白河の 清きに...手打麺の美味さを味わう : 白河中華そば

【28.10.10追記】
半年振りに訪問。
中華雲呑麺の大盛を注文。
親父さんは無駄口を叩かず黙々と仕事をこなす。しかし決して無愛想という訳でもない。そばが出来上がって写真撮影の許可を申し出、都度快くOKをいただいている。
久しぶりなのか、ここの中華そばが物凄く美味く感じる。スープは一点の曇り無く、クリアーで純粋な味。何故か？その理由は麺に有り！あくまでも麺を美味しく食べるための従者、引き立て役なのだ。麺の旨味、即ち小麦の風味を愉しむのにコテコテの濃度の旨味が強過ぎるスープだと純粋に麺を愉しむことは難しくなるのであろうと当方は観ている。昨今のラーメンはどうもスープばかりが先行しており、麺の旨味が感じられない店も多いのではなかろうか。仮に麺が良くてもスープの旨味が強過ぎて麺の機微な風味が掻き消されている節があるのだ。

そのスープは、始めのうちは醤油の酸味がやや強目に感じるが後から鶏の旨味がジワジワとやって来る。塩分濃度も薄からず濃からず丁度良い塩梅で見事な配分。時間を追う毎に舌もアジャストしてくることと素材からもエキスが合わさることで段々とコクが出て来て円やかさを演出してくる。最後の方は醤油の角(良い意味で)は旨味に内包されていく。伊勢佐木長者町の弟子の店の出来とは雲泥の差。

そして主役の麺が超美味！毎日親父さんが手打ちで仕込む渾身の麺は、しっかりとしたコシがあり、啜り込むと表面は滑らかでスルスルと抵抗無く入り込む。口の中で麺が踊るんだ。滑らかで心地良い麺を噛むとモチモチとしっかりとした弾力で歯に跳ね返ってくる。そして小麦の風味もしっかりと味わえる。喉越しも言うこと無し。手打ちの後にしっかりと揉んで自然のウェーブを掛けてあるので麺に適度なスープが絡み、口の中まで持ち上げるから口内の比率配分も計算され尽くされており完璧！

雲呑の生地は手打ちかは不明だが、ツルンとして滑らか。肉の餡も豚肉の風味が良く調味も当方好みで八雲やいそべとはまた違った個性で訴えかけてくる。

デフォルトのチャーシューは３枚だが、おまけなのか大盛にしたからかは不明だが、小さいチャーシューが一枚おまけで付いていた。これはもうチャーシュー麺と言っても良い位。チャーシューは腿の部位を釜焼きで香ばしくローストしており文字通り焼豚。昔ながらの製法で仕上げられたチャーシューは柔らかトロける最近の煮豚系とは対極で、噛み締めて豚の良き旨味を味わう。よくありがちなパサつきや硬さは皆無で。何故か？！１つ例をあげると親父さんの仕事振り。チャーシューは無駄に切っておくことはせず、客の注文を受けて麺が上がる頃合いで切り始めている。効率や手間を省くのに一本丸ごと全てカットして置いておくラーメン屋は多いが、時間が経てば空気に触れる時間も多くなり断面は硬くなって水分も抜けていき、ジューシーさも失われていくのは自明の理であろう。このチャーシューをスープに浸して食べるとまた絶品なのだよ。今回は頼まなかったがチャーシュー麺にすると、釜焼きの腿だけで無く、バラのロールも出てくる。バラは煮豚で注文を受けてから切り付け、香ばしく網焼きにして肉の旨味を活性化させている。こちらの店はかなり前からやられているが、チャーシューを炙るなんてぇことは今では若手の店でやる店も増えたが、創業当時の頃に他店では殆ど見られない珍しい仕事だったのではなかろうか。

メンマも昔ながらの過度な味付けはせず、コリっとした食感を残した仕上げ。青菜は小松菜では無くほうれん草と見受ける柔らか目な仕上がり。脇役のネギは可不可無し。ナルトが嬉しい。

総じてここのラーメンは当方の好みにかなり寄り添って来ており、初訪問した時には感じ取れなかった様々な良い点を理解出来、自分では理解し得ない好みや体質も変わって来ているのだろう。自宅から離れ、駅からも距離があることから頻繁には通うことは難しいのだが、また心身共に清廉になりたい場合にこちらへ寄らせてもらおう。

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【27.7】
仲町台駅から徒歩10分弱歩いた住宅地にある、たまに無性に食べたくなるラーメン屋。夜の開店時に行けば並ぶことも無いが時間帯によっては並ぶこともあるのだろうか。

ここではワンタン麺を食すことが多い。スープは鶏ガラだけの中華そばと、魚介の入った支那そばがある。自分はここの手打麺を味わうにはサラッとスッキリした鶏ガラで味わうのが好み。ということで支那は未食である。いつかは支那でと思うが毎回中華になってしまう。交通費もあってあまり頻繁には来れないので仕方のない所…標準的な品は普通だが、大盛180円増し、チャーシュー増し350円、白河スペシャル1,400円と追加や豪華版にするとコスパは良いとは言えない。

手打の平打ち麺は不揃いで、軽くウェーブのかかったもの。茹でる前にも軽く手で揉み込んで湯に投入。寡黙で愛想の無い親父が打って茹でる麺。スープは無化調だと思うが不明。鶏ガラのシンプルな旨さが心を和ませる安心出来る味。薄い、コクが無いという意見もあるが私的には十分旨味を感じ取れ、醤油タレのキレも有る。塩分濃度も丁度良い。麺はそれほどコシは強く無いが程良い滑らかさと歯応え、小麦の風味を感じ取れる。不揃いの麺が口中で踊り、喉を通り抜ける心地良さが良い。スープが動物系の味が強く油っこかったり塩辛かったりすると、この麺に合わないし麺の良さを埋没させてしまう。ここではあくまでも麺が主役で、スープや具材は麺を引き立てる脇役であることを再認識させられる。こういったサッパリだが味わい深い麺が主役のラーメンは少なくなったなぁ。一度修行先のとら食堂へも食べに行きたいと思わせる逸品。

チャーシューはデフォで焼きの腿肉が３枚。噛み締めると肉の旨味が溢れる懐かしい中華そばの正調チャーシューである。ワンタン、支那竹、ほうれん草は特筆するものは無く普通。ワンタンの餡は少な目だが肉の風味と調味は悪く無い。皮を愉しむ一品。ナルトが嬉しい。

お腹が激減りな時、いささか金銭的に余裕がある時は白河スペシャルを注文するのも良い。麺が大盛となり、バラチャーシューの炭火炙りが３枚追加され、ワンタン、味玉もプラスされる。腿肉チャーシューは１枚減らされるが…ボリューム満点でこの店の全てを味わえる。バラチャーシューは炭火で炙られ余分な脂も落ち旨味が活性化される。作り込みに丁寧さが感じ取れるが時には脂身が食傷気味になる事あり。反則技かもしれないが、刻みニンニクを少々乗せてバラと食べるとまたパンチも出てサッパリとして違った味わいが生まれる。胡椒とチャーシューも合うので３枚のうち色々なバリエーションを愉しむのが超力流。

是非お試しあれ！