんですよね。出汁は（通常は）昆布とカツオがベースの、旨味を感じさせながらすっきりした味わい。週末には限定のイリコ出汁の用意もあるようです。別皿（タイミングも別）提供のとり天はサクサク。胸肉ですがぱさつきもせず、ほどよい下味でどんどん食べられます。

帰り際に大将にご挨拶すると「まだ（営業最終日まで）日にちがありますから、また来てくださいよ（ニヤリ）」と。事情が事情だけに復活は難しいと思いますが、またいつかどこかで大将のうどんをたべたいなぁ。ごちそうさまでした、そして2011年春の開業以来6年半少々、本当におつかれさまでした。

六角橋交差点を神奈川大学方向へ入り、次の角を右へ「本格手打ちうどん じょんならん」ぶっかけに穴子天をトッピング850円をずずずずっっっっ。

実は２度ほど臨時休業と定休日に訪問してしまい、３度目の正直で夜９時前訪問。店頭に「るみばあちゃん」の写真が大きく飾られている（なんでもるみばあちゃん＝池上製麺所で修行をされたのだとか）扉を開けると、白い壁に白木のカウンターの店内は、８割方の入りと賑わってます。厨房が広めに取られていて、まだ三十代そこそこと思われる大将を中心に、修行中の男の子、アルバイトの女の子（推定）の３人でお店を切り盛りされています。

うどんはぶっかけ、しょうゆ、かけ、釜玉、釜揚げ、ざるなど各550円、それにトッピングを足すと+300円となるメニュー構成。その他にもオプションがいくつかあり、アルコールはビールに日本酒（金陵←讃岐の銘柄ですね）、焼酎類など。時間帯ゆえか、うどんを待ちながらお酒を召し上がられてる方もいらっしゃいました。

少々迷いつつ、左上メニューの鉄則に基づき、ぶっかけうどんに穴子天で。しばらくして、おもむろに大将が冷蔵庫からうどん玉を取り出し、注意深く長細く切り分け、これから伸すのかな？とおもいきや、そのまま製麺機に。瞬く間にうどんが完成、釜に投入です。注文ごとに切るというスタイルは、新宿の慎と同じですね。個人的には、あれ、全然伸ばさないの？という点が少々気がかりですが。

そんな気がかりも、うどんをいただいてみて吹き飛びました。とてもびよーーーんと伸びる讃岐系の麺ですね。固さはあまり感じず、この伸び具合は心地よいです。うむ、この伸び具合は、もしかして麺打ち台の上で麺棒で伸さなくても出るものなんですか。ということは、塩の配合と温度、寝かせ具合に秘訣があるんでしょうね。うーむ、眼から鱗です。

砥部（多分）の丼を大きくはみ出ている穴子天は、やや衣が厚めですが、サクサクとした食感と穴子の身の味わいが楽しい。個人的にはここまで大きな穴子ではなく、もっと滋味がぎゅっと濃縮されてるほうが好きですが、まあこれはこれで楽しいです。大根おろしやカイワレ、ゴマと葱のトッピングに比べると、ぶっかけ出汁はややおとなしめかな、あまり存在感を感じませんでしたが、これも麺の伸びやかさを邪魔しないという点ではありでしょう。

讃岐うどんのある一面をうまく再現できているお店かといっていいでしょう。大将はリピータさんと節度ある会話のやりとりをしながらも、修行中のお兄さんやアルバイトのお嬢さんに適切に指示を飛ばしています。場所柄、近所の親子連れはもちろん、神奈川大学の学生や職員の方もよくいらっしゃるようで、なるほどだからこんな時間でも賑わってるんですね。

じょんならんとは讃岐弁で「どうにもならない」とのことですが、そんな自虐的？な店名も若い大将ゆえのセンスでしょう。細かいことを言えば、これを本当に手打といっていいのか？という気はしますが、まあご愛嬌。お値段は首都圏価格ですが、丸亀などのチェーン店の麺とは比べ物にならないクオリティの高さ、お値段にケチをつけるのは野暮というもの。あらためて、かけや釜玉をいただいてみたくなりました。ごちそうさまでした。